2018年度定期監査結果報告書(健康づくり課・保険年金課)

更新日:2021年03月01日

第1 監査の概要

1 監査対象

健康福祉部健康づくり課、健康福祉部保険年金課

2 対象期間

 2018年度(2018年4月1日~2018年10月31日)

3 監査の実施期間

 2018年11月5日(月曜日)~2018年12月25日(火曜日) (注意)12月7日ヒアリングを実施

4 監査の目的及び方法

 この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。なお、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。

5 監査の着眼点

  1. 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
  2. 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
  3. 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について

第2 監査対象の概要

(職員数は2018年10月末現在)

1 健康づくり課

【全体 職員30名(うち管理職5名)、嘱託職員1名、臨時職員5名】

健康推進係

【職員6名(うち管理職1名)、嘱託職員1名】

各種健診(検診)、各種予防接種、健康増進、健康づくりマイストーリー運動、歯科保健、母子保健、献血、骨髄移植ドナー支援、不妊治療、感染症予防・防疫等に関すること

保健センター

【職員5名(うち管理職3名、本庁勤務3名)、臨時職員1名】

保健センター事業全般、施設管理、健康増進、健康づくりマイストーリー運動、特定保健指導・国保保険事業、育み相談コーナー等に関すること

保健センター母子チーム

【職員6名、臨時職員1名】

母子保健、歯科保健、母子栄養、育児相談・離乳食相談、療育体制・療育相談・療育教室、妊産婦健診、乳幼児健診、幼児歯科健診、保健指導等に関すること

保健センター成人チーム

【職員6名、臨時職員2名】

健康増進、自殺対策、成人・高齢者の栄養指導、特定健康診査・生活習慣病予防、がん検診、骨粗しょう症検診、保健指導等に関すること

保健センター健康チーム

【職員6名、臨時職員1名】

健康づくり、健康づくりマイストーリー運動、食生活改善推進協議会、食育推進計画、保健推進委員協議会、健康増進計画実践プロジェクト活動、保健指導等に関すること

2 保険年金課

【全体 職員数19名(うち管理職3名)、臨時職員4名】

国保係

【職員8名(うち管理職1名)、臨時職員2名(うち保健センター勤務1名)】

国民健康保険事業の企画・運営・財政計画、被保険者の資格得喪、被保険者証の作成・交付、国民健康保険の診療報酬審査・保険給付、第三者行為等による保険給付の損害賠償請求及び不当利得の徴収、被保険者の特定健康診査・特定保健指導、国民健康保険運営協議会等に関すること

年金医療係

【職員10名(うち管理職1名、保健センター勤務1名、新潟県後期高齢者医療広域連合に派遣中1名)、臨時職員2名】

国民年金、後期高齢者医療、老人医療費助成、未熟児養育医療給付、子ども医療費助成、妊産婦医療費助成、重度心身障がい者医療費助成、ひとり親家庭等医療費助成、精神障がい者医療費助成等に関すること

