2018年度定期監査結果報告書(社会福祉課・長寿福祉課・議事課)

更新日:2021年03月01日

第1 監査の概要

1 監査対象

健康福祉部 社会福祉課、健康福祉部 長寿福祉課、議会事務局 議事課

2 対象期間

2018年度(2018年4月1日~2018年11月30日)

3 監査の実施期間

2018年12月5日(水曜日)~2019年1月29日(火曜日) (注意)1月15日ヒアリングを実施

4 監査の目的及び方法

 この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。また、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。
 なお、議事課の監査において、政務活動費に係る監査については、地方自治法第199条の2の規定に基づき、渡邉雄三監査委員を除斥した。

5 監査の着眼点

  1. 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
  2. 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
  3. 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について

第2 監査対象の概要

(職員数は2018年11月末現在)

1 社会福祉課

【全体 職員26名(うち管理職4名)、再任用職員1名、嘱託職員9名、臨時職員1名】

児童福祉係

【職員8名(うち管理職1名)、嘱託職員5名、臨時職員1名】

子どもの貧困対策、地域福祉計画、療育支援、社会福祉法人、民生委員・児童委員、母子生活支援施設入所措置、助産施設入所支援、要保護児童対策地域協議会、福祉施設管理、日本赤十字社、地域支え合い活動、児童虐待等家庭児童相談、配偶者暴力、こんにちは赤ちゃん事業、母子・父子家庭自立支援、特別弔慰金、旧軍人等の恩給及び援護、保護司、遺族会、児童扶養手当、児童手当、社会福祉協議会等に関すること

援護係

【職員8名(うち管理職1名)、再任用職員1名、嘱託職員3名】

生活保護、生活困窮者自立支援、就労支援等に関すること

障がい福祉係

【職員9名(うち管理職1名)、嘱託職員1名】

障がい者基幹相談支援センター、障がい福祉サービス給付、補装具・日常生活用具等の各種助成、障害者手帳、手話通訳等に関すること

2 長寿福祉課

【全体 職員19名(うち管理職4名)、嘱託職員2名、臨時職員4名】

長寿福祉係

【職員4名(うち管理職1名)】

高齢者福祉サービス、敬老会、在宅介護手当、紙おむつ支給、救急医療情報キット等に関すること

地域支援相談係

【職員8名(うち管理職1名)、臨時職員1名】

地域包括支援センター、介護予防・日常生活援総合事業、在宅医療・介護連携推進事業、認知症施策、地域ケア推進会議、高齢者虐待、成年後見等に関すること

介護保険係

【職員6名(うち管理職1名)、嘱託職員2名、臨時職員3名】

介護保険事業計画、介護保険資格管理、介護保険給付、居宅介護支援事業所の指定等に関すること

3 議事課

【全体 職員5名(うち管理職3名〔議会事務局長含む〕 )】

議会係

【職員2名】

議員報酬・費用弁償、議員共済関係及び公務災害補償、政務活動費、議長会、議員の表彰資料、議事堂の管理、議会図書室、本会議及び委員会、議会運営委員会、協議会その他会議、発言及び質問通告、請願書及び陳情書、議案・意見書・決議、議事日程及び諸般の報告、議会において行う選挙、本会議の会議録の調製、委員会の記録の調製、諸会議の記録、本会議の傍聴取締り及び警備、議決事件の処理報告、地方制度関係法規の調査等に関すること

第3 監査の結果

1 社会福祉課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • ア 特定の職員に時間外勤務が集中している傾向がみられた。これは「子どもの貧困対策事業」等、新規事業に加え相談業務などの日常業務が増加していることや、障がい担当職員数の減少もあり業務の平準化が困難な状況だったとしている。今後は人事担当と協議しながら引き続き人員の適正配置を要望していくとともに、極力業務量の平準化に努めていきたいとしている。
  • イ 要保護児童対策においては、以下のことを実施したことで関係機関への情報提供・情報共有がスムーズに行われるようになり、連携も強化され虐待の未然防止・早期発見・早期対応に繋がっているとしている。
    なお、2018年9月末現在、児童虐待に関する通告は33件、要保護児童数は120名で前年度同時期と比べると、通告数は同数であったが要保護児童数は5名増加していた。また、通告33件中19件(57.6%)、要保護児童数120名中43名(35.8%)が乳幼児に関するものであった。
    • 校長会や園長会議などに同席し、虐待未然防止・早期発見・早期対応について周知啓発に努めた
    • 市内各学校や各園に年2~3回訪問し、情報共有・連携を強化
    • 2017年度は学校関係、保育園等の園関係、民生委員・児童委員などを対象に、2018年度は小中学校の生活指導主任等を対象に虐待予防研修会を開催。また、園関係では三条地域振興局健康福祉環境部主催(燕市共催)の研修会に参加予定。
  • ウ 2016年度定期監査実施時、日本赤十字社燕市地区の経理(準公金)に関しては入金伝票及び出納簿が未整備であったが、同監査後、それらを整備し経理するよう改善している。また、切手の取り扱いの多い援護係において、切手受払簿による切手の在庫管理がなされていなかったが、こちらも同監査後に切手受払簿による管理を行うよう改善されている。
  • エ 生活保護法第63条に基づく保護費の返還金や同法第78条に基づく徴収金等について、債権発生年度別の未収額は次表のとおりである。これらの返還金等に関しては生活保護法で分割納付が認められており、最低限度の生活を維持できる範囲内の額で返還計画を作成し管理を行っている。厚生労働省や県の指導監査において、資産能力等を十分に活用したうえで保護の適用を受けるべきであるとの方針が徹底されたことから、2015年度以降の該当件数が増加している。今後は2019年度施行予定の債権管理条例に基づき適切に対応していくとともに、未納者やその親族、相続人への接触を積極的に行い未納額の減少に努めていくとしている。
債権発生年度別の未収額一覧
債権発生年度 件数 未収額
(2018年12月18日現在)
2009年度 1件 451,625円
2010年度 3件 976,374円
2011年度 1件 55,000円
2012年度 1件 45,361円
2013年度 2件 241,910円
2014年度 2件 259,191円
2015年度 10件 4,055,903円
2016年度 9件 2,466,054円
2017年度 5件 1,484,334円
合計 34件 10,035,752円

