2012年度施政方針(2012年第1回燕市議会定例会)

更新日:2021年03月01日

2012年3月6日に開会した第1回燕市議会定例会において、鈴木力市長が2012年度施政方針を発表しました。ここでは、その全文を掲載します。

  • 【はじめに】
  • 【政策1 新しい活力を創造するまち】
  • 【政策2 未来の燕を担う子どもたちを育むまち】
  • 【政策3 生きがいとやさしさを実感できるまち】
  • 【政策4 快適で住みやすく、愛着を感じるまち】
  • 【政策5 利便性が高く、にぎわいを創るまち】
  • 【政策6 市民とともに築くまち】
  • 【分野横断事業】
  • 【むすび】

2012年3月6日
第1回燕市議会定例会

2012年度施政方針

燕市長 鈴木 力

はじめに

2012年第1回市議会定例会にあたり、新年度に臨む私の市政運営の基本方針及び主要事業について申し述べ、市民の皆さま並びに市議会議員の皆さまのご理解とご賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。

昨年3月、甚大な被害をもたらした東日本大震災の発生から、間もなく1年が経過しようとしております。被災地では、復旧・復興に向けた取り組みが本格的に進められておりますが、いまだ、行方不明の方が多数おられるほか、多くの方が故郷を離れた暮らしを余儀なくされているなど、いまだ深いつめあとが残っております。

ここに、あらためて、一日も早い震災復興と避難生活の解消を心よりお祈り申し上げます。

東日本大震災は、我々に日ごろからの災害対策の必要性、地域のつながりやボランティア活動の重要性などを再認識させてくれました。燕市においても今後これらの課題に適切に取り組んでいく必要があります。

また、我が国の社会経済情勢は、社会保障の持続性への不安に加え、円高や海外経済の失速による経済への悪影響が懸念されるなど、依然として先行きが不透明な状況が続いています。

燕市においても、長引く景気低迷の影響や少子高齢化の進展に伴う福祉・医療関係経費の自然増、老朽施設の建て替え等を中心とした合併後の建設事業の進捗に伴う公債費の高止まりにより、厳しい財政状況が続くものと見込まれます。

このような状況の中、2012年度の予算編成に当たっては、「燕市総合計画後期基本計画」に示した「目指すべき4年後の姿」を見据え、改めてこれまでの取り組みの成果や現状を検証し、スクラップ・アンド・ビルドや施策の重点化を基本に検討を進めてまいりました。

その結果、産業の活性化に全力を挙げ、教育・子育て環境の整備や医療・福祉の充実、防災・減災対策の強化など、目の前の課題にきめ細やかに対応するための各種事業の充実を図るとともに、将来に向けて必要な施策についても重点的に取り組む予算となりました。

2012年度の一般会計予算案の総額は、355億4,800万円であり、これは、2011年度当初予算と比較して4,300万円、0.1%の減額となっております。

一層効率的な行政運営による経費削減や税収の確保に努め、限られた財源の中、総合計画後期基本計画における次の6つの政策を柱として、子どもたちが未来への夢や郷土への誇りを持てるような「日本一輝いているまち・燕市」を目指して、全力で取り組んでまいります。

政策1 新しい活力を創造するまち

1.ものづくり活性化への支援

一つ目の政策は、「新しい活力を創造するまち」であります。

燕市の基幹産業である製造業については、穏やかな持ち直しが続いているものの、ユーロ圏の金融危機に伴う円高や海外景気の減速懸念から、今後の先行きを不安視する声が多く、予断を許さない状況が続いています。

このような状況の中、事業者の経営安定化対策に取り組むことはもちろん、経済環境の変化に果敢に対応していく企業を応援するため、地域産業のグローバル化や新規需要創出の支援、新たな産業分野への進出支援を行います。

具体的には、海外での事業機会獲得を視野に入れている事業者が増えてきていることから、新たに中小企業新市場調査研究会の設置や海外展示会への参加などにより、事業者の海外販路開拓を支援してまいります。また、9月には、加工技術の国際会議が燕市で開催されることから、この機会を通じて「産業のまち燕市」を広く世界に発信してまいります。

次に、燕の金属加工産業の特性を活かし、今後成長が期待される産業への進出を積極的に推進するため、付加価値の高い新商品・新技術の開発経費への補助を継続するほか、新潟大学や大手企業との連携による研究会や技術シンポジウムを開催します。
とりわけ、昨年設置した医療機器産業の研究会については、試作品の開発や医療機器展示会への共同出展などに取り組みます。

