所信表明(2022年第2回燕市議会定例会)

更新日:2022年06月14日

2022年6月14日に開会した第2回燕市議会定例会において、鈴木力市長が所信表明を行いました。ここでは、その全文を掲載します。

  • <はじめに>
  • <目指す都市像>
  • <3期12年を振り返って>
  • <4期目の政策課題とスローガン>
  • <新型コロナ禍からの早期回復>
  • <未来につなぐ新たな地方創生>
  • <職員の意識改革と能力向上>
  • <むすび>

2022年6月14日
第2回燕市議会定例会

所信表明

燕市長 鈴木 力

はじめに

令和4年第2回燕市議会定例会にあたり、所信表明の機会をいただき、ありがとうございます。4期目の市政運営に臨むにあたり、私の基本的な考え方を述べさせていただき、議員各位をはじめ広く市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げるものでございます。
私は、去る4月10日に執行されました燕市長選挙の結果、引き続き市政を担当させていただくこととなりました。
4期目となりますと一般的には多選の弊害が指摘されるところでありますが、決してそのような状況にならないよう、初心を忘れず、課せられた使命の大きさと職責の重さを厳粛に受け止め、市民の皆様の声に謙虚に耳を傾けながら、燕市政発展のために全力を尽くしていくことを、まずもってここにお誓い申し上げます。

目指す都市像

燕市長に就任して以来3期12年、私が一貫して目指してきた都市像は、「日本一輝いているまち・燕市」でした。それは、

  • 幾度もの経済危機を乗り越え、伝統技術と先端産業が融合する産業のまち燕
  • 子どもたちがスポーツや文化活動の全国大会で素晴らしい活躍をする燕
  • 市民活動が活発で、一人ひとりの笑顔が輝いているまち燕
  • 各界でグローバルに活躍する人材を多数輩出する教育のまち燕
  • 地方創生の旗手として、独自アイディアの施策をどんどん打ち出すまち燕

というふうに、産業、教育、スポーツ、福祉、環境など様々な分野で、市民活動や企業活動が活発に行われ、全国の人から「やるね!燕」、「凄いね!燕」と注目を浴びることにより、市民の皆様、とりわけ子どもたちが、ふるさとへの誇りと愛着、未来への夢や希望を持てるまちを実現することであります。

キラキラ輝いているふるさとの姿は、住んでいる者にとって誇らしく、それに触発されて子どもたちの夢は大きく膨らんでいくことでしょう。
一人ひとりが自分らしく輝いているまちは、まち自体もキラキラ輝いて見えるはずです。そして輝いているまちには多くの人が集まってくるはずです。

3期12年を振り返って

そのため、1期目においては、「燕はひとつ」を合言葉に、真の合併効果を目指して新生燕市の一体感の醸成に努めるとともに、産業の振興、教育・子育て環境の整備、医療福祉の充実などの課題に対し、ユニークで先進的なアイディアや工夫を加えながら積極的に取り組んでまいりました。
2期目においては、全国に先駆けて人口減少対策を明確に打ち出し、「燕よひかれ」というスローガンの下、(1)定住人口、(2)活動人口、(3)交流・応援(燕)人口という「3つの人口増戦略」を柱とした第2次燕市総合計画を策定し、人口減少に歯止めをかけ、地域の活力を維持・発展させていく施策を展開してきました。
3期目では、「やるぞ!燕 進め!未来へ」をスローガンに掲げ、人口減少社会への対応を中心とした「地方創生」を推進するとともに、行財政改革や土地利用の制約の解消など難しい課題にも挑戦し、次なる飛躍のための基盤づくりに取り組む施策をスタートさせました。
途中、折り返しの令和2年になると、新型コロナウイルス対策というこれまで経験したことのない新たな課題に直面することとなりましたが、幾多の経済危機を跳ね返してきた不死鳥・燕は、今回の未曽有の危機も市民総出で乗り越えようと、新型コロナ対策を「フェニックス11+」とネーミングし、先進的で総合的な取組を立て続けに実施してまいりました。