第3 監査の結果

1 健康づくり課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • ア 2017年度および2018年度の各種健診(検診)の受診状況は次のとおりである。
    (注意:2018年度の受診率は2018年10月末現在の数値であり、確定値ではない)(表:受診状況一覧)
  • イ 特定健康診査未受診者対策として、保険年金課が実施している集団健診前の受診勧奨案内とともに、健康づくり課で前年度未受診者の過去3年間で受診歴のある人(有所見者)に対して、集団健診前(5~6月)に電話による受診勧奨を実施した。2017年度受診勧奨者22人中9人が、2018年度は17人中7人が受診につながっており、健診の受診体制だけでなく、健診の必要性の普及啓発や受診のきっかけづくりが課題だとしている。
  • ウ メタボリックシンドローム該当者の割合は、2014年度は県内20市中ワースト2位であったが、2016年度も同順位であった。
  • エ 2017年度及び2018年度に行った各種がん検診の未受診者対策は次のとおりであった。(表:未受診者対策一覧)
  • オ 国・県のガイドラインでは、大腸がん検診の対象者を40歳以上の一般住民とされているが、当市では30歳以上の一般住民としている。同様に、子宮がん検診の対象者は、20歳以上の女性で2年に1回(隔年受診)とされているところを、20歳以上の女性で前年度受診者であっても申込みがあれば対象としている。今後は検診費用の削減を図るため、国・県のガイドラインにあわせるよう、対象者の変更を検討したいとしているが、見直しに伴い住民と検診実施医療機関に多大な不利益が生じることから、代替となる実施体制の構築や燕市医師会及び実施医療機関の理解が必要となるので、関係機関と連携し十分な協議を重ねていきたいとしている。
  • カ 「第2次燕市健康増進計画」(計画期間:2013年度から2017年度)について、評価基準に基づき項目ごとに4段階で評価を行った。指標項目57項目中、『十分達成している (100%以上) 』が30項目、『概ね達成されている(80%以上~100%未満)』が2項目、『未達成だが基準値より改善した(80%未満)』が11項目、『基準値を下回った(計画策定時の基準値未満)』が14項目という結果となった(注意:2017年度の数値が確定していない項目20項目については、確定次第評価を行う予定)。基準値を下回った項目については、引き続き第3次計画(計画期間:2018年度から2022年度)において重点施策として推進していきたいとしている。課題としては、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞で死亡する割合が国や県より高く、その起因となるメタボの割合が国や県に比べ男女共に高いことのほか、地域や人とのつながりが希薄になっていること、若年者や高齢者の自殺率が横ばいであること、育児に関する不安負担を感じる人が増えていること等であるとしている。
  • キ 市民が元気で生き生きとした人生を過ごすために、自分のペースで自分に合った健康づくりに取り組むことで市民の健康行動の習慣化を目指す「つばめ元気かがやきポイント事業」への登録者数は次のとおりとなっている。(表:「つばめ元気かがやきポイント事業」への登録者数一覧)
受診状況一覧
健診(検診) 対象者 受診率(%)
2017年度
受診率(%)
2018年度
(10月末現在の数値であり、確定値ではない)
特定健康診査 国民健康保険加入者(40~74歳) 44.4

45.8

後期高齢者健康診査 75歳以上 25.5 23.6
健康診査 19歳~39歳、40歳以上で生活保護受給者 48.3 50.6
胃がん検診 40歳以上 7.7 7.2
大腸がん検診 30歳以上 14.6 14.1
乳がん検診
(マンモグラフィのみ)
40歳以上で前年度未受診の女性 13.0 10.7
子宮がん検診 20歳以上の女性 17.2 13.0
前立腺がん検診 50歳以上の男性 11.1 11.2
肺がん検診 胸部レントゲン 40歳以上(65歳以上の結核検診含む) 18.9 18.3
喀痰細胞診 40歳以上で高危険度群の人 71.6 65.9

(注意)特定健康診査は健康づくり課で実施した集団検診のみで、受診率の分母は受診票発行者数。その他の健診(検診)の分母は対象者数、分子は受診者数。

未受診者対策一覧
検診名 2017年度 2018年度
子宮がん検診 対象者(年度末年齢20歳以上の女性)のうち、21歳・26歳・31歳・36歳・41歳の人全員に受診票を送付(2,058名)。
また、10月3日時点で年度末年齢が20歳から40歳の未受診者に、受診勧奨ハガキを送付(2,937名)。
対象者(年度末年齢20歳以上の女性)のうち、21歳・26歳・31歳・36歳・41歳の人全員に受診票を送付(2,006名)。
また、10月19日時点で年度末年齢が20歳から40歳の未受診者に、受診勧奨ハガキを送付(2,699名)。
乳がん検診 対象者(年度末年齢40歳以上で、前年度未受診の女性)のうち、46歳・56歳の人全員に受診票を送付(1,046名)。
また、11月1日時点で未受診の人に、受診勧奨ハガキを送付(2,238名)。
対象者(年度末年齢40歳以上で、前年度未受診の女性)のうち、46歳・56歳の人全員に受診票を送付(1,066名)。
また、9月28日時点で未受診の人に、受診勧奨ハガキを送付(2,359名)。
大腸がん検診 対象者(年度末年齢30歳以上の人)のうち、7月10日時点で未受診の人に、受診勧奨ハガキを送付(3,010名)。 対象者(年度末年齢30歳以上の人)のうち、8月10日時点で未受診の人に、受診勧奨ハガキを送付(3,072名)。
「つばめ元気かがやきポイント事業」への登録者数一覧
  こども手帳 19歳
以下
20~39歳 40~59歳 60~79歳 80歳
以上
合計
2018年度(注釈) 3,943 41 1,078 1,952 4,506 786 12,306
2017年度(注釈) 3,300 40 1,096 1,865 4,616 765 11,682

