2019年度定期監査結果報告書(税務課・収納課)
定期監査結果報告書(税務課・収納課) (PDFファイル: 252.8KB)
第1 監査の概要
1 監査対象
市民生活部 税務課、市民生活部 収納課
2 対象期間
2019年度(2019年4月1日~2019年10月31日)
3 監査の実施期間
2019年11月11日(月曜日)~2020年1月27日(月曜日) (注意)12月19日(木曜日)ヒアリングを実施
4 監査の目的及び方法
この監査は、財務に関する事務の執行が法令等に基づいて適正かつ効率的に行われているかを主眼として、監査対象課より事前に監査資料の提出を求め、諸帳簿、証憑書類等を審査し、関係職員から説明を聴取して監査を実施した。なお、行政監査の視点に立った監査も併せて行った。
5 監査の着眼点
- 財務に関する事務の執行(予算執行・収支・契約・出納保管・財産管理等)について
- 市民サービスの向上と事務事業の取組みについて
- 各課の事務内容と職務分担及び職員の勤務状況について
第2 監査対象の概要
(職員数は2019年10月末現在)
1 税務課
【全体 職員数25名(うち管理職3名)、臨時職員2名】
市民税1係
【職員数6名、臨時職員1名】
個人市県民税、法人市民税、税証明等に関すること
市民税2係
【職員数5名、臨時職員1名】
軽自動車税、たばこ税、国民健康保険税、介護保険料、税証明等に関すること
資産税1係
【職員数5名】
土地評価、固定資産評価審査委員会、相続税法第58条、登記異動、償却資産、税証明等に関すること
資産税2係
【職員数6名】
家屋評価、固定資産評価審査委員会、登記異動、税証明等に関すること
2 収納課
【全体 職員14名(うち管理職4名)、再任用職員1名、嘱託職員4名】
収納係
【職員4名、再任用職員1名、嘱託職員3名】
市税・使用料等の徴収・収納、滞納処分、催告書・督促状の発布、収納実績統計・調査、国保短期証・資格証、公示送達、預貯金等一斉調査、インターネット公売等に関すること
管理係
【職員4名】
収納管理、口座振替、収納記録、還付金、納税証明等に関すること
滞納整理室
【職員2名、嘱託職員1名】
高額、回収困難な案件等の滞納処分、新潟県地方税徴収機構等に関すること
第3 監査の結果
1 税務課
(1) 調書・聞き取りによる確認事項
- ア 電話対応マニュアルを作成し、市民からの電話照会の際には、課内で統一の対応をすることでトラブルを防いでいる。本人確認の方法や、電話で説明できる個人情報の範囲を定めるなど、個人情報保護にも努めている。
- イ 固定資産税の税額更正の多くは、家屋の新築、増改築、取り壊し等の未届けによるものである。2019年度において、補正率の適用誤り及び計算誤りによる更正は発生していない。
- ウ 相続放棄された土地は年々増加しており、2019年10月末現在で57件である。相続関係の調査を行っているが、時間がかかる上に相続人が見つからない場合も多い。相続財産管理人が選任されたのは57件中12件である。
- エ 2019年度分の個人市県民税の未申告調査については、2019年1月1日現在、市内に住所を有し、年齢23歳から65歳であって、障害年金を受給しているなどの収入情報がない507人に対して、収入状況の確認について尋ねる文書を郵送した。その結果、申告により増税となった件数は12件であった。
- オ 時間外勤務については、市民税係は年度の前半、資産税係は年度の後半に集中する傾向にある。それぞれ専門的な知識が必要なため、相互に協力し合うことが難しい状況ではあるが、可能な限り連携をとり、時間外勤務削減に努めたいとしている。
(2)意見
市税等の減免は、地方公共団体が自らの判断で、一部の納税者に対して租税を軽減免除するというあくまで例外的な措置であり、課税の公平性を犠牲にする側面も有するだけに、慎重な取り扱いが求められるところである。本定期監査対象期間においても市税等の減免は生じている。これらは各減免に関する取扱い規定等に則り処理されているが、前段の基本的考え方から逸脱せぬよう減免措置を行われたい。
