2016年度定期監査結果報告書(健康づくり課・保険年金課)

更新日:2021年03月01日

第1 監査の概要

1 監査対象

健康福祉部 健康づくり課、健康福祉部 保険年金課

2 対象期間

2016年度(2016年4月1日~2016年10月31日)

3 監査の実施期間

2016年11月7日(月曜日)~2016年12月26日(月曜日)まで(12月1日ヒアリングを実施)

4 監査の目的及び方法

 この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。なお、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。

5 監査の着眼点

  1. 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
  2. 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
  3. 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について

第2 監査対象の概要

(職員数は2016年10月末現在)

1 健康づくり課

【全体 職員数30名(うち管理職3名)、臨時職員6名】

健康推進係

【職員数6名(うち管理職1名)、臨時職員1名】

各種健診(検診)、各種予防接種、健康増進、健康づくりマイストーリー運動、母子保健、献血推進、骨髄移植ドナー支援、特定不妊治療、自殺対策、歯科保健、感染症予防および防疫指導等に関すること

保健センター

【職員数4名(うち管理職1名、本庁勤務3名)、臨時職員2名】

保健センター事業全般、施設管理、健康増進、健康づくりマイストーリー運動、自殺対策、育み相談コーナー等に関すること

保健センター母子チーム

【職員8名(うち育児休業中2名)、臨時職員1名】

療育体制・療育相談・療育教室、妊産婦健診、乳幼児健診、育児相談・離乳食相談、生活習慣病改善指導、母子栄養、幼児歯科検診、保健指導等に関すること

保健センター成人チーム

【職員6名、臨時職員2名】

健康増進事業、こころの健康づくり、自殺対策、特定健康診査、特定保健指導、生活習慣病予防教室、機能訓練事業、糖尿病検診・結果説明会、がん検診、骨そしょう症検診、成人・高齢者の栄養指導、介護予防事業、保健指導等に関すること

保健センター健康チーム

【職員5名】

健康づくり事業、保健推進委員協議会、食育推進計画、健康づくりマイストーリー運動、健康増進計画実践プロジェクト活動、保健推進委員協議会、食生活改善推進協議会、保健指導等に関すること

2 保険年金課

【全体 職員数18名(うち管理職3名)、臨時職員9名】

国保係

【職員数8名(うち管理職1名)、臨時職員5名】

国民健康保険事業の企画・運営・財政計画、被保険者の資格得喪、被保険者証の作成・交付、診療報酬審査、給付、第三者行為等による保険給付の損害賠償請求及び不当利得の徴収、被保険者の特定健康診査・特定保健指導、運営協議会等に関すること

年金医療係

【職員数9名(うち管理職1名、育児休業中1名、新潟県後期高齢者医療広域連合に派遣中1名)、臨時職員4名】

国民年金、老人医療費助成、未熟児養育医療給付、子ども医療費助成、後期高齢者医療、妊産婦医療費助成、重度心身障がい者医療費助成、精神障がい者医療費助成、ひとり親医療費助成等に関すること

