2019年度定期監査結果報告書(営繕建築課・下水道課)
第1 監査の概要
1 監査対象
都市整備部 営繕建築課、都市整備部 下水道課
2 対象期間
2019年度(2019年4月1日~2019年12月31日)
3 監査の実施期間
2020年1月7日(火曜日)~2020年3月25日(水曜日)(注意)2月7日(金曜日)ヒアリングを実施
4 監査の目的及び方法
この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。なお、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。
5 監査の着眼点
- 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
- 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
- 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について
第2 監査対象の概要
(職員数は2019年12月末現在)
1 営繕建築課
【全体 職員11名(うち管理職2名)、嘱託職員1名】
建築指導係
【職員6名、嘱託職員1名】
市有建築物の営繕・予防保全、市有建築物の保全計画・調査・点検、建築物等の建築確認申請、道路位置指定、建築基準法第42条第2項の道路確認、新潟県福祉のまちづくり条例、建築物の耐震化促進、木造住宅耐震化補助、住宅リフォーム助成、民間建築物アスベスト含有調査、ブロック塀等撤去費補助等に関すること
公営住宅係
【職員3名】
公営住宅の建設及び管理運営、公営住宅使用料等に関すること
2 下水道課
【全体 職員15名(うち管理職3名)、臨時職員1名】
業務係
【職員4名、臨時職員1名】
下水道使用料、下水道受益者負担金及び分担金、下水道事業に係る起債及び一時借入金、西川流域下水道、排水設備資金の預託、公営企業法の適用等に関すること
計画管理係
【職員2名】
下水道計画、下水道事業計画、下水道受益者負担金算定、下水道台帳の整備保管、下水道施設及び荒井排水機場の運転維持管理、下水道事業の供用開始、下水道の普及促進、排水設備、汚水処理施設整備構想等に関すること
工務係
【職員6名】
燕・西川処理区における下水道整備計画、交付金の要望・申請、工事の設計・施工・監督、燕処理区における管渠の長寿命化工事、終末処理場における長寿命化工事等に関すること
第3 監査の結果
1 営繕建築課
(1) 調書・聞き取りによる確認事項
- ア 2019年度において、木造住宅耐震改修事業及び木造住宅建替耐震化事業は、申請が無いまま受付を終了した。耐震診断の件数も減少しており、その後の耐震設計・改修・建替耐震についてはなかなか理解が得られない状況である。現在、国の推奨するアクションプランを取り入れた新たな補助制度の検討を行っており、2021年度から事業を実施する予定である。
- イ 2010年度に定めた燕市公営住宅等長寿命化計画の見直しを行った。2015年度に策定した「今後の公営住宅の在り方について」(燕市公共施設等総合管理計画)で定めた「長寿命化を行う市営住宅等」の対象として6団地を選定し、屋根・外壁改修や設備関係修繕を計画した。また、令和3年度以降の大規模改修事業計画を明確にした。改修・修繕工事を行い長寿命化することにより、ライフサイクルコストを縮減することを目的としている。
- ウ 建築指導係では、それぞれの工事設計、積算、監理等で得た情報を係員全員で共有できる体制を整えており、係内で積極的にコミュニケーションをとることで、個々のスキルアップを図っている。設計を担当する際には、経験年数の長い職員と短い職員が組み、一緒に現場で打ち合わせを行うなど、人材育成に努めている。
- エ 市営住宅使用料等の収納率向上に向けて、文書催告、臨戸訪問、夜間催告等を行っており、未済額の圧縮及び滞納者の減少につながっている。2019年度は、悪質滞納者に対して法的措置である支払督促を行った。また、死亡滞納者の相続人調査を行い、相続人に対して催告を行った。
2019年12月末現在における、2018年度分以前の市営住宅使用料等の回収状況は次のとおりである。
使用料・貸付料 | 2018年度分以前 収入未済額 【件数】 |
2018年度分以前 収入未済額 【金額(円)】 |
左のうち 2018年度回収分 【件数】 |
左のうち 2018年度回収分 【金額(円)】 |
2019年12月末 現在 収入未済額 【件数】 |
2019年12月末 現在 収入未済額 【金額(円)】 |
---|---|---|---|---|---|---|
市営住宅使用料 | 1,516 | 18,528,206 | 102 | 1,478,112 | 1,414 | 17,050,094 |
市営住宅駐車場使用料 | 42 | 86,790 | 2 | 5,000 | 40 | 81,790 |
市有住宅使用料 | 226 | 3,707,411 | 5 | 100,000 | 221 | 3,607,411 |
県営住宅風呂貸付料 | 3 | 3,000 | 3 | 3,000 | 0 | 0 |
