2025年度施政方針(2025年第1回燕市議会定例会)
2025年3月5日に開会した第1回燕市議会定例会において、鈴木力市長が2025年度施政方針を発表しました。
ここでは、その全文を掲載します
2025年度(令和7年度)施政方針演説(全ページ) (PDFファイル: 611.5KB)
2025年度(令和7年度)新年度予算のポイント (PDFファイル: 7.3MB)
2025年度施政方針
2025年3月5日
第1回燕市議会定例会
燕市長
鈴木力(すずきつとむ)
はじめに
令和7年第1回燕市議会定例会にあたり、新年度に臨む私の市政運営の基本方針および主要事業について申し述べます。
昨年を振り返りますと、自然災害や長引く物価高騰、加速する少子高齢化など、地方を取り巻く環境はさらに厳しさを増した一年となりました。
自然災害については、昨年1月に発生した能登半島地震、全国各地で起きた豪雨被害など、改めて災害の恐ろしさとともに、かけがえのない市民の生命、財産を守るための取組を進めていく必要性を強く感じております。
経済面では、長引く物価高騰等により、多くの家庭や事業者にとって厳しい状況が続いており、本市においても、人件費や物件費、公債費の増加など避けがたい歳出の増加に直面し、従前の社会保障費の増加と併せて、難しい財政運営を迫られています。
加速する少子高齢化の進行は、経済、市民生活、医療・福祉など各分野に大きな影響を及ぼし、地域社会の活力を低下させる大きな要因となることが懸念されています。本市の人口減少は、県内他自治体と比較して、比較的緩やかとなってはいますが、出生数は想定以上に減少している状況であり、引き続き、人口減少対策に取り組む必要があります。
一方、本市は、人口減少や地域経済の縮小といった地域の課題に対応しながら、持続可能なまちづくりに向けて先進的に取り組む自治体として、令和6年5月、内閣府から「2024年度SDGs未来都市」に認定されました。また、令和6年秋に実施した市民意識調査の結果によると、本市を「住みやすい」と回答した人の割合は90.0%で、第3次燕市総合計画における目標値を達成するものとなっており、これらはいずれも本市が積み重ねてきた取組の一つひとつが実を結び、成果となって表れているものと捉えております。
こうした状況を踏まえ、令和7年度の当初予算案は、『「日本一輝いているまち燕市」の実現に向けて、未来への期待がふくらむまちづくり』をテーマに、『子育てするなら燕市で』と評価される施策や『安全・安心や活気をもたらす施設整備』を重点に置きながら、引き続き「定住人口戦略」、「活動人口戦略」、「交流・応援(燕)人口戦略」の3つの人口戦略を柱に据えた各種施策を深化・進化・真価させることをポイントに編成いたしました。
当初予算案の概要
それでは、令和7年度当初予算案の概要についてご説明申し上げます。
はじめに予算の規模についてであります。一般会計当初予算額は、長引く物価高騰や人件費上昇の影響のほか、分水公民館改修やB&G海洋センターの移転改築などの建設事業を含め、3つの人口戦略を柱に据えた各種施策に積極的に取り組むこととしたため、前年度比12億3,800万円増の492億6,300万円となりました。
また、市債の借換分を除いた「実質的な予算規模」は453億8,845万円、令和6年度の国補正予算を活用して前倒しで補正計上している繰越事業を合わせた「執行ベースの予算規模」は、前年度比53億487万円増の485億1,590万円となっています。
このほか、4つの特別会計の総額は、166億5,206万円となりました。
次に、第3次燕市総合計画の戦略体系に沿って、新規・拡充事業を中心に、新年度の主要事業を説明いたします。
なお、本市は、令和8年3月20日に合併20周年を迎えます。これを未来に向かって新たなスタートを切る機会と捉え、合併20周年記念事業を令和7年度から8年度にかけて行います。
戦略1 定住人口戦略
戦略の第1は、定住人口戦略であります。
燕市に住みたい、働きたいと思う人を増やすため、
- 活力ある産業の振興
- 次代につなぐ教育の推進・子育て支援
- 健やかに暮らせる医療福祉の充実
- 地域に根付く移住・定住の促進
を図る各種施策を総合的に展開します。
基本方針1 活力ある産業の振興
はじめに、「商工業の活性化」についてであります。