(注釈)2018年度は2018年10月末現在の登録者数

(2) 意見

健康増進事業において、特定健診未受診者に対して電話による受診勧奨を行うなど努力していることがうかがわれるが、受診率向上には繋がっていない状況である。脳梗塞、脳出血、心筋梗塞を死因とする割合が国、県の割合より高くなっていることが燕市の課題とされていることから、喫緊の課題として、その起因ともなっているメタボリックシンドロームの解消に向けた第1歩でもある特定健診の受診率向上に向け抜本的な対策を講じていただきたい。
日本における死因順位の1位は1981年以降、「悪性新生物(がん)」となっている。厚生労働省は「がん対策推進基本計画(第3期)」において、個別目標として「男女とも対策型検診で行われている全てのがん種において、がん検診の受診率の目標値を50%とする」としているが、燕市において実施されている各種がん検診の受診率は、いずれも目標値を下回っている。がんは、早期発見、早期治療で治癒率が大きく高まる病であることから、高い受診率を達成している他市町村の事例を研究するなどし、受診率向上に向けた対策の検討を迅速に進めていただきたい。
自分にあった自分らしい健康づくりを目指した「健康づくりマイストーリー運動」も5年目を迎えるが、その中で「つばめ元気かがやきポイント事業」については目標値の登録者数「12,000人」を本年度上期でほぼ達成している状態である。特に「こども手帳」の取得者数は昨年を大きく上回っており、幼少期からの健康づくりの意識付けに貢献している。運動の推進状況を積極的に公表していくなど、一層の事業周知に励まれたい。