この間の市政の状況を見てみますと、ふるさと納税が7年連続新潟県1位になる、令和2年10月実施の国勢調査の結果、人口減少率が低い方から数えて、県内20市中ベスト3になる、国民健康保険の保険者努力ランキングで令和2年・3年と2年連続1位となる、などの成果をあげることができました。
また、人気テレビドラマのロケ地に選ばれたり、新型コロナ禍で帰省できない学生にふるさとからの支援物資を贈って注目されたり、東京オリンピック・パラリンピックの選手村食堂に金属洋食器が採用されたりと、燕市の名を全国に発信することもできました。
ここ数年、「燕市の良い話題がマスコミに数多く取り上げられるようになったね。嬉しい、誇りに思うよ」という言葉をよくいただきます。
また、昨年実施した市民意識調査では、37施策のうち約8割にあたる29項目の満足度が上昇し、本市を「住みやすい」と回答した人は89.4%、「これからも住み続けたい」と回答した人は 85.8%と、いずれも過去最高となりました。 
私としては、これまでの地方創生に関する施策が実を結びつつあり、また新型コロナ対策「フェニックス11+」に一定の評価をいただいた結果ではないかと受け止めておりますが、これもひとえに、市民及び市議会議員の皆様のご理解ご支援の賜物であり、心から感謝を申し上げる次第であります。
このように、良い方向で動いている燕市政を停滞、後退させてはいけません。
私は、引き続き市政運営の先頭に立って、「日本一輝いているまち・燕市」を市民の皆様と一緒に築いていく決意を新たにしているところであります。

4期目の政策課題とスローガン

さて、私は4期目の市政運営に臨むに当たり、優先的に取り組まなければならない政策課題は、2つあると考えています。 
1つ目は、新型コロナ禍からの“早期回復”です。新型コロナ感染症の拡大が始まって2年以上が経過しました。市民の皆様や事業所の皆様の我慢、ご苦労もそろそろ限界に近づいてきているのではないでしょうか。そのため、新型コロナ対策「フェニックス11+」を継続し、市民の皆様の命と健康を守る一方で、落ち込んだ社会経済活動をできるだけ早期に回復させることが、何よりもまず求められると考えています。
2つ目は、未来につなげる新たな“地方創生”です。新型コロナ禍という目先の課題にだけ捉われていると社会環境の変化に乗り遅れ、将来に禍根を残しかねません。人口減少、デジタル化、脱炭素などの社会課題に迅速かつ適切に対応し、長期的視点に立って持続可能な「日本一輝いているまち・燕市」を目指していくことも重要であると考えます。
私は、この2つの政策課題に取り組むに当たり、今回も新たなスローガンを掲げます。それは、『深化!進化!真価! 輝く燕』です。
これは、市民の一体感を醸成する「燕はひとつ」を深化、より人々の心に深く浸透させ、また、全国に先駆けて行ってきた3つの人口増戦略「燕よひかれ」を新たな課題に対応させながら進化、前に進め、さらに、難しい行財政改革にも果敢に挑戦する「やるぞ燕」の真価を発揮して、日本一輝いているまちを実現していこうという、いわばこれまでの集大成ともいうべきスローガンです。
4期目は、この『深化!進化!真価! 輝く燕』というスローガンの下、2つの政策課題、(1)新型コロナ禍からの早期回復、(2)未来につなぐ新たな地方創生に取り組み、「日本一輝いているまち・燕市」の実現を目指してまいります。

新型コロナ禍からの早期回復

1つ目の政策課題、新型コロナ禍からの早期回復について少しお話します。
現在、感染者数は減少傾向にありますが、未だいつ収束するのか先が見えません。しかし、決して明けない夜はありません。やまない雨もありません。
大切なことは、Withコロナ、即ち、感染症予防を徹底しつつ、一日も早く社会経済活動を回復させていくことです。
そのため、令和4年度当初予算や補正予算において、抗原検査費用の補助金創設、自宅療養者の生活用品購入支援など感染症対策の充実を図るとともに、フェニックスクーポン第4弾の発行や食べて応援キャンペーンの拡充による消費喚起策の実施、さらには事業再構築など新型コロナ禍からの経営立て直し支援などを行うこととしております。加えて、本6月定例会においても、物価高騰への対応など、新たな対策の予算を提案させていただきました。
今後も、燕市独自の感染症対策「フェニックス11+」を状況に応じてどんどん深化させ、社会経済活動が1日も早く回復できるよう取り組んでまいります。
1期目の合言葉「燕はひとつ」を深化させ、市民・産業界・医療関係者などが一丸となって、この新型コロナ禍を乗り越えていきましょう。