また、小規模事業者を中心とした展示会出展を実施するほか、地域企業の品質管理体制の底上げを図るため、産業界が行う燕版ISO事業への支援を行います。
併せて、学校給食センター改築を見据え、昨年度から調査研究を行ってきた地元産業界と調理現場による、より使いやすい食器や調理器具などの開発にも引き続き支援してまいります。

2.観光の振興

次に「観光の振興」についてであります。

近年の観光は、地域の自然・人とのふれあいを求める体験交流型や個人観光型へと転換してきており、旅行者のニーズも多様化しております。

引き続き着地型観光を推進していくため、昨年スタートしました燕・弥彦産業観光戦略会議と連携を図りながら、広域観光の拡大や磨き屋一番館での磨き体験、鎚起銅器の工房見学などのオンリーワンの素材を中心に、新たな観光商品の造成とそのPRを行うとともに、ボランティアガイドの育成にも努めます。

また、産業観光の核となる産業史料館の入館者増加のため、地場産品の展示販売コーナーや休息コーナーを新たに設置するとともに、企画展の充実や幅広い学生との連携による学習・勉強ツアーを実施し、入館者の増加と活性化を図ります。

3.商業・建設業の振興

次に「商業・建設業の振興」についてであります。

商業の振興につきましては、昨年度に引き続き「商店元気塾」を開催し、個店の経営力や魅力づくりを支援するとともに、新たに市内商店街の各個店の商品の魅力を対外的に広く情報発信し、イベントを通じた賑わいづくりと併せながら商店街の活性化に取り組みます。また、JR吉田駅が今年100周年を迎えることから記念イベントを実施いたします。

建設業の振興につきましては、2010年度から実施し、大きな経済効果を上げてきた住宅リフォーム助成事業を2年間延長するなど、市内建築関連業者の受注機会の増進とさらなる活性化を図ってまいります。

4.農業の振興

次に「農業の振興」についてであります。

近年、地域産品への理解を深める施策の充実や販路拡大への対策が求められていることから、燕市産コシヒカリの「飛燕舞」や「つば九郎米」のブランドの確立と、農畜産物・加工品などの販路拡大を目指し、首都圏の消費者に情報発信を重ねるとともに、町田市民との農業体験交流やヤクルトスワローズとの交流連携による販路開拓にも引き続き力を注いでまいります。

また、自然環境への関心が高まり、環境保全型農業が重要視されていることから、新たに環境に配慮する農業者(エコファーマー)の育成とその活動支援に力を入れるとともに、今年度も継続して、農業基盤整備や村づくり交付金事業などに取り組み、農産物の良好な生産条件を整備いたします。

さらに、燕産農畜産物や加工品などを原材料とした食品加工、流通販売を行う6次産業化を推進するため、先進地での研修会や専門家による指導会を開催し、地元食品業界・菓子業界などと連携しながら、燕市の「6次産業化商品」の開発を目指します。

政策2 未来の燕を担う子どもたちを育むまち

1.燕らしい特色ある教育の推進

二つ目の政策は、「未来の燕を担う子どもたちを育むまち」であります。

燕市の未来を担い、次の時代をリードする人材の育成を目指し、「教育立市宣言」を具体化するため、幼稚園・保育園、小学校及び中学校の連続性を重視した教育や燕の伝統・文化に関する教育の充実など、「燕らしい特色のある教育の推進」に取り組みます。

具体的には、昨年度からの継続実施となる「つばめおはようタイム」、「燕長善タイム」では、指導方法の改善などに取り組み、子どもたちの学習への意欲、集中力の育成を推進するとともに、児童生徒の「言葉の力」の育成を図るため、新たに新潟大学教育学部とのパートナーシップ事業に取り組みます。

また、2011年度に作成した「つばめっ子かるた」「燕ジュニア検定問題集」を活用し、幼稚園・保育園等では「かるた大会」、小学校では「検定試験」を実施するなど、子どもたちが地域の歴史や文化等を楽しく学びながら、ふるさとへの誇りと愛着を育む活動を推進します。

「子ども夢基金」を活用した事業につきましては、昨年度から実施している全国スポーツ大会等に出場する小・中学生の遠征経費の補助に加え、今年度は新たに、子どもたち自らが企画・運営を行う事業への助成やクラブ活動やまつりの音楽パレード等で使用する楽器の整備を行いながら、子どもたちの夢の実現を応援します