2 保険年金課

(1) 調書・聞き取りによる確認事項

  • ア 第1期の「燕市国民健康保険 保健事業実施計画」(データヘルス計画。計画期間:2015年度から2017年度)策定前から、他市町村に先駆けてジェネリック医薬品の差額通知事業や胃がんリスク検診などの医療費適正化事業を実施してきた。第1期データヘルス計画では現状の把握・分析により、課題に対応した事業選定及び目標・評価指標の設定を行い、既に実施していた事業の継続実施に加え、慢性閉塞性肺疾患(COPD)検診などの新規事業を実施した。保健事業等においては、PDCAサイクルに沿った実施を行い、全ての事業において医療費適正化について一定の効果があることが確認された。第2期データヘルス計画(計画期間:2018年度から2023年度)策定時も現状の把握・分析により、課題に対応した事業選定及び目標・評価指標の設定を行い、第1期計画で実施していた事業の継続実施に加え、近年問題となっている高齢者の多剤服用等に対する新規事業として「残薬・ポリファーマシー対策事業」を実施することとした。
  • イ 「残薬・ポリファーマシー対策事業」については、燕薬剤師会に当該新規事業の内容説明及び協力要請をしたところ、全面協力の賛同を得ることができ、加えて新潟県薬剤師会・県央薬剤師会からも事業協力の承諾を得るとともに、燕市医師会からも事業への協力を得るなど強力な連携体制を整えることができたとしている。
    「節薬(せつやく)バッグ」事業においては、薬剤(医療費)削減等の効果検証を行うため、各薬局が持参された残薬に対し処方量調整等を行った実績を「残薬調整等集計報告」に記録・集計・取りまとめ・報告を行ってもらうこととなっており、50歳以上で1か月に4剤以上処方(内服薬として長期処方)されている対象者1,774人を選定し、7月に「節薬バッグ」を送付した。
    また、「ポリファーマシー(多剤投与等)適正化事業」についても、燕市医師会、燕薬剤師会との事業連携及び新潟県薬剤師会・県央薬剤師会の協力のもと、60歳以上で1か月に6剤以上処方(内服薬として長期処方)されている対象者を選定し、10月から通知を開始して年度末3月まで毎月発送することとした。10月は126通、11月には138通を発送している。
  • ウ 国保係においては、例年、4月は窓口延長業務、7月は被保険者証と限度額適用認定証の年次更新のため時間外勤務が多くなる。さらに、今年度は医療費通知の納品が6月から7月に変更となったこと、被保険者証の発送業務を国保連合会との共同事業としたことによる確認作業の増加により、担当者の時間外勤務が増加した。担当者を複数人体制にするなどの対策を取っているが、年度の前半は作業効率を重視するため、やむを得ず経験年数の多い職員に業務が集中する傾向になっている。時間外勤務が多い職員には随時面談し、体調や進捗状況を確認しながら他の職員も加えた体制とするなどの改善を図りながら業務を実施しており、今後も特定の職員にのみ過度の負担がないように管理していきたいとしている。
  • エ 年金医療係においては、6月以降職員1名が欠員となったため、事務分担の見直しを行い現状の職員で複数の業務を補いながら事務を行ってきたが、特に6月、7月は医療費助成の申請件数が例年と比較して多くなったこと、後期高齢者医療業務の年次処理(保険料当初賦課・保険証発送)と重なったことなどにより、担当職員の事務量が増加した。また、10月は2019年度当初予算編成において、医療費助成制度の全体的な見直しを行ったことにより、時間外勤務時間が増加した。今後については繁忙期が終了し、事務量の平準化が整いつつあるので、特定の職員に業務が集中しないよう、適宜業務体制の見直しに努めていきたいとしている。
  • オ 国保保険者による医療費適正化に向けた取組みや実績を点数化し、それに応じて国から交付金が支給される「保険者努力支援制度」が2018年度から本格導入されたが、今年度分については、燕市は全国で第17位、県内市町村では第2位の評価を得た。

(2)意見

国保制度改正により、今年度から県が国保財政運営の主体を担うこととなり、国民健康保険特別会計の歳入歳出予算の形態は変化したが、国保連合会をとおした医療給付費の支払いは変わらない。医療給付費が増加すると次年度に納める納付金の上昇にもつながるため、医療給付費の抑制に関して不断の取組みが求められる。その意味では、医療費適正化、医療費削減のために他市町村に先駆けて行ったジェネリック医薬品の差額通知事業や胃がんリスク検診、また、2015年3月に策定した第1期データヘルス計画においては、既存事業の継続実施に加えCOPD検診などの新規事業に取り組んだ。そして、2018年3月に策定した第2期データヘルス計画においても現状把握・分析により、課題に対応した事業選定、目標・評価指標の設定をおこない、社会問題視されている残薬の対策として「節薬(せつやく)バッグ事業」、多剤服用対策として「ポリファーマシー適正化事業」を医師会や薬剤師会との連携により先進的に行っていることは大いに評価される。今年度から本格実施となった「保険者努力支援制度」においても、医療費適正化に向けた取組みや実績が評価され、約3,900万円の交付金が交付されており、国保財政にも良い影響をもたらしている。評価指標には各種健診(検診)の受診率も含まれることから、健康づくり課とも連携を密にし、今後とも医療費適正化に向け積極的に取り組んでいかれることを望むものである。
時間外勤務については、特定の職員に集中している傾向が見受けられた。今後、課・係内での業務量の平準化を図るととともに、人事担当とも相談しながら適正な職員配置を検討されたい。

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