未来につなぐ新たな地方創生

その一方で、人口減少、デジタル化、脱炭素といった社会課題への対応も重要です。2期目のスローガン、3つの人口増戦略「燕よひかれ」を進化させて、2つ目の政策課題、未来につなぐ新たな地方創生を進めてまいります。
こちらについても、既に令和4年度当初予算編成の中で、幾つか新規・拡充事業を打ち出しております。例えば、

【1 定住人口増戦略】
第1の戦略、燕に住みたい、働きたいと思う人を増やす「定住人口増戦略」においては、

(1)産業の振興として
DX(デジタルトランスフォーメーション)や持続可能な開発目標(SDGs)の推進などで地場産業の振興と地域ブランドの向上を図ります。
また、シェアオフィス開設支援などにより新規創業を活発化させるとともに、進出企業と地場産業の連携による新たなビジネスの創出を図ります。
さらに、農業振興協議会を設置し、持続可能な農業を支援・育成する施策を展開してまいります。

(2)教育・子育て支援として
県央地域初の全天候型子ども遊戯施設を整備するなど、子育て環境の充実に取り組みます。
また、「読解力」育成プロジェクトやJ&B教室など長善プロジェクトにより、自律的に学習できる力の育成と個性を伸ばす教育を進めます。
さらに、学校や保育園等の計画的な改修・改築を進めるとともに、学校介助員の増員や燕労災病院跡地への県立特別支援学校誘致にも取り組みます。

(3)医療福祉の充実として
国民健康保険税の引き下げや補聴器購入費補助などを行うとともに、引き続き、妊産婦や子どもに対する医療費助成により経済的負担の軽減を図ります。
また、各種計画に基づき高齢介護施設、障がい者福祉施設の整備を支援するとともに、県に対し、県央基幹病院開院に向けた環境整備や県立吉田病院の早期改築を強く要望してまいります。

【2 活動人口増戦略】
次に、第2の戦略、地域の中でキラキラ輝く人を増やす「活動人口増戦略」においては、

(1)健康づくり・スポーツ振興として 
協定を締結した民間企業と連携し、職域での健康づくりマイストーリー運動の普及に努めるとともに、スケートボード場の整備やビジョンよしだの大規模改修など、スポーツ環境の充実を図ります。
また、オリンピアンやトップアスリートによる「ゆめみらいスポーツ教室」を開催し、子どもたちに夢と希望を与え、スポーツへの意欲や技術力向上を図ります。


(2)支え合いの地域福祉の推進として
経済的に恵まれない子どもなどへの支援のため、子ども食堂やフードバンク等に取り組む団体への助成金の拡充を図るほか、生理用品の配布やフードドライブに取り組みます。

(3)若者や女性の力を生かしたまちづくりとして
「燕ジョイ活動部」、「燕市役所まちあそび部」をはじめとする若者たちの主体的な活動をサポートし、全国に誇れる事例として発展させていきます。
また、仕事と子育てが両立できる職場環境づくりを進める企業を認定・助成する制度の拡充を図るなど、女性を含む多様な人材が活躍できる社会づくりに取り組みます。

【3 交流・応援(燕)人口増戦略】
次に、第3の戦略、燕を訪れたい、応援したいと思う人を増やす「交流・応援(燕)人口増戦略」においては、

(1)観光の振興として
産業史料館を核とした教育・体験旅行の誘致を図るとともに、大河津分水インフラツアーなど、新たな着地型観光を推進します
また、道の駅国上では、新たな指定管理者の下、キャンプ場やフードコンテナなど新規客層を呼び込むためのリニューアルを行います。