市内企業では、サプライチェーンの中で、世界的な脱炭素社会への対応を図る経営の必要性が高まっています。また、ISO等国際的な品質認証を求められるケースも増えているため、脱炭素に係る各種計画策定等の経費に対する支援事業や、国際規格であるISO9001等の認証取得に要する経費の支援事業に新たに取り組みます。
また、企業の生産性向上や競争力強化を図るための「DX生産性向上促進補助金」では、情報技術や自動化技術を活用した業務プロセスの効率化に要する経費等の上限額を引き上げます。
さらに、企業の働きやすい職場づくりを促進するため、男女別のトイレや更衣室の整備費用の一部を補助する支援制度を創設し、令和6年度から開始した「工場等遮熱断熱促進補助金」と併せて、つばめ子育て応援企業”プラス”の認定企業の場合は、上限額をそれぞれ引き上げます。
加えて、つばめJOBサポート事業では、企業の多様な人材確保を支援するため、地域活性化起業人制度を活用して、専門的なスキルを持つ人材と企業とのマッチングを行うほか、キャリアプランの作成を支援します。そのほか、高校生の企業見学ツアーや外国人材受入セミナーを開催するとともに、子育てママの再就職を引き続き支援してまいります。
施策2 農業の振興
次に、「農業の振興」についてであります。
燕市産農産物の認知度向上と消費活性化のため、県内有数の産地であるトマトのPR動画を作成するほか、「つばめ食べて応援キャンペーン」を引き続き実施するとともに、農業まつりに替わる収穫イベントを開催します。
また、猛暑による品質低下を防ぎ、農業所得の安定化を図るため、新潟大学との連携により高温耐性品種である「新大コシヒカリ」の試験栽培に取り組むとともに、先進技術の導入や農業経営の効率化、規模拡大に必要な機械等の導入を支援するチャレンジ・ファーマー支援事業では、年齢上限を75歳まで引き上げ、農業従事者の高齢化にも対応していきます。
さらに、本市の実情に即して「森林整備計画」を策定するほか、鳥獣による農作物被害等への対応方法を学ぶ「有害鳥獣セミナー」を開催します。
基本方針2 次代につなぐ教育の推進・子育て支援
定住人口戦略の2つ目の柱は、「次代につなぐ教育の推進・子育て支援」です。
施策1 教育の充実
はじめに、「教育の充実」についてであります。
「読解力」育成やSTEAM教育など特色ある教育を引き続き推進するとともに、こどもたち一人ひとりに寄り添う体制の強化・充実を図るため、これまで中学校内や校外に設置していた教育支援センターを、新たに小学校11校にも設置するほか、発達障がい通級指導教室を3校から7校へ増設し、さらには学びをサポートする学校介助員等の増員を図ります。
また、ICT教育を引き続き推進するため、児童生徒が使用しているタブレット端末を更新するとともに、燕市独自の教育プログラムである「つばめ長善プロジェクト」の「Jack & Betty プロジェクト」において、スピーチコンテスト参加者から選出する海外派遣親善大使を4人から8人程度に増やすほか、世界的に活躍する講師等による講演会や参加生徒同士が話し合うワークショップを行う「燕ミライトークセッション」を新たに始めます。このほか、「つばくろロボキッズ教室」や「長善館学習塾」の開催および「広報つばめ子ども版」の発行を通じ、引き続き、こどもたちの個性を伸ばし、新たな学びへの興味、関心を育みます。
部活動の地域展開では、本年9月を目途に「未来いきいき地域クラブ」の活動日を月2回からすべての土曜、日曜日に拡大するとともに、活動対象を吹奏楽以外のすべてのスポーツ・文化活動に広げ、さらには活動に関する連絡やスケジュールを共有できる管理・運営システムを導入するなど、地域全体で活動を支える仕組みの構築を着実に進めてまいります。
放課後児童クラブについては、老朽化が進んでいる大関なかまの会の施設を解体し、新たな放課後の居場所を整備するほか、利用者の増加に対応するため、燕南小学校内および吉田小学校内の児童クラブを拡張するとともに、オンライン上で出欠連絡が可能となるシステムを導入します。
このほか、奨学金および入学準備金貸付事業では、専門的知識や能力等の取得を目指す意欲ある学生への支援と保護者の経済的負担の軽減を図るため、貸付対象を大学院生まで拡大します。
施策2 子育て支援の充実
次に、「子育て支援の充実」についてであります。