第3 監査の結果

1 健康づくり課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  •  市民の健康行動の習慣化を目指す「つばめ元気かがやきポイント事業」は、今年4月~6月と9・10月を事業周知強化月間とし、地域や関係団体への事業説明や各種事業での周知活動等を行うなど参加者拡大に向けた取り組みを行っている。(表:登録者の状況)
  •  国の補助事業である「地域少子化対策重点推進補助金」を活用し、主にシニア世代を対象に、地域で子育て世代を支え、自らも生きがいや健康につながることを目的とした子育て応援団育成講座を開催した。2015年度の参加者のうち28人が修了生の会である「まごまご会」に入会し、乳幼児健診の会場で母親に声掛けするなど、子育てを地域全体でサポートする雰囲気づくりの活動を行っている。
  •  健康の保持・増進を図ることや疾病の早期発見・早期治療を促進することを目的に、健康診査、各種がん検診、骨粗しょう症検診等を実施している。(表:健康診査、各種検診の受診状況)
  •  メタボリックシンドローム該当者の割合は、2014年度は県内20市中ワースト2位である。対策として、健康教室や健康相談の開催、看護師による訪問指導等を実施したところ、2014年度特定保健指導を受けた人の2015年度の健診データでは、体重減少が6割、HbA1Cの改善が3割みられた。
  •  妊娠・出産・子育てについてのワンストップ総合相談窓口として、2015年4月から専任の保健師1名を配置し「 育(はぐく)み相談コーナー」を開設している。母子健康手帳交付時や出生届出時などを中心に個別の相談に対応したり、虐待・DVの疑いや産後の育児不安を抱えている人などの要支援者に対して支援プランを作成し、関係部署と連携し切れ目のない支援体制にづくりに取り組んでいる。支援プラン作成は、2015年度は32件、2016年度は10月末現在29件となっている。
  •  特定健診未受診者対策として、前年度未受診者の中で過去3年間に受診歴のある人に対し電話による受診勧奨を実施している。連絡の取れた人で受診に結びついたのは、2015年度は18人中8人、2016年度は32人中15人であったが、未受診理由で一番多いのが健診の必要性を感じていないということから、健康意識の啓発や受診のきっかけづくりが課題であるとしている。
  •  各種健診(検診)や健康づくりマイストーリー運動事業等の関係で切手を購入しているが、切手の受払については受払簿で管理し、いずれも月末に現物と帳簿の照合作業を行っている。
登録者の状況
  19歳以下 20~39歳 40~59歳 60~79歳 80歳以上 合計
2016年度(注釈) 28 900 1,538 4,961 756 8,183
2015年度(注釈) 59 579 1,182 3,955 574 6,349

(注釈)2016年度は2016年10月末現在の登録者数

健康診査、各種検診の受診状況
健診(検診) 対象者 平成28年度
受診率(%)
平成27年度
受診率(%)
特定健康診査 国民健康保険加入者(40~74歳) 42.8 43.6
後期高齢者健康診査 75歳以上 90.1 88.7
健康診査 19歳~39歳、40歳以上で生活保護受給者 55.4 55.8
胃がん検診 30歳以上 51.0 54.3
大腸がん検診 30歳以上 78.2 78.5
乳がん検診 集団・マンモグラフィ 40歳以上の偶数年齢の女性 84.8 79.5
施設 30~39歳及び40歳以上の奇数年齢の女性 38.5 45.2
子宮がん検診 20歳以上の女性 58.5 53.4
前立腺がん検診 50歳以上の男性 62.6 65.3
肺がん検診 胸部レントゲン 40歳以上(65歳以上の結核検診含む) 79.5 80.3
喀痰細胞診 40歳以上で高危険度群の人 88.9 71.0
骨粗しょう症 20歳~70歳の女性 46.9 44.0

(注意)特定健康診査は健康づくり課で実施した集団検診のみで、受診率の分母は国民健康保険担当課提供の対象者数。その他の健診(検診)の分母は申込者数、分子は受診者数。

(2)意見

 健康増進事業については、疾病予防と健康づくりを通じて将来の医療費負担を軽減するための取り組みとしても意義がある。各種健(検)診で早期に発見、治療するだけでなく、個人の責任で予防する時代でもある。「生活習慣病」は、生活習慣の改善で予防可能であり、予防することで医療費の増加に歯止めをかけることができる。メタボリックシンドローム該当者は県内20市中ワースト2位と悪い状況であり、メタボ予防の普及啓発を強化する必要がある。データと生活習慣を結びつけながら、生活習慣病への関心を高め、健康的な生活に自ら改善できるような働きかけや、特定健診等の未受診者に対し健診の意義を認識してもらえるような保健指導に努めるなど、健康の保持・増進に係る意識向上と行動促進に向けた取り組みを検討されたい。
 「育み相談コーナー」が設置されたが、相談する場所が分からず、相談出来ない人が出ないよう周知をしっかり考える必要がある。市民が立ち寄るところにチラシを備えるなど、有効かつ積極的な周知活動を検討されたい。また、関係部署が連携し、連絡・情報の伝達を密にするためのルール化、マニュアル化を図られたい。
 実費徴収金等の現金の取り扱いは、常に複数人で確認を行うよう引き続き二重チェック体制の強化に努められたい。

