先進技術活用推進事業
更新情報
2023年8月22日
ドローンによる防除作業の見学会を開催しました。
先進技術活用推進事業(実証事業)の概要
燕市では、平成30年度から市内農業者が集まり「先進技術勉強会」を実施しています。
このページでは、実証実験の内容や、開催した勉強会の様子を掲載しています。
勉強会はどなたでも参加できます。
参加希望の方はページ下部のお問い合わせ先にお問い合わせいただくか、こちらのメールからお申し込みください。
勉強会メンバーには不定期で実証実験の見学会やセミナー、勉強会などのご案内をお送りします。
ドローンによる防除作業の見学会を開催しました
8月19日(土曜日)、燕市内の圃場でドローンによる防除作業の見学会を開催しました。
水田に雑草が生えると、稲の生長に悪影響を及ぼす原因となります。
- 雑草が生い茂ることで稲への日当たりが悪くなります。
- カメムシなどの害虫が発生し、稲を食べることなどにより米の品質低下につながります。
そのため、防除作業は高品質の米を作るのに必要な作業です。
これまでの防除作業は、薬剤入りのタンクを背負って手で行うのが一般的でした。
しかし、厳しい暑さが続く炎天下での作業は非常に大変です。
そこで、少しでも早く作業を終えられるよう、ドローンを使用して防除作業を行いました。
従来の防除作業の様子(イメージ)
背負っているタンクは2リットルペットボトル10本以上の重さがあります。
ドローンによる防除作業の様子
コントローラーで操作します。水田に立ち入ることなく作業ができます。
ドローンのタンクに薬剤を入れ、約1ヘクタールの田んぼの上空から散布を行いました。
その結果、手作業で30分以上かかる作業が、ドローンでは約7分で完了しました。
今後の除草効果を検証し、より実用性を高めるための実証実験に取り組みます。
スマート農業に関する講演会を開催しました
7月12日(水曜日)、燕市役所にてスマート農業に関する講演会を開催しました。
今回は、メーカーによる先進事例の紹介と最新の先進技術システムの紹介がありました。
参加者は、実際に操作する様子を見ながら、熱心に説明を聞いていました。
質疑応答では、メーカーが開発したAI技術を用いたシステムに関する質問が多く飛び出し、参加者にとって新たな発見の多い講演会となりました。
【参加者の声】
「使える機能が幅広くて、勉強になった。」
「具体名を挙げて説明があったため、大変満足」
【先進技術勉強会について】
燕市では、先進技術勉強会の中で、勉強会メンバーの興味に合わせた情報提供や実証実験を行っています。
スマート農業に関心のある人は、お気軽にご参加ください。
勉強会は不定期開催です。実施状況に関するお問い合わせや参加希望のご連絡は、ページ下部のお問い合わせ先までお願いします。
ドローン直播見学会を開催しました
5月13日(土曜日)、燕市内の圃場でドローン直播(ちょくは)見学会を開催しました。
農作業の省力化を目指し、ドローンを使って米の種を田んぼにまく「直播栽培」の実証実験です。
見学会には燕市内で農業に従事する人などが参加したほか、近くを通りがかった人も足を止め、作業の様子を熱心に観察しました。
【参加者の声】
「あっという間に終わったので驚いた」
「ドローンでまいた種がしっかり育つのか、これからが楽しみ」
燕市では、今後も引き続き勉強会メンバーに向けた見学会などのご案内を行います。
令和4年度 先進技術活用推進事業(実証事業)の内容を公表します
水稲直播実証
実証の内容
「直播(ちょくは)」とは、お米の種を水田にまいて稲を育てる栽培方法のことです。
一般的な田植えは、苗箱に種をまき、約1か月間ハウスで苗まで育ててから苗を水田に植えます。直播による田植えは、育苗作業にかかる時間や費用が削減できます。
また、田植え機より速い速度で進むことができるドローンを使って直播を行うことで、田植えにかかる時間の短縮が見込めます。
今回はドローンでコシヒカリの直播を行い、ドローンによる直播の実用性を検証しました。
実証の結果
ドローン直播による効果
作業時間が約4分の1に!
田植え機による田植えと比較すると、ドローンによる田植えでは作業時間を約4分の1に短縮できました。
作業時間(1ヘクタールの水田1枚あたり) | |
田植え機による田植え | 約60分 |
ドローンによる田植え | 約15分 |
育苗にかかる費用や労力が大幅に減少!