本市の新たなシンボルとなる「ハレラテつばめ」を本年8月頃にオープンし、より多くの子育て世代の皆様に長く愛され、ご満足いただける施設となるよう運営してまいります。施設のオープンに合わせて、周辺の公共施設を含めたエリアを一帯で紹介するホームページを開設するとともに、大型のタブレットを各施設へ設置し、施設間の回遊性向上と「ハレラテつばめ」への来場促進を図ります。併せて、オープンに先駆けて、こどもに人気のテレビ番組キャラクターと歴代出演者によるファミリー向け公演を燕市文化会館において開催します。
また、こども一人ひとりに寄り添った支援を強化するため、こどもの個々の発達の特性を早期に把握し、必要な支援につなげるための5歳児健診を、専門のチームがすべての園へ訪問して行う形で、他自治体に先駆けて開始します。
さらに、こどもの健康や成長発達に関する書類等を保管するための市独自の子育て支援ファイルを新たに作成し、4か月児健診時などで配付するほか、市役所庁舎の1階に授乳等ができるボックス型のベビーケアルームを新設します。
加えて、仕事と家庭の両立を実現している家族や個人、地域の取組を募集し、表彰等を行う「つばともモデルエピソードアワード」に新たに取り組むとともに、平日に親子で参加できる子育てイベントを開催し、家庭や企業をはじめ、社会全体で子育てを応援するという「共育て」の機運醸成に努めてまいります。
子育て世帯の経済的支援では、赤ちゃんの紙おむつ購入費助成の対象を現行の0歳児から1歳児まで引き上げ、それぞれ年額1万円を助成するとともに、妊婦の歯科健診にかかる費用を全額助成に拡充します。また、第3子以降の保育料を無償とする範囲を第1子が18歳を超えるまでに拡大するほか、小中学校や保育園等での給食材料費の価格上昇相当分を市が負担し、保護者負担額を据え置く措置を、令和7年度は急騰している米価上昇分を上乗せして実施します。
このほか、現在、公立の保育園等で導入を進めている知育玩具について、私立園が導入する際の補助を開始するとともに、私立園が保育士資格を持たない保育補助者を雇用する経費を支援するなど、公立・私立ともに保育サービスの一層の充実に努めてまいります。
基本方針3 健やかに暮らせる医療福祉の充実
定住人口戦略の3つ目の柱は、「健やかに暮らせる医療福祉の充実」です。
施策1 保健医療体制の強化
はじめに、「保健医療体制の強化」についてであります。
「帯状疱疹」の発症および重症化を予防するため、新たにワクチンの定期接種に対応するほか、任意接種の助成対象を拡充します。
また、県央地域の医療従事者の確保・定着に向けて、新潟県地域枠で修学資金の貸与を行う獨協医科大学の医学生を2人に増やすとともに、引き続き、看護学生に対する修学資金の貸付を行います。併せて、県央地域の消化器疾患の検診や教育、予防体制の充実を目指し、県および弥彦村とともに、新潟大学寄附講座を継続し、県立吉田病院において医師の確保を図ります。
さらに、県央基幹病院を中心に、圏域内の医療機関が連携した切れ目のない医療体制を構築するため、市内医療機関が休日に診療する体制の確保にかかる費用を引き続き助成します。
施策2 高齢者福祉の充実
次に、「高齢者福祉の充実」についてであります。
高齢者の生活習慣病予防や介護予防等のため、低栄養リスクのある方への栄養士訪問を開始するとともに、健康教室等では、タブレットを使用した脳体力トレーニングを導入します。
また、今後見込まれる要介護認定者数の増加に対応するため、介護認定審査会にペーパーレス会議システムを試行導入するほか、介護人材の確保・定着を図るため、市内介護事業所で働く人を対象とした、奨学金の返還相当額の補助を引き続き行います。
さらに、聞こえが悪い方の円滑なコミュニケーションをサポートするため、市役所長寿福祉課の窓口に軟骨伝導イヤホンを設置するほか、高齢者のさらなる社会参画に向けて、新たに就労的活動支援コーディネーターを社会福祉協議会に配置します。
併せて、敬老事業については、米寿の方を対象とする敬老会の開催や、米寿と100歳の方を対象とするお祝い品の贈呈など、新たな形で実施します。
施策3 障がい福祉の充実
次に、「障がい福祉の充実」についてであります。
障がい福祉人材の確保・定着を図るため、新たに市内障がい福祉サービス事業所等で働く人を対象に、奨学金の返還相当額を補助する制度を創設するとともに、重症心身障がい者等に対応する専門的人材の養成等に係る研修を拡充します。