(2)意見
営繕建築課の事業として木造住宅耐震改修事業・木造住宅建替耐震化事業がある。地震はいつ何時に起こるかわからないものであり、不測の事態に備え木造住宅耐震改修事業・木造住宅建替耐震化事業は重要なものと考えられる。燕市においては2017年3月に改正された「燕市耐震改修促進計画」では「燕市地域防災計画」と整合性を取りながら策定され、目標として住宅の耐震化率を2020年度末までに約87%を下回らないこととしている。なかなか耐震化率の向上は難しいものと思えるが、営繕建築課ではこの目標達成に向け耐震化の補助事業内容を変更し、市民が使いやすいものとする予定とのことであり、実施に期待したい。
営繕事業を所管している建築指導係においては、市として公共的な建築物をつくる関係もあり、設計、維持管理の事務について二重・三重にチェックを行う必要がある。そのためには職員の技術、情報の蓄積が必要となり、工事設計、工事管理について経験を十分に積み重ねた人から技術及び情報を継承する必要がある。情報の共有、人材育成に一層努められたい。ただし、ルーティーン化した仕事にならぬよう最新の技術、情報の取得を怠らぬよう努められたい。
市営住宅等の家賃等の滞納について、連帯保証人に対する完納指導依頼を行っていると聴取した。連帯保証人の高齢化、世代交代等の問題を生じているようではあるが、完納達成に向けては重要なことである。怠ることなく継続されたい。
歳出予算の執行にあたり、直接営繕建築課の責任に帰することではないが、事業の完了後、時間が経過しての支払いがあった。歳出予算の執行漏れというリスクに繋がらぬよう予算の執行管理においては十分注意をされたい。
2 下水道課
(1) 調書・聞き取りによる確認事項
- ア 2020年度の地方公営企業法適用に向けて準備を進めている。資産調査及び資産台帳の作成は完了しており、会計システムについては2月に仮運用を行う予定である。
- イ 2018年度に「燕市汚水処理施設整備構想」を策定したことに伴い、全体計画の見直しを行っている。今年度は、区域の一部を廃止または追加して全体計画で定めた下水道計画区域を明らかにし、効率的な事業を実施するため、都市計画決定の変更を行う。また、事業計画についても、計画汚水量の適正化及び施設規模の最適化を図る計画に見直し、下水道経営の健全化を図るものである。
- ウ 下水道使用料は、水道局に徴収業務を委託して水道料金と一体徴収しており、未納者に対しても水道局から督促状、催告書、給水停止決定通知を送付している。多くの場合、給水停止措置が取られると水道料金及び下水道使用料が支払われるため、現年度分については高い収納率を維持している。(表:下水道使用料・年度別収納状況)
- エ 下水道受益者負担金の不納欠損は、2017年度74件、2018年度20件となっている。不納欠損の事由は5年が経過したことによる時効である。催告書の年2回送付を固定化したことにより現年度分の未納額は減少傾向にあるが、悪質滞納者の滞納処分等については、引き続き収納課と連携し、収納率の向上に努めたいとしている。(表:下水道受益者負担金・年度別収納状況)
下水道使用料 | 調定額 | 収納済額 | 収納率 | 収納未済額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
公 共 下 水 道 (注釈1) |
現年度分 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
259,930,626 | 200,175,243 | 77.0 | 59,755,383 |
2018年度 | 338,162,949 | 335,491,177 | 99.2 | 2,671,772 | ||
2017年度 | 333,975,589 | 330,120,539 | 98.9 | 3,855,050 | ||
滞納 繰越分 |
2019年度 (2019年12月末現在) |
3,692,871 | 806,801 | 21.9 | 2,886,070 | |
2018年度 | 4,341,204 | 3,293,891 | 75.9 | 1,020,007 | ||
2017年度 | 3,820,482 | 2,432,542 | 63.7 | 484,384 | ||
合計 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
263,623,497 | 200,982,044 | 76.2 | 62,641,453 | |
2018年度 | 342,504,153 | 338,785,068 | 98.9 | 3,691,779 | ||
2017年度 | 337,796,071 | 332,553,081 | 98.5 | 4,339,434 | ||
特 環 (注釈2) |
現年度分 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
4,957,014 | 4,932,582 | 99.5 | 24,432 |
2018年度 | 6,621,264 | 6,621,264 | 100.0 | 0 | ||