直播栽培では種を直接まいて育てるため、育苗にかかる費用や労力を大幅に減らすことができます。
必要な種もみの量(1ヘクタールの水田1枚あたり) | 必要な苗箱数(1ヘクタールの水田1枚あたり) | 必要な育苗施設の面積(1ヘクタールの水田1枚あたり) | |
田植え機による田植え | 約20キログラム | 約150~200枚 | 約50平方メートル |
ドローンによる田植え | 約20キログラム | - | - |
水田の様子
直播の田んぼの様子(令和4年8月撮影)
直接田んぼに種をまいて育てるため、約1か月前から種を苗まで育てて植えている周囲の田んぼと比較すると生育が遅れているように見えますが、大きなまき残しの部分もなく順調に生育が進んでいました。
直播の田んぼの様子(令和4年9月撮影)
種をまいた部分からはほぼ100%発芽しました。10アールあたり1.7kgの種を直播し、約420kgの収穫がありました。
西洋梨の溶液受粉実証
実証の内容
西洋梨(ルレクチエ)の受粉作業を市内農業法人の圃場で行いました。
果実が実をつけるためには受粉作業が必要となります。
今までの梨の受粉作業は、「梵天」と呼ばれる道具の先端に花粉を付着させ、咲いている花のひとつひとつに花粉を付けていくやり方で行っていました。この作業は花が咲いている短期間で行う必要があり、体力が必要となる大変な作業です。
この作業の負担を軽減させるため、液に溶かした花粉をドローンによって花の上から散布する実証実験を行いました。
梵天
ドローン(水稲直播と同じ機体を使用します。)
実証の結果
作業時間など
作業に必要な人数が半分に抑えられ、作業時間を飛躍的に短縮することができました。
作業人数 |
作業時間(10アールあたり) |
|
梵天による手作業 |
4人 | 約1日 |
ドローンによる散布作業 | 2人 | 約3分 |
果実の品質
ドローンによる受粉を行った場合でも、梵天で花のひとつひとつに受粉を行った場合と同程度の収穫が得られることがわかりました。
重さ | 種子の数 | 着果率 | |
梵天による受粉を行ったルレクチエ | 347.0グラム | 3.8個 | 98.8% |
ドローンによる受粉を行ったルレクチエ | 369.3グラム | 0.5個 | 96.8% |
先進技術勉強会について
燕市では、先進技術勉強会の実施を通じて、上記のような実証実験のほか、勉強会メンバーの興味に合わせた情報提供などを行っています。
スマート農業に関心のある市内農業者の方は、お気軽にご参加ください。
勉強会は不定期開催です。実施状況についてはページ下記のお問い合わせ先までお問い合わせください。
先進技術勉強会を開催しました
7月19日(火曜日)、燕市役所にて先進技術勉強会を開催しました。
「スマート農業」に積極的に取り組んでいる農機具メーカーから、スマート農業に関する講演をいただきました。
スマート農業とは、省力化・精密化・高品質化のために、ロボット技術や情報通信技術(ICT)など先進技術を活用する、新たな農業のことです。
この日は農業者をはじめとした13名が参加し、説明に真剣に耳を傾けていました。
質疑応答では、実際に先進技術を使用して農作業を行った感想や、農業者ならではの質問も飛び交いました。
<挙がった質問・意見 ※一部抜粋しています。>
- 今年ロボット田植機を使って田植えをした。台形・円形の田んぼも綺麗に植えることができ、精度の高さに驚いた。
- 苗を植えるのではなく種を田んぼに直接まくと、鳥に食べられてしまう。防ぐ方法はないか。
- 作業の精度を上げるために必要だと思うが、今後燕市にRTK基地局が設置される可能性はあるのか。
【先進技術勉強会について】
燕市では、先進技術勉強会の中で、勉強会メンバーの興味に合わせた情報提供や実証実験を行っています。
スマート農業に関心のある人は、お気軽にご参加ください。
勉強会は不定期開催です。実施状況に関するお問い合わせや参加希望のご連絡は、ページ下部のお問い合わせ先までお願いします。
令和3年度 先進技術活用推進事業(実証事業)の内容を公表します
水稲直播実証
直播栽培の田植えの様子
高齢化の進行や担い手の不足により、一人あたりが経営する田んぼの面積は増加傾向にあります。面積の増加に対応するには作業時間の短縮をはじめとした効率化が必須となります。
実証では、育苗の手間の無い手段として注目されつつある直播栽培にドローンを使用し、更なる効率化を目指します。
【直播(ちょくは)栽培とは?】
一般に行われている田植えは「移植(いしょく)栽培」といって、種もみをハウスで苗の状態まで育て、田植機で田んぼに植え付ける方法です。
直播栽培は、ハウスで苗を育てることなく、直播対応の田植機を使用して種もみを直接田んぼに撒く栽培方法です。