また、生活介護事業所が強度行動障がいのある人の受入を促進できるよう、新たな給付制度を導入するほか、人工呼吸器や電気式たん吸引器等の医療機器を使用している人の生命を守るため、身体障がい児・者の日常生活用具の給付対象品目に、停電時に使用する自家発電機やポータブル電源等の非常用電源設備を加えます。
さらに、障がい者雇用に対する理解促進と一般就労への移行に向け、引き続き、就労支援員のスキルアップ研修や、障がい者雇用に積極的な企業の取組紹介等を実施するほか、就労系サービス事業所の作業受託のマッチング等も支援し、受発注量の増加や工賃アップにつなげます。
基本方針4 地域に根付く移住・定住の促進
定住人口戦略の4つ目の柱は、「地域に根付く移住・定住の促進」です。
施策1 移住・定住希望者への支援
本市への移住希望者を増やすため、都内で開催される移住相談会への出展やオンラインでの移住相談、SNSでの情報発信、オーダーメイド型の移住体験ツアー、移住者向けの家賃補助、東京圏からの移住者を対象とした移住・就業等支援事業補助金等を引き続き実施します。
また、東京圏の大学に通う学生が県内就職に伴い本市へ移住した際、就職活動に要した交通費を引き続き補助するとともに、国の制度拡充に合わせ、移住に要した移転費の補助を開始します。
さらに、民間の移住マッチングサービスを新たに活用し、本市への移住希望者にプッシュ型の情報発信を行い、移住相談者や移住体験ツアー参加者の増加を図ります。
加えて、移住後も本市に住み続けてもらえるよう、定住に必要な情報や各種制度の案内、相談受付などニーズに応じた情報発信を行うとともに、移住者同士のみならず移住者と地域住民や若者団体とのコミュニケーションの場となるような交流会を開催し、地域活性化を図ります。
併せて、働き盛り・子育て世代などの移住者と定住希望者の住宅取得費の一部を助成する「移住家族支援事業」等を引き続き実施し、本市への移住・定住を促進します。
このほか、県外在住で本市出身の若者による交流組織「つばめいと」では、首都圏や燕市内での交流会を引き続き開催するとともに、「にいがた鮭プロジェクト」との連携に加え、大手人材・広告企業との連携による情報発信を行い、若者と「ふるさと燕」とのつながりの機会を創出し、将来的なUターンへつなげます。
戦略2 活動人口戦略
戦略の第2は、活動人口戦略であります。
- いきいきと輝く健康づくり・生きがいづくり
- つながり、支え合う地域社会の実現
- 一人ひとりが活躍できるまちづくり
を進めながら、地域社会の中でキラキラ輝く人を増やしてまいります。
基本方針1 いきいきと輝く健康づくり・生きがいづくり
活動人口戦略の1つ目の柱は、「いきいきと輝く健康づくり・生きがいづくり」です。
施策1 健康づくりの推進
はじめに、「健康づくりの推進」についてであります。
疾病の早期発見・早期治療に向け、胃がん検診に、従前のバリウム検診に加えて「内視鏡検査」を導入するとともに、女性の健康づくり応援事業において、女性に特有のがん等を検査項目とした女性限定のセット健診とプレコンセプションケア健診の対象年齢を広げ、検診体制の充実を図ります。
また、新たに行動経済学の理論を活用して特定保健指導の利用促進を図るほか、LINEで健康に関するコンテンツを配信し、市民の生活習慣の改善をサポートします。
さらに、「つばめ元気かがやきポイント事業」では、ポイント獲得の対象となる取組を増やすとともに、合併20周年記念の健康フェスを開催するなど、楽しみながら取り組める健康づくり運動を推進してまいります。
施策2 スポーツの推進
次に、「スポーツの推進」についてであります。
老朽化が進むB&G海洋センターについては、夏季の高温・冬季の低温対策による利用環境改善を図り、燕地区小学校のプール授業の受け皿として活用するため、隣接地に移転・改築します。
また、こどもたちのスポーツ環境の充実を図るため、吉田ふれあい広場において、昼夜を問わず雨天でも使用できる、照明付きの人工芝サッカー場を令和8年度に整備するための設計業務を行います。
さらに、吉田武道館と、ジムナスト分水において、施設利用者の熱中症リスクを低減するため、新たにスポットエアコン等を整備します。
このほか、大河津分水の桜並木のコースを楽しみながら走る「燕さくらマラソン大会」については、ゲストランナーとして福士加代子さんをお招きして開催するとともに、オリンピアンやトップアスリートを講師に招き、こどもたちに夢や希望をもってもらう「ゆめみらいスポーツ教室」を引き続き開催します。