2 保険年金課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  •  精神障がい者医療費助成事業については、助成対象者は年々増加しているが対象者1人当たりの件数及び単価は減少している。(表:過去3年間の助成対象者数等の推移一覧)
  •  2015年度に入り国民健康保険の医療費に係る保険給付費が激増していたことから、分析を行ったところ、2015年1月診療分から異常な上昇が続いていること、県内他市と比べても高い状況が長期間継続していること、1人当たりの医療費(保険給付費ベース)が、対前年度同月比で非常に高い状態が続いていることが判明したとしている。
  •  高額レセプトの増加が医療費激増の大きな要因となっていたが、高額レセプトで最も増加した疾患は「脳梗塞」であり、なかでも脳梗塞再発者が多く含まれていたことから、脳梗塞の再発リスクが高いと考えられる人を対象に、臨時看護職による個別の家庭訪問を基本に、医療機関への適正受診や食生活を含めた生活習慣の改善等について保健指導を行う「脳梗塞再発予防事業」を2016年度から新たに開始している。
  •  2015年の日本の死因の10位にもなっている「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」について、認知度を向上させ、簡易検査の実施でCOPDを早期発見し精密検査受診勧奨を送付することで重症化予防につなげる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)進行予防事業」を2015年度から始めている。2015年度の検診において、受診者の14.8%にあたる60人に気流閉塞が認められ、その後専門医を受診した37人のうち81%の29人がCOPDと診断され、また、1人に肺腺がんが発見されている。
  •  後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進については、2015年6月の閣議決定において、平成29年央に70%以上とするとともに、平成30年度から平成32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする新たな数量シェア目標が定められているが、2016年7月診療分の普及率は70.03%となっており、1年早く目標を達成している。引き続き平成30年度からの80%以上という目標の実現に向け、ジェネリック医薬品の使用促進のための施策に積極的に取り組んでいくとしている。(表:「ジェネリック医薬品の使用促進事業(差額通知)」の効果一覧)
  • 返信用封筒貼付のために購入している切手の受払については、受払簿による管理を行っていなかったことから、受払簿を作成し複数人での確認を行うよう改善するとしている。
過去3年間の助成対象者数等の推移一覧
年度 2013年度 2014年度 2015年度
助成対象者数(注釈) 1,412人 1,482人 1,556人
助成延べ件数 5,138件 5,274件 5,234件
助成額(扶助費) 39,660,501円 40,152,712円 40,330,223円

(注釈)「助成対象者数」は各年度末時点の人数。

「ジェネリック医薬品の使用促進事業(差額通知)」の効果一覧
年度 通知回数 通数 効果実績(医療費ベース) 普及率
(注釈1)
2012年度 4回 6,570通 9か月 15,514千円 51.24%
2013年度 11回 8,629通 12か月 34,202千円 54.17%
2014年度 12回 5,448通 12か月 54,821千円 58.82%
2015年度 12回 6,353通 12か月 63,855千円 67.34%
2016年度
(注釈2)
7回 3,733通 5か月 33,956千円 70.03%
  • (注釈1) 普及率は後発品薬剤総量÷(先発総量[削減可能総量]+後発品薬剤総量)
  • (注釈2) 2016年度は11月1日現在(2016年7月診療分まで)

(2)意見

 精神障がい者医療費助成は、対象者の増加等により助成額の増加が見込まれる。今後、制度をいかに維持していくかが課題である。医療的ニーズが高く、その分経済的な負担が大きいと考えられるため、事業は市として実施していく必要があるが、増え続ける助成費を抑えるため、現行制度を継続しながら他の施策との連携の中で継続的な見直しを行い、福祉の増進と予算のバランスを検討されたい。
 ジェネリック医薬品利用差額通知書を送付した被保険者が、ジェネリック医薬品に切り替えたことによる削減効果が数字に表れている。医師会等との調整を図りながら、より具体的でわかりやすい周知を行うことにより普及率を上げ、さらなる医療費の抑制に努められたい。
 今後とも、レセプトや特定健診等の分析を踏まえ、課題を把握し効果的かつ効率的な保健事業の実施により、医療費の適正化に努められたい。

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