(2) 意見

時間外勤務について特定職員への偏り、集中が見受けられた。社会的にも喫緊の課題である子どもの貧困対策に新たに取り組むなど、複雑多様化する多くの福祉ニーズへ対応しなければならないことは理解できるが、職員の健康への配慮や仕事の生産性を上げるために、仕事の平準化や業務手法の改善に努められたい。
要保護児童対策においては、各機関との連携がスムーズになったということである。各種会合や研修会等を通じて、直接関係者同士が顔を合わせる機会が増えたことで情報の共有化や考え方の平準化が進んだものと思われる。今後とも各機関との連携を密にし、虐待の未然防止・早期発見・早期対応に努めていただきたい。
生活保護費返還金の収入未済額について、返還金の納付が複数年度にわたっていることや、不正受給により返還を求めているものもあるなどの説明を受けた。受給者とのコミュニケーションを十分に図り、不正受給等が生じないよう適正かつ公正な生活保護に係る事務の執行にあたられたい。また、収入未済額の中には返還が滞っているものや既に時効を迎えたものも含まれているとのことであるが、確実に債権を回収するために、早い時期から積極的に債務者と接触するよう努められたい。

2 長寿福祉課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • ア 各年度末における要介護度別の認定者数は次のとおりであった。(表:要介護・要支援認定者数)
  • イ 要介護3以上の認定を受けている人を在宅介護する家族に対して、介護者の精神的・経済的な負担の軽減を図る「在宅介護手当」については、要介護認定者の増加に伴う支給額の増加により財政面の負担が大きくなっていることから、今後見直しを行う予定である。支給額が県内20市の中で最高額であること、所得制限を設けていないこと、在宅日数の見直し、介護度ごとに支給額が異なっていることにより事務が煩雑となっていることなどが検討課題であるとしている。
  • ウ 紙おむつ支給事業のうち、要介護3以上の対象者は介護保険の任意事業として介護保険事業特別会計(介護特会)から支給を行っているが、2020年度で介護特会からの支給ができなくなり一般会計(一般財源)へ移行せざる得ない状況のため、対象者の縮小・支給額の減額など整理縮小の方向で見直しを行うとしている。
  • エ 全国的に介護職員の人材不足が問題となっているなか、燕市においても介護事業所が新卒学生を含め職員を募集しても集まりにくい状況が継続しているが、現状で利用者への介護サービス提供に支障をきたすほどの状況にはなっていない。市では市内の介護事業所や介護職員を支援するため、2016年度から介護職員研修費等助成事業を開始し、既に雇用されている介護職員が介護福祉士資格を取得するまでの研修費等を支援している。キャリアパスを通した職員の定着促進、処遇改善を図ることで、市内の介護人材の確保と定着、育成を行ってきた。また、本年度から11月11日の「介護の日」にあわせて、介護職員が自信と意欲を持って働き続けてもらえるよう、おおむね10年以上勤務している介護職員を対象とした「次世代を担うキャリアテン介護職員表彰」を実施するとともに、介護の魅力発信やイメージアップを図るため、介護の職場紹介や感謝メッセージの展示を行うなど、介護職員の確保に関する施策を講じてきている。
  • オ 地域住民が主体となって生活支援・介護予防サービスの充実を図るための「生活支援体制整備事業」は、2016年度に第1層の生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)1名を配置し、住民主体の通所型や訪問型サービスの立ち上げ支援の活動を開始し、2018年4月現在で通所型4か所・訪問型2か所が活動しており、引き続き立ち上げ支援を行っている。2017年度は4か所の生活圏域に第2層の生活支援コーディネーター(地域支え合い推進員)を各1名配置し、内容によって参集者は異なるが、地域包括支援センター、まちづくり協議会、自治会代表などと支え合い活動推進会議を4か所で立ち上げ、2018年度は地区ごとで取り組める活動に関しての話し合いが始まっている。2016年度からの取り組みの中から、現在市全体としては「移送」を一番の問題ととらえ、2018年度第1層の生活支援コーディネーターを中心に講演会(勉強会)の開催後、研修会参加者の有志が自分たちで何ができるか、ワーキンググループを立ち上げ話し合いを行ったとしている。
要介護(要支援)認定者数 (単位:人)
年度 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 合計
2017年度 301 543 985 787 719 598 476 4,409
2016年度 276 574 935 749 701 581 509 4,325
2015年度 268 535 923 749 657 559 511 4,202