加えて、こどもたちがスポーツを始めるきっかけづくりの場となるよう、さまざまなスポーツを体験できる新たなイベント「つばめスポーツキッズフェスタ」を開催します。
施策3 生涯学習・文化活動の充実
次に、「生涯学習・文化活動の充実」についてであります。
分水公民館については、老朽化した空調設備の改修や照明のLED化等の大規模改修を実施するほか、松長公民館については、危険箇所や不具合箇所等の修繕を行います。
また、文化会館自主事業として、ファミリー向け公演会のほか、合併20周年記念自衛隊音楽コンサートなどを開催するとともに、合併20周年を契機に、絵札に燕らしさを取り入れた「つばめトランプ」を製作します。
さらに、国の登録有形文化財である「燕市旧浄水場配水塔(水道の塔)」を保存し積極的な活用を図るため、令和6年度に策定した保存活用計画に基づき、保存修理に係る設計業務を行うとともに、越後平野で初となる、古墳時代前期の方形区画遺構が見つかった「石港遺跡」の記録保存に係る発掘調査を引き続き行います。
基本方針2 つながり、支え合う地域社会の実現
活動人口戦略の2つ目の柱は、「つながり、支え合う地域社会の実現」です。
施策1 地域福祉の推進
はじめに、「地域福祉の推進」についてであります。
ひとり親家庭や貧困家庭等のこどもが抱える課題に対応するため、こども食堂等において学習支援等を実施する際に係る費用の支援や、支援を必要とするこどもが高校受験に向けた模擬試験を受験する際の費用補助を行う「こどもの生活・学習支援事業」に新たに取り組みます。
また、困難な問題を抱える女性の相談体制を強化するため、専門で対応する女性相談支援員を新たに市役所窓口に配置します。
さらに、高齢者の複雑・複合化する相談や課題の早期解決を図るため、地域包括支援センターが弁護士と連携して、個別事例検討会議や同行訪問を新たに実施するほか、令和6年度に3名の市民後見人が誕生した「権利擁護支援担い手養成事業」では、引き続き、福祉従事者等を対象に、成年後見制度等に関する講座を開催します。
施策2 市民活動の活性化
次に、「市民活動の活性化」についてであります。
市民活動の活性化を図るため、引き続き、まちづくり協議会支援事業と協働のまちづくり推進事業により、市民活動団体を支援するとともに、自治会の活動活性化と役員の担い手不足解消に向け、アドバイザーによる伴走支援とLINE活用セミナーの開催により、持続可能な自治会運営を支援します。
基本方針3 一人ひとりが活躍できるまちづくり
活動人口戦略の3つ目の柱は、「一人ひとりが活躍できるまちづくり」です。
施策1 若者活動の活発化
はじめに、「若者活動の活発化」についてであります。
高校生を対象とした「燕市役所まちあそび部」では、新たにJR燕駅内に情報発信コーナーを設置し、その活動を広く発信して認知度向上を図るとともに、燕庁舎を活用した学習室の設置に向けたワークショップを開催します。
また、18歳から29歳までの若者を対象とした「燕ジョイ活動部」では、県内大学と連携を図りながら、自主的な活動のさらなる活発化を図ります。
施策2 誰もが活躍しやすい環境づくり
次に、「誰もが活躍しやすい環境づくり」についてであります。
仕事と子育ての両立に向けた職場環境づくりを進める企業を認定・助成する「つばめ子育て応援企業サポート事業」では、国が認定する「くるみん」などを取得した企業を、新たに「つばめ子育て応援企業“プラス”」として認定し、特設サイトでのPRや、各種補助事業の上乗せ等を行います。
また、2歳以上3歳未満の子を養育するために短時間勤務を行う子育て応援企業の従業員に対する補助制度を創設し、仕事と子育ての両立に向けた職場環境づくりを一層推進します。
さらに、「家事シェア」をテーマにした講座を開催するなど、共働き・共育ての機運醸成を図ります。
施策3 人権尊重・多文化共生のまちづくり
次に、「人権尊重・多文化共生のまちづくり」であります。
「第2次燕市人権教育・啓発推進計画」に基づき、差別や偏見のない明るい社会の実現に向け、引き続き、LGBTQ等さまざまな人権課題に関する啓発等を行います。
さらに、増加している外国人住民と地域住民がお互いの理解を深めることを目的とした「つばめ多文化交流会」や、燕市国際交流協会との連携による外国人向けの日本語講座および日本人向けの外国語講座を引き続き開催するほか、姉妹都市のアメリカ・ シェボイガン市との交流の活性化を図ります。