ヒアリング時に電話対応マニュアルの作成について資料の提出があった。市の職員全体に言えることではあるが、市民との簡潔で適切なコミュニケーションをとることは重要な課題である。特に顔が見えない電話での対応は、意思の疎通、待つ側と待たされる側の時間感覚の違い、感情的な齟齬等が発生する可能性が生じる。パターン化された電話対応マニュアルの作成は、これらの問題解決策として有効である。市政の基本的施策に関する事項等の審議や行政運営全般に係る重要事項の伝達及び確認を行う経営会議において事務改善として紹介されているとのことである。他課でも参考にして同様なマニュアル作成を期待したい。
市税の公平・適正課税のための取組みについては、個々の所得調査が重要である。費用対効果も考えられるが、個人市民税の賦課においては文書での照会で終わらせず、一歩踏み込んで訪問調査にも注力されることを望みたい。また個人市民税に限らず、他の市税においても調査権限に基づく調査を適正に行い、課税客体や課税資料の的確な補足・収集に努められたい。
2 収納課
(1) 調書・聞き取りによる確認事項
- ア 現年度分の未納を最小限にとどめ、滞納繰越を抑制するための取り組みとして、現年度分だけの未納者に対し、3月末に一斉に催告書を発送する予定である。2019年度は、主に65歳以上の未納者について、訪問徴収を強化して実施している。比較的若年層の未納者への催告書送付時には、コンビニで納付できる期限を再設定した納付書を同封するなど、少しでも納付の機会を設けるよう工夫して催告を行っている。
- イ 納税の口座振替促進のため、納税通知書に口座振替の案内と口座振替依頼書を同封して発送している。広報やホームページでも積極的にPRを行っており、今後も継続して口座振替率向上に努めたいとしている。
- ウ 滞納処分等の事務処理には専門的な知識と経験を要するため、各種専門研修会に積極的に参加している。研修会で得た知識・重要事項等は、参加した職員が係員に説明して共有し、滞納整理マニュアルや業務マニュアルの加除・訂正にも役立てている。
- エ 税の負担の公平性を確保するため、厳正な滞納処分を行っている。滞納者には、催告書や財産調査予告等により自主的な納税や納税相談を促しているが、再三の催告や来庁要請に応じない滞納者に対しては、速やかに財産調査を行い、差押え、換価している。2019年度は、新たな滞納処分の取り組みとして、滞納者宅の捜索や、動産の差押えを行った。
(2)意見
税は、市財政の根幹をなすものであり、住民サービスの原資となるものである。収入未済の縮小については、負担の公平性確保の点からも重要であり、庁内各部署とも連携しながら継続して取り組まれたい。また、収入未済額の累積を防止するために、特に現年度に発生した未収金の確実な収納や滞納初期の迅速な対応に努められたい。
未収金の収納事務にあたっては、債権管理条例第5条に規定される市の債権に関する管理台帳の整備について、対象者ごとに管理簿等を整備することは当然として、逐次処理内容を記録し、債権管理の適正を確保されたい。
ヒアリング時に、滞納処分等の事務処理には専門的な知識と経験を要するため、積極的に県や地域の収税研修に参加していることを聴取した。限られた人員で複雑な滞納処分等の事務を処理することは容易ではないものであり、評価される。徴収に関わる職員の資質の向上のため、地方税法、地方自治法のみならず、民法及び商法等の関連法の研修にも一層努められたい。また、知識の習得だけでなく、課内において経験を持ち寄り、共有し、蓄積されたい。
最後に、債権管理条例の制定、滞納整理室も設置されたこともあり、さらに債権管理の徹底を図られたい。
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監査委員事務局 監査チーム
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更新日:2021年03月01日