2016年度定期監査結果報告書(社会福祉課・長寿福祉課)

更新日:2021年03月01日

第1 監査の概要

1 監査対象

健康福祉部 社会福祉課、健康福祉部 長寿福祉課

2 対象期間

2016年度(2016年4月1日~2016年9月30日)

3 監査の実施期間

2016年10月6日(木曜日)~2016年12月1日(木曜日)まで(11月10日ヒアリングを実施)

4 監査の目的及び方法

この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。なお、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。

5 監査の着眼点

  1. 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
  2. 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
  3. 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について

第2 監査対象の概要

(職員数は2016年9月末現在)

1 社会福祉課

【全体 職員数28名(うち管理職6名(健康福祉部長、健康福祉部副部長含む))、嘱託職員7名、臨時職員3名】

児童福祉係

【職員数10名(うち管理職1名、うち産休・育休1名)、嘱託職員2名、臨時職員2名】

地域福祉計画、要保護児童対策地域協議会、民生委員・児童委員、保護司、児童虐待、こんにちは赤ちゃん事業、配偶者暴力、母子・父子家庭自立支援、母子生活支援施設入所措置、助産施設入所支援、児童扶養手当、日本赤十字社、社会福祉協議会、旧軍人・戦傷病者・戦没者遺族等の恩給及び援護、療育支援等に関すること

援護係

【職員数7名(うち管理職1名)、嘱託職員3名】

生活保護、生活困窮者自立支援、行旅人、就労支援、臨時給付金等に関すること

障がい福祉係

【職員数9名(うち管理職1名)、嘱託職員2名】

障がい福祉計画、各種障がい者(児)手当、障がい者基幹相談支援センター、障がい福祉サービス給付、補装具・日常生活用具等の各種助成、自立支援医療、障害者手帳、手話通訳、福祉相談等に関すること

2 長寿福祉課

【全体 職員数17名(うち管理職3名)、嘱託職員2名、臨時職員3名】

長寿福祉係

【職員数6名(うち管理職1名)】

高齢者福祉サービス、高齢者虐待、その他困難事例への相談・対応、成年後見等に関すること

介護保険係

【職員数10名(うち管理職1名)、嘱託職員2名、臨時職員3名】

介護保険事業、地域包括支援センター、介護予防・日常生活支援総合事業、在宅医療・介護連携推進事業、認知症施策、地域ケア推進会議等に関すること

第3 監査の結果

1 社会福祉課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • 生活困窮者自立支援事業の一環として今年度から新たに、家計収支の均衡が取れていないなど、家計に問題を抱える相談者に対して助言・指導を行い、家計管理能力を高め早期に生活が再生されるよう支援を行う「家計相談支援事業」に取り組んでいる。現在、準備期間として生活保護事業および自立相談事業への相談者を対象として当該事業内容を説明しているが、正式な相談者はいないことから、今後、広報紙等により周知を図っていきたいとしている。
  • 児童虐待は、早期発見と迅速な支援開始により重症化防止に向けた対応が求められている。2016年9月末現在、児童虐待に関する通告は48件、要保護児童数は110名といずれも増加傾向にある。その中でも、通告48件中20件(42%)、要保護児童数110名中41名(37%)が乳幼児に係るもので、高い割合となっている。
  • 2014年度に設置した「障がい者基幹相談支援センター」は、初期相談や困難事例に対する助言等を継続して行うことで、地域の相談支援専門員が孤立しない役割を果たしている。また、当該センターが中心となり、相談支援専門員の資質向上に向けた研修やサービス事業所と合同研修を実施し、地域支援者の連携体制の定着に向けた取り組みを続けている。
  • 2013年度から社会福祉課と長寿福祉課の職員からなる「福祉総合相談支援チーム」を設置し、月1回の定例会の開催により業務理解・知識の向上を図るなど、市民サービスの向上に向け、課を超えての連携体制を構築している。
  • 障がいの相談支援業務は専門性が極めて高く、実務と経験を兼ね備えた人材の確保と育成が重要であるが当該事業は収益性が極端に低いことから、優秀な人材確保と安定した事業運営を図るため、今年度「障がい者相談支援事業業務委託料」を2法人で各5,000千円、3法人で各4,000千円増額している。
  •  社会福祉課に事務局をおいている日本赤十字社燕市地区の資金管理において、現金の入金・出金について、現金出納帳は作成されていない。
  • 被保護者の資産及び収入状況等の調査(被保護者一人あたりにつき20か所へ年間60~70件)を関係機関に依頼する際の返信用封筒に貼付する切手を購入しているが、切手の受払については、受払簿を使用しての管理はおこなっていなかったため、今後受払簿を使用しての管理を行うよう改善するとしている。

(2) 意見

 生活困窮者自立支援事業では、従来の就労支援に加え今年度から新たに、家計に関する助言、指導を行い早期の生活再生支援を目的とした家計相談支援事業に取り組んでいるが、それぞれの取り組みをどう活かすか、また、他の事業とともに包括的な支援が行えるよう、より効果的な運用について検討されたい。
 要保護児童対策事業については、児童虐待の防止、早期発見、早期対応、再発防止のため、地域の医療・保健・福祉・教育などの関係機関が連携し、地域ぐるみで子どもの笑顔と安全を守るシステムの構築がさらに推進されることを期待する。
障がい者基幹相談支援センターは、地域の相談支援の中核的な役割を担う拠点として、また、総合相談及び専門相談のワンストップ化や、地域の事業者等との機動的な連携調整の担い手など、障がい者等が安心して生活できる地域づくりの要としてその機能と効果が期待されている。現在の地域の相談支援体制の特色と課題を整理し、地域の強みを活かしながら、より効果的な相談支援体制を構築していくため、基幹相談支援センター内の体制強化と、地域の指定相談支援事業所の体制整備及び相談員の資質向上に努められたい。