戦略3 交流・応援(燕)人口戦略
戦略の第3は、交流・応援(燕)人口戦略であります。
燕市を訪れたい・応援したいと思う人を増やすため、
- 魅力あふれる観光の振興
- つながりを活かした燕市のファンづくり
に取り組んでまいります。
基本方針1 魅力あふれる観光の振興
交流・応援(燕)人口戦略の1つ目の柱は、「魅力あふれる観光の振興」です。
施策1 着地型観光の振興
産業観光をより一層推進するため、産業史料館において、土蔵を改修したミュージアムショップの開設や、新たに導入したデジタル機材を活用した、地元企業によるワークショップの開催などの機能強化に取り組むほか、屋内広場や駐車場を活用した、燕のものづくりに関連したイベントを開催するなど、施設の利用促進を図ります。
また、市内企業が産業観光に資する取組を行えるよう、工業専用地域等の用途規制緩和に向けた検討を行います。
自然観光の拠点である道の駅「国上」については、駐車場拡張工事を引き続き進めるとともに、国上エリアの賑い創出を目的としたイベントを継続し、一層の誘客促進を図ります。
さらに、本市の食文化を観光資源として活用していくため、新たに「食」に焦点をあて、市民が勧めるお土産品グランプリ事業に取り組みます。
加えて、「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録や今後の国道289号八十里越の開通、インバウンド需要の回復など、当地域を訪れる観光客の増加が見込まれることから、市内観光における今後の対応策や方向性等をまとめた観光振興プランを新たに策定するとともに、近隣自治体と連携した観光プロモーションや海外へのセールスコール等を戦略的に展開し、さらなる交流人口の拡大を図ってまいります。
基本方針2 つながりを活かした燕市のファンづくり
交流・応援(燕)人口戦略の2つ目の柱は、「つながりを活かした燕市のファンづくり」です。
施策1 広域連携・都市交流の推進
はじめに、「広域連携・都市交流の推進」についてであります。
災害時相互応援協定を締結している南魚沼市や南陽市、南相馬市のほか、東京ヤクルトスワローズとの縁で始まった松山市や浦添市、西都市との交流事業を、引き続き実施します。
施策2 「ふるさと燕」のファン拡大
次に、「ふるさと燕」のファン拡大についてであります。
「ふるさと燕応援事業」においては、ふるさと納税をきっかけとした応援(燕)人口の拡大を図るため、全国の寄附者に向けて、質の高いお礼の品を贈呈して本市の魅力を発信します。併せて、クラウドファンディング型ふるさと納税においては、引き続き、文化財の保存・活用などを目的とした寄附を募集します。
また、東京ヤクルトスワローズとの連携を継続し、神宮球場でのイベント出展や野球教室、トークショー、田植え・稲刈りイベント等を開催するほか、アルビレックスとの連携等により、新たな燕市ファンの獲得を目指します。
さらに、燕市PR大使やスポーツ大使と連携し、イベントやメディアへの出演を通して、本市の魅力を全国に向けて効果的に発信してまいります。
加えて、「シンカするものづくりのまち燕市」を紹介するガイドブックを制作し、県内外へ燕市の技術力や魅力を広くPRするとともに、市民のシビックプライドの醸成を図ります。
併せて、8月頃オープン予定の「ハレラテつばめ」をはじめ、本市の充実した子育て支援施策を戦略的にプロモーションし、『子育てするなら燕市で』と市内外から広く認知してもらい、移住・定住人口の増加を図ります。
戦略4 人口戦略を支える都市環境の整備
戦略の第4は、人口戦略を支える都市環境の整備であります。
- 安全で安心して暮らせるまちづくり
- 持続可能な都市基盤の構築
の2つの方針に基づき取り組んでまいります。
基本方針1 安全で安心して暮らせるまちづくり
都市環境の整備の1つ目の柱は、「安全で安心して暮らせるまちづくり」です。
施策1 災害に強いまちづくり
はじめに、「災害に強いまちづくり」についてであります。
災害への備えを向上させるため、B&G財団の支援金を活用し、災害対策用の重機や防災倉庫等を整備するほか、避難所用にパーテーションやマット等の災害備蓄品の充実を図ります。
また、避難所における迅速かつ適切な支援につなげるため、避難者の受付等を効率化するアプリを導入します。