今回の実証は田植機を使わずに、ドローンで空中から直接種もみを撒きます。苗を育てる時間やコストがかからないという直播栽培そのもののメリットに加え、機械で土の上を進むよりも格段に速く撒くことができ、大幅な省力化につながることが期待されます。
実証の様子
ドローン直播との相性や収穫量を比較するため、べんがらモリブデン(ベンモリ)でコーティングしたコシヒカリBLの種もみと、リゾケアXLでコーティングしたコシヒカリの種もみの2種類を使用。
【コーティングとは?】
直播栽培では、土中での発芽やその後の生育を促すため、種もみに必要な成分を表面に纏わせ、乾燥させてから撒くことが一般的です。また、種もみに重さを付けることで土に潜りやすくなり、鳥に食べられにくくなる効果も期待されます。
ベンモリコーティングを施した種もみ
リゾケアXLコーティングを施した種もみ
散布の様子
散布の様子拡大図(粒が落ちている様子)
田んぼの様子(2021年8月26日撮影)
写真左がリゾケアXL、写真右がベンモリの田んぼ。
結果
作業時間について
70アールの田んぼ1枚を15分で散布終了しました。
直播機の場合、この規模の水田は70分程かかる※ため、約80%の時間短縮となりました。
※市内農業法人から聞き取り
収穫量など
・10アールあたり520キログラム程度の収穫がありました。
・直播機による播種と比較して収穫量に差があることがわかりました。
・移植栽培の参考値とドローン直播の収穫量を比較すると、96%程度です。
10アールあたりの収穫量比較(単位:キログラム)
べんモリ(品種:コシヒカリBL) |
リゾケアXL(品種:コシヒカリ) | |
直播機 | 529.2 | 588.0 |
ドローン | 526.0 | 520.0 |
データ提供:JA全農新潟県本部
【参考】移植栽培コシヒカリの10アール当たり収穫量 544キログラム
データ提供:JA越後中央 分水営農センター
梨の溶液受粉実証
現在、梵天(ぼんてん)という器具を使って手作業で行っている花粉付け作業は、時期が限られるうえ多くの人手が必要となりますが、高齢化等により人手不足が深刻化しています。
これを解決するため、花粉を液剤に溶かし、ドローンで空中散布することにより、省人化、省力化を図る実証です。
今回は、日本なし(幸水)の実証を新潟県農業大学校で、西洋なし(ル レクチエ)の実証を市内農業法人の圃場で行いました。
実証の様子
日本なし(幸水)
複数の樹を連結し、作業の導線を効率化した「ジョイント栽培」の樹で試験を行いました。
調合した溶液に花粉を溶かす
花粉が馴染むのを待って、ドローンへ積み込み
散布
西洋なし(ル レクチエ)
燕市の児木地区で一般的にみられる「立ち樹」で試験を行いました。
溶液は農業大学校と同じものを使用しています。
散布
ドローンには独自カスタマイズで静電気の発生装置を取り付け、噴出する液体に静電気を帯びさせることができます。
※静電気による吸着効果は不明ですが、花粉には影響ないことを確認しています。
結果
作業時間について
・4人の作業員で10アールあたり1日程度かかるところ、2名で実施し3分の散布で終了しました。
・実用化の際には、作業日を分けて複数回散布することも簡単に行うことができます。
果実の品質など
・ドローン溶液受粉においても、1果そう(果実が1か所に集まった部分)あたり1果以上を確保しており、摘果の際に健全果の選別ができます。
・果実の重量、糖度、種子の数いずれも、梵天を使用した受粉方法の区と比較して大きな差はみられませんでした。
重さ | 糖度 | 種子の数 | |
梵天を使用した区 | 307.4グラム | 11.5% | 9.9個 |
ドローン溶液受粉区 | 305.7グラム | 11.3% | 9.2個 |
データ提供:新潟県農業大学校
【摘果(てきか)とは?】
果実が密集し、病気や害虫が発生してしまうのを防ぐため、生育が良いと期待される健全な果実だけを残すことを摘果といいます。
農業大学校での研究発表
日本なしの実証は、農業大学校の園芸経営科2学年果樹専攻生の課題として取り組まれました。
成果をまとめ、発表した内容は、全国大会で上位に入賞しています。
詳細は、新潟県農業大学校のページをご覧ください。
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- この記事に関するお問い合わせ先
-
産業振興部 農政課 農政企画係
〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地
電話番号:0256-77-8242
更新日:2023年08月22日