2017年度 | 6,578,334 | 6,571,530 | 99.9 | 6,804 | ||
滞納 繰越分 |
2019年度 (2019年12月末現在) |
0 | 0 | - | 0 | |
2018年度 | 6,804 | 6,804 | 100.0 | 0 | ||
2017年度 | 0 | 0 | - | 0 | ||
合計 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
4,957,014 | 4,932,582 | 99.5 | 24,432 | |
2018年度 | 6,628,068 | 6,628,068 | 100.0 | 0 | ||
2017年度 | 6,578,334 | 6,571,530 | 99.9 | 6,804 |
- (注釈1):燕市の市街地における下水の排除又は処理するための下水道。燕地区が終末処理場を持つ単独公共下水道、吉田・分水地区が流域下水道に接続する流域関連公共下水道として供用している。
- (注釈2):特定環境保全公共下水道。自然公園区域内の水質保全又は農山漁村の生活環境の改善を図るための下水道で、処理人口が10,000人以下の小規模下水道。燕市では長辰地区で供用している。
下水道受益者負担金 | 調定額 | 収納済額 | 収納率 | 収納未済額 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
公 共 下 水 道 |
現年度分 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
47,028,900 | 44,765,400 | 95.2 | 2,263,500 |
2018年度 | 56,781,300 | 55,763,600 | 98.2 | 1,017,700 | ||
2017年度 | 70,665,300 | 69,815,800 | 98.8 | 849,500 | ||
滞納 繰越分 |
2019年度 (2019年12月末現在) |
4,410,400 | 849,100 | 19.3 | 3,561,300 | |
2018年度 | 5,477,900 | 862,300 | 15.7 | 3,392,700 | ||
2017年度 | 7,909,000 | 598,700 | 7.6 | 4,628,400 | ||
合計 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
51,439,300 | 45,614,500 | 88.7 | 5,824,800 | |
2018年度 | 62,259,200 | 56,625,900 | 91.0 | 4,410,400 | ||
2017年度 | 78,574,300 | 70,414,500 | 89.6 | 5,477,900 | ||
特 環 |
現年度分 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
30,000 | 22,500 | 75.0 | 7,500 |
2018年度 | 60,000 | 60,000 | 100.0 | 0 | ||
2017年度 | 210,000 | 210,000 | 100.0 | 0 | ||
滞納 繰越分 |
2019年度 (2019年12月末現在) |
0 | 0 | - | 0 | |
2018年度 | 0 | 0 | - | 0 | ||
2017年度 | 0 | 0 | - | 0 | ||
合計 | 2019年度 (2019年12月末現在) |
30,000 | 22,500 | 75.0 | 7,500 | |
2018年度 | 60,000 | 60,000 | 100.0 | 0 | ||
2017年度 | 210,000 | 210,000 | 100.0 | 0 |
(2)意見
2020年4月から燕市下水道特別会計から公営企業会計である「燕市下水道事業会計」に移行する。2019年度はその移行に対しての重要な準備期間である。定期監査のヒアリング時においては指定金融機関とは最終調整中とのことで、時期的には懸念材料のひとつであった。この点に加え、公営企業会計は官公庁会計方式である単式簿記から、複式簿記に経理方式が変わることを考慮し、滞りなく正確、確実な会計移行を図られたい。また固定資産台帳の整備は確実に完了されたい。
公共下水道受益者負担金の不能欠損処分については、負担の公平性を確保するためにも時効が完結する前の対応が重要視される。対処の過程を明確に記録し、処分の根拠をはっきりとされたい。
委託契約については、随意契約が多いように思われる。契約を締結できる業者が限られている状況は理解するが、公営企業会計に移行することを踏まえて、会計の透明性を確保するため少なくとも指名競争入札が行われることを望みたい。
- この記事に関するお問い合わせ先
-
監査委員事務局 監査チーム
〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地
電話番号:0256-77-8371
更新日:2021年03月01日