さらに、新たな耐震化メニューを追加した「地震に強い住まいづくり支援事業」を実施し、住宅の耐震化を強力に推進するほか、最大規模の降雨の際に浸水が想定される区域を示す「内水浸水想定区域図」を新たに作成し、内水対策の強化を図ります。
施策2 防犯・交通安全の推進
次に、「防犯・交通安全の推進」についてであります。
こどもたちの登下校時の安全を確保するため、通学路等に防犯カメラを新たに設置し、こどもたちの見守りを強化するほか、各地域における防犯カメラの設置費用を引き続き補助するとともに、警察や地区防犯組合等の関係機関と連携して、安全で安心なまちづくりを推進します。
施策3 良好な生活環境の保全
次に、「良好な生活環境の保全」についてであります。
家庭から出る食品廃棄量を減らすため、引き続き電動生ごみ処理機の無償お試し貸出を行うほか、生ごみ処理機の購入補助を実施します。
また、「カンカンBOOK・TOY事業」、「福服BOOK・TOY事業」では、事業所や市民の皆様から寄附いただく空き缶や古着の売却益を市内保育園などで使う絵本や玩具の購入に充て、次代を担うこどもたちの育成に寄与してまいります。
施策4 脱炭素社会づくり
次に、「脱炭素社会づくり」についてであります。
ゼロカーボンシティの実現に向けて、太陽光発電システムや蓄電池、高効率の空調機器および照明機器の導入に対する補助を行う「地域脱炭素移行・再エネ推進事業」を新たに実施し、市内事業者の再生可能エネルギーの活用や省エネの取組を促進します。
また、市内事業者を対象にCO2排出量を手軽に把握するためのサービスを無償提供することで、自社の現状把握と脱炭素経営につなげてもらう「中小企業CO2排出量可視化促進事業」を引き続き実施し、産業部門の脱炭素化を進めてまいります。
さらに、一般住宅の脱炭素化を推進するため、断熱性の高い新潟県版雪国型ZEH住宅の取得費を補助する「脱炭素住宅推進事業」を継続するほか、引き続き、道路照明のLED化を計画的に進め、民生部門、公共部門の脱炭素化も進めてまいります。
基本方針2 持続可能な都市基盤の構築
都市環境の整備の2つ目の柱は、「持続可能な都市基盤の構築」です。
施策1 空き家対策とまちなかの賑わいづくり
はじめに、「空き家対策とまちなかの賑わいづくり」についてであります。
空き家の状態悪化を抑制し、利活用を促進するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正に基づき、管理不全空き家を新たに定め、その所有者に適切な助言指導等を行うほか、早期の対策を促すため、空き家の改修・解体に関する補助制度を拡充します。
また、燕地区で一定の成果を得た中心市街地再生モデル事業では、新たに、市内3地区の都市機能誘導区域を対象に事業提案の募集を行い、官民連携によるまちなか再生の第二弾に取り組んでまいります。
さらに、まちなかへの誘客と賑わい創出を図るため、各地区の商店街エリアを中心に、こどもから大人まで楽しめるツバメルシェを開催するとともに、商店街店舗の改装を促進するほか、まちなかへの居住を推進するため、居住誘導区域における住宅の取得費用を補助します。
施策2 道路・公園の整備
次に、「道路・公園の整備」についてであります。
老朽化した道路施設や消雪施設について、引き続き計画的な更新や修繕を行い、適切な維持管理に努めてまいります。
また、「物流センターアクセス道路」の用地取得を行うほか、交通量の多い幹線市道の路肩を整備し、歩行者の安全性や快適性を確保します。
さらに、近年多発する局地的豪雨による道路冠水に迅速に対応するため、道路監視カメラを更新・追加設置するとともに、冠水センサーを導入します。
加えて、除雪オペレーターの担い手を確保するため、市内に本社事業所を有する除雪業務受託事業者に対し、大型特殊免許や技能講習に係る経費を補助する制度を創設します。
公園施設については、児童遊園を都市公園に編入し一元管理するための測量を実施するほか、「燕市公園施設長寿命化計画」に基づき、老朽化した遊具等の修繕・更新を引き続き実施します。
施策3 公共交通の利便性向上
次に、「公共交通の利便性向上」についてであります。
令和6年度策定の「燕・弥彦地域公共交通計画」に基づいて、引き続き、燕市循環バス「スワロー号」や弥彦・燕広域循環バス「やひこ号」、予約制乗合ワゴン車「おでかけきららん号」を運行するとともに、燕市コミュニティバス実証運行を継続します。