2 長寿福祉課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • 介護保険の要介護(要支援)認定者数は、2013年度末4,104人、2014年度末4,128人、2015年度末4,202人となっており、認定者数は年々増加している。(表:各年度末における要介護度別の認定者数一覧)
  •  在宅の介護保険サービスの利用料の一部を軽減する「社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担軽減事業」については、従来、燕市独自の基準で運用してきたため市の単独事業であったが、2015年7月から新潟県の基準に合わせたことで、当該事業は新潟県介護保険事業費補助金(補助率3/4)の対象となっている。
  •  介護予防における二次予防事業対象者(特定高齢者)を把握するため、2015年度は65歳以上の奇数年齢の人で要支援・要介護認定を受けていない人8,633人に生活機能基本チェックリストを送付し、有効回答数は5,929人(有効回答率68.7%)であったが、今年度はより介護予防の効果が見込める年齢層に絞るため、70歳以上の奇数年齢の人で要支援・要介護認定を受けていない人4,226人に送付し、有効回答数は3,014人(有効回答率71.3%)となった。
    なお、二次予防対象者については、通所型介護予防教室(健康教室)の紹介、訪問看護師による訪問指導を実施しており、基本チェックリスト未提出者のうち、独居世帯および高齢者のみの世帯については、地域包括支援センターによる訪問等により実態を確認している。
  • 医療と介護を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活を継続できるよう、在宅医療と介護サービスを一体的に切れ目なく提供できるよう医療機関と介護事業所の連携を推進していく中で、在宅療養に関するパンフレットの全戸配布、燕・弥彦医療介護センターのホームページ立ち上げ、医師会等との連携による市民向けのシンポジウムや講座を開催するなど、事業の普及啓発を行っている。
  • 2016年9月末日現在の各種高齢者福祉サービス負担金等に係る収入未済額は、延べ16件、389,510円となっており、本人死亡や相続人不明などにより回収困難な債権も含まれている。
  • おおむね65歳以上の人で要介護認定および要支援認定のいずれの認定も受けていない、ひとり暮らしや高齢者のみの世帯の人を対象に「生きがい活動支援通所事業」を、燕地区2会場、吉田地区3会場、分水地区1会場で実施している。
    また、おおむね65歳以上の人で要介護認定および要支援認定のいずれの認定も受けていない人を対象とした「高齢者交流ホーム事業」は、燕地区4会場、吉田地区2会場、分水地区1会場で実施している。(表:生きがい活動支援通所事業利用状況<燕地区>、生きがい活動支援通所事業利用状況<吉田地区>、生きがい活動支援通所事業利用状況<分水地区>)
  • 介護認定審査に必要となる主治医意見書の返信用封筒に貼付する切手を購入しているが、切手の受払については、受払簿を使用しての管理は行っていなかったため、2016年11月から受払簿を使用して管理するよう改善している。
各年度末における要介護度別の認定者数一覧
  要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 合計
2015年度 268 535 923 749 657 559 511 4,202
2014年度 254 527 958 738 682 499 470 4,128
2013年度 274 518 890 736 640 528 518 4,104

<燕地区>

  • 福祉の家(小中川)
  • 第二福祉の家(秋葉町)
生きがい活動支援通所事業利用状況<燕地区>
  実施回数 利用者数
(延べ人数)
利用者数
(延べ人数)
2015年度 242 1,926 43
2014年度 240 1,874 39
2013年度 197 1,380 36

<吉田地区>

  • 吉田老人センター
  • 吉田北公民館
  • 粟生津公民館
生きがい活動支援通所事業利用状況<吉田地区>
  実施回数 利用者数
(延べ人数)
利用者数
(延べ人数)
2015年度 206 1,333 33
2014年度 204 1,278 36
2013年度 205 1,286 34

<分水地区>

  • 生きがい広場地蔵堂
生きがい活動支援通所事業利用状況<分水地区>
  実施回数 利用者数
(延べ人数)
利用者数
(延べ人数)
2015年度 195 679 17
2014年度 196 694 14
2013年度 164 503 12

(2) 意見

 高齢者が住みなれた地域において、自立して安全・安心に充実した生活を送っていくためには、介護保険に加え、その他の多様なニーズに対応する保険外サービスを適切に提供していくことが求められている。老人ディサービス事業については、継続的に実施されてきた介護保険外サービスであるが、利用状況を的確に把握・分析し、事業廃止も含め利用実態に見合った事業内容の見直しについても検討されたい。
 また、高齢期の生活を安心、快適に過ごせるようにするため、加齢に伴う生活機能の低下と生活自立力の低下が生じるリスクに対しては、利用者が負担能力に応じてサービス選択を行える、多様な自費介護や生活支援サービスの整備充実を図ることが重要である。高齢者のニーズに的確に対応したサービスの仕組みの構築と拡充を望むものである。
 なお、サービス利用料等の債権管理においては、手順や台帳様式を定めるなど、事務処理を明確化しておくことが必要である。サービス利用者が応分の負担をすることで負担の公平性が確保されることからも、債務者と密に連絡を取り合い、未収金が生じないよう適正な債権管理に努められたい。

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