(2)燕市のファンづくりとして
大河津分水通水100周年を契機に、テレビ番組の誘致に加え、各種メディアやSNSなどでプロモーションを行うことにより、燕市の産業や歴史、文化などの魅力を市内外へ効果的・戦略的に発信していきます。
また、全天候型子ども遊戯施設を対象にクラウドファンディング型ふるさと納税を実施するなど、引き続き県内トップクラスのふるさと納税獲得を目指して取組の強化を図ります。

【4 都市環境の整備】
次に、第4の戦略、3つの人口増戦略を支える都市環境の整備においては、
新浄水場や安全な道路網の整備と公共交通の充実を図るとともに、総合的な空き家対策とまちなか居住を推進します。
また、国道116号吉田バイパス、国道289号燕北バイパスの早期整備に向けて、国・県への働きかけを強化していきます。
さらに、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを目指すこととし、市公式ホームページを通じて「ゼロカーボンシティ」の宣言・公表を行うとともに、その実現に向けて大規模公園等へのスマートライティングの整備や舘野最終処分場跡地へのメガソーラー発電の誘致、小型風力発電導入実現可能性調査の実施などに取り組み、脱炭素社会に貢献してまいります。

【5 行財政改革】
もちろん、行財政改革も大切です。3期目のスローガン「やるぞ燕」の真価を発揮させ、オンライン申請、オンライン相談の充実、住民票等のコンビニ交付サービス開始などデジタル市役所を推進するとともに、「建物系公共施設保有量適正化計画」等に基づいた施設の統廃合や民間活力の導入、更には受益者負担の適正化にも取り組みます。

以上、既に令和4年度当初予算編成の中で方向性を打ち出している新規・拡充事業について申し述べてまいりましたが、さらに今年度、第3次総合計画やまちづくりマスタープラン、行政改革推進プランを策定するなかで、「未来につなぐ新たな地方創生」を推進する政策の進化を図ってまいります。

職員の意識改革と能力向上

先日、4期目のスタートにあたり、職員に訓示を行い、あらためて仕事に取り組む基本姿勢について確認を求めました。それは
(1)市民目線に立って解決すべき行政課題を発見し、独自施策を立案していく政策集団となること。
(2)前例にとらわれず大胆に発想し、繊細に検討したうえで、コスト意識とスピード感を持って行動すること。
(3)施策の必要性や目的、費用対効果などを議会及び市民の皆様に分かりやすく説明していく仕事スタイルを根付かせること。の3つです。
これまでも職員の意識改革や能力向上に様々な取組を進めてまいりましたが、人材育成や組織の活性化は不断の努力が肝要です。
引き続き国、県、民間との人事交流の推進や研修の充実に取り組むとともに、民間活力の導入や市民・NPOなどとのパートナーシップを確立しながら、私と職員が一丸となって、大きな政府でもなく、小さな政府でもなく、小さいコストで大きな成果を上げる「賢い政府」を目指してまいります。

むすび

以上、4期目に優先的に取り組む2つの政策課題と組織運営の基本姿勢について申し述べてまいりました。
今年は大河津分水通水100周年。大河津分水は100年間燕市を洪水から守り、市民生活の安定と産業の発展をもたらしてくれました。
この100年の安心は、先人たちの200年にわたる挑戦があったから生まれたものです。大河津分水を建設した先人たちの情熱を受け継ぎ、ふるさと燕を次の100年へつなげていくことができるよう、『深化!進化!真価! 輝く燕』を合言葉に、「日本一輝いているまち」を共に目指してまいりましょう。
4年後、燕市は合併20周年を迎えます。20歳になった燕市が新たなリーダーのもとで、より一層の飛躍を遂げていくことを期待しつつ、私はその礎をつくるため、全力で4期目の市政運営に取り組んでまいります。
市議会議員の皆様、市民の皆様におかれましては、何卒ご理解とご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げまして、所信表明とさせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。

この記事に関するお問い合わせ先

企画財政部 企画財政課 企画チーム

〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地

電話番号:0256-77-8352

メールフォームによるお問い合わせ