また、利便性向上のための施策として、コミュニティバスの休日運行についてニーズ調査等に着手するほか、利用者増加に向けた取組として、自治会等への出前講座などを通して、利用方法の周知を積極的に行います。
さらに、運転免許を自主返納した高齢者に対し、市内公共交通利用券等を交付するほか、障がいのある人のタクシー利用料等を補助し、生活の足である公共交通の利用を支援します。
施策4 水道水の安定供給と汚水処理の効率化
次に「水道水の安定供給と汚水処理の効率化」についてであります。
水道事業では、6年に渡る施工期間を経て、来る3月23日に竣工式を執り行う燕市・弥彦村統合浄水場の本格稼働により、安全・安心な水道水をお届けするとともに、重要給水施設管路の耐震化を引き続き進めてまいります。
下水道事業では、令和6年度策定の「燕市下水道事業経営改善戦略」に基づき下水道使用料の適正化を進めることとし、住民説明会等を通して丁寧な周知に努めてまいります。
また、「燕市汚水処理施設整備構想」に基づき、公共下水道が未普及の地区へ、計画的・効率的に下水道の整備を進めるとともに、下水終末処理場の耐震化や設備更新を行い、施設の長寿命化と安定稼働を推進します。
このほか、合併20周年記念のカラーデザインマンホール蓋を製作し、下水道の普及啓発に活用します。
戦略5 持続可能な行財政運営の推進
最後に、戦略の第5、持続可能な行財政運営の推進についてであります。
自治体業務のデジタル化をさらに推進するため、議会のインターネット配信において、議員の採決状況や一般質問時の補足資料等を表示でき、オンライン会議も行える議場会議システムに更新します。
また、小中学校における出欠等のデータ管理を「統合型校務支援システム」へ切り替え、教職員の業務効率化を図るほか、保育園内にWi-Fi環境を整備し、保育士の事務作業の効率化を図るとともに、公用車の走行距離等の記録をクラウドサービスで一元管理するシステムを導入します。
さらに、利用者の減少に加え、住民票等の各種証明書の取得等がコンビニエンスストアでできる環境となっていることから、令和6年度末で燕および分水のサービスコーナーを廃止するほか、老朽化が進む燕庁舎旧分館や市内小学校のプールを計画的に解体し、跡地の有効活用を図ります。
加えて、事務コストを削減するため、国民健康保険税の仮算定を廃止するとともに、前年度中に入札や契約を行う「ゼロ市債」を活用して、新年度早々に工事に着手することで「公共工事の施工時期や発注量の平準化」を図り、建設業の安定的な雇用の確保や働きやすさの向上につなげてまいります。
一方、歳入を確保するため、利回りの有利な債券を活用した基金運用の検討を進めるとともに、「ハレラテつばめ」にネーミングライツ制度を導入します。
市役所職員の人材確保については、採用スケジュールの前倒しや転職者に向けたPRを強化します。
むすび
以上、新年度の市政運営の基本方針と「ハレラテつばめのオープン」や小学校への校内教育支援センターの設置、統合浄水場の本格稼働、市内企業等における人材確保や定着に向けた経済的支援および働きやすい職場環境の整備促進など、“シンカ”させる事業を中心とした主要事業を申し述べてまいりました。
厳しい財政状況が続いておりますが、「未来への期待がふくらむ」予算編成ができたものと考えております。
今年の干支は、「乙(きのと)巳(み)」です。乙(きのと)は、植物の成長にたとえると、「種子の殻を突き破り、芽を出す状態」を意味し、また、巳(み、へび)は、脱皮を繰り返して成長することから生命力の強さを象徴しているとされています。
燕市は、どのような困難に直面しても果敢に挑戦を続け、脱皮を繰り返しながら、引き続き、「日本一輝いているまち燕市」の実現に向けて、職員一丸となり、全力で取り組んでまいります。
市民の皆様並びに市議会議員の皆様におかれましては、さらなるご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、令和7年度の施政方針とさせていただきます。
- この記事に関するお問い合わせ先
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企画財政部 企画財政課 企画チーム
〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地
電話番号:0256-77-8352
更新日:2025年03月05日