(2) 意見

「在宅介護手当支給事業」や「紙おむつ支給事業」については、在宅で介護にあたる家族の経済的負担の軽減や福祉の増進等を目的としたものであるが、支給対象者の増加等により財政負担が大きくなっていることから、支給対象者の縮小や支給額の減額など整理縮小の方向で見直しを行う必要があるとの見解である。見直しにあたっては事業の目的が十分果たされ、かつ持続可能なものとなるよう検討し、広く納得いただけるよう市議会や市民等への説明が丁寧に行われることを望むものである。
第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、2018年5月に厚生労働省は将来の介護人材の必要数について推計結果を公表したが、それによると介護職員が2025年度には約34万人不足する恐れがあるとのことである。燕市においても介護事業所が新卒学生を含め職員を募集しても集まりにくい状況が継続しているとの説明を受けた。介護人材の確保と育成に関しては介護職員研修費等助成事業により、市内の介護事業所や介護職員の支援をしており、県内平均の離職率に比べ非常に低い値ということなので介護人材の確保と定着、育成に一定の効果を上げているものと思われる。また、今年度初めて実施したおおむね10年以上勤務している介護職員を対象とする「燕市次世代を担うキャリアテン介護職員等表彰」は、受賞者からも事業所からも大変喜ばれたようである。新潟県内でも特筆されるものであり、介護職員の自信と意欲向上、離職防止が大いに期待される。介護人材の確保は他の自治体と競争となっていることから、今後とも当該事業のように有効な施策が展開されていくことを期待するものである。

3 議事課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • ア 県内他市との均衡を図るため、議員一人当たりの政務活動費を2017年度から、それまでの月額12,000円を月額20,000円に増額している。月額20,000円は2018年4月1日現在、県内20市中6番目に高い交付額となっている。なお、収支報告書の添付書類の中に一部不備がみられた。
  • イ 政務活動費に関しては、より一層の透明化を図るためホームページで領収書を公開している議会もあるが、現在燕市議会では公開されていない。今後、議会広報等特別委員会の中で検討したいとしている。
  • ウ 議長交際費については内規を定めている。2014年11月に改正を行ったが、内規本文の文言修正作業が遅れていた。
  • エ ペーパーレス化を進めるため、2018年9月議会からタブレット端末を導入した。毎定例会で作成される執行部からの議案書、関連の説明書、同時期に開催の協議会の資料を電子化しタブレット端末で閲覧できるようにすることで、莫大な紙資源が節約されると同時に、印刷コスト、職員の帳合や各議員への配布のコストなどを削減することができた。また、議会事務局としても電話やファクス、郵送で行っていた議員への連絡や通知が瞬時に可能となり時間やコストの削減につながっている。さらに、議員活動においても、タブレットひとつで膨大な議案資料や各種の行政計画書を時間や場所を問わずいつでも市民へ提示ができ、説明に利用できるようになったことで政務活動の向上が図られた。
  • オ 「開かれた市議会」を目指し、本会議のライブ中継・録画映像の配信を行っているが、より開かれた市議会となるために各委員会の映像配信を行うことが課題の一つである。議会報等特別委員会で検討した際、本会議同様の配信設備を新たに整備するために約500~800万円の費用がかかることから、現在はより費用対効果のある方式がないかを模索中としている。

(2) 意見

政務活動費については、2017年度に一人月額20,000円に引き上げられた。証憑書類については適正に保管することはもとより、領収書の公開についても積極的に検討していくなど、より一層の透明化に努められたい。
議長交際費については、内規による支出基準が決められているが、一部明文化されていないものが見受けられたので、早急に明文化されることが望まれる。
2018年9月議会からタブレット端末を利用した議会資料の電子化が始められたが、ペーパレス化による紙資源の節減、市当局の資料作成に対する人的コスト、時間削減等の効率化が図られたことは大いに評価される。
 今後も市民に開かれた議会を実現するため、積極的かつ有効な情報発信の手法について検討を進められたい。

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