2.教育環境の向上

次に「教育環境の向上」についてであります。

未来に向かって成長する子どもたちのためには、安全で安心かつ質の高い教育環境を整備することも重要であります。

安全で安心な学校給食を提供するため、老朽化した吉田地区と分水地区の給食センターを統合し、新しく給食センターを建設するための基本設計等を行います。

また、教職員の指導力向上を図ることを目的とした先進校の視察研修事業の拡充を図るとともに、子どもたちの学習意欲を引き出し、分かりやすい授業を展開するため、ICT機器導入校を大幅に拡大します。

さらに、国の2011年度補正予算に伴い採択された5ケ所の小中学校改築・大規模改造事業については繰越事業として実施させていただきます。

3.子育て支援の充実

次に「子育て支援の充実」についてであります。

安心して子どもを産み健やかに育てていくには、子育て環境を整備し、多様な保育サービスなど子育て世代のニーズを踏まえた取り組みが必要と考えます。

幼稚園・保育園の適正配置に関しては、幼稚園と保育園を一体化した施設を整備するとともに、既存の施設を統合して新たに民営化により整備する保育園の建設や耐震補強が必要な私立保育園に対して補助を行います。

また、保護者が安心して子育てと仕事ができる環境を整えるため、新たにファミリー・サポート・センターを活用した病後児保育の実施に向けて具体的な取り組みに着手するとともに、私立保育園での障がい児保育を推進するための新たな補助制度を設けます。

さらに、各児童館・子育て支援センター等での催事情報など子育て世帯にとって有益な情報を、携帯電話を利用してメール配信する「子育てつばめール」の運用を開始します。

政策3 生きがいとやさしさを実感できるまち

1.市民が主役の健康づくり

三つ目の政策は、「生きがいとやさしさを実感できるまち」であります。

近年、社会環境や生活環境の急激な変化により、生活習慣病などの予防が喫緊の課題となっています。

乳幼児から高齢者まで、市民が健康で、笑顔で暮らせるまちづくりを進めるため、保健センターの体制強化を図るとともに、病気予防の観点から、各種検診を実施し、病気や身体の異常の早期発見につなげていきます。また、検診後のフォローアップなど健康になろうという市民の意欲を引き出すための取り組みを充実させます。

さらに、市民の健康づくりを全庁挙げて推進するため、「健康づくり100日運動」について、生活習慣の改善や介護予防、生きがいづくり、保健指導など関連する分野との連携を強化し、運動習慣の定着に努めます。

2.医療サービス・保険制度の充実

次に「医療サービス・保険制度の充実」についてであります。

小学校卒業までの子どもを対象にした医療費助成や子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン接種費用の助成事業を継続し、子育て世帯の経済的負担軽減に取り組むとともに、年々増加する医療費の抑制を図るため、ジェネリック医薬品の普及促進に取り組み、利用者負担と保険者負担の軽減を併せて推進します。

また、子どもを持ちたいという願いを支援するため、特定不妊治療費の一部助成についても引き続き実施してまいります。

3.地域福祉、高齢者福祉、障がい者福祉の充実

次に「地域福祉、高齢者福祉、障がい者福祉の充実」についてであります。

市民が、住み慣れた地域で生涯健やかに暮らし続けられるまちづくりを進めるための地域福祉計画を策定するとともに、高齢者による健康の増進や介護予防に向けた取り組みが、住民主体で実践できるよう、地域介護予防活動支援の充実を図ります。

在宅介護手当につきましては予定どおり見直しをさせていただきますが、経済的弱者について在宅介護保険サービス利用料の負担軽減措置を創設するほか、在宅で介護されている方の心身のケア対策として、在宅介護者リフレッシュ事業の拡充を行います。

障がい者福祉につきましては、市内3カ所の事業者で、障がい者の相談支援体制を強化し、きめ細やかな対応を図ってまいります。

また、ペットボトルを資源ごみとして回収するための業務を障がい者施設に委託するなど、障がい者の就労支援の充実に取り組みます。

4.生涯学習・文化活動の充実

次に「生涯学習・文化活動の充実」についてであります。

子どもたちが読書に親しむ習慣づくりの支援とより多くの市民から関わっていただける図書館づくりを目指し、新たに「つばめBOOKサポーター養成講座」を開催し、各種読み聞かせボランティア相互の連携や新規グループの結成を図ります。

また、「つばめっ子かるた」の普及を図るため、原画展の開催や販売用のかるたを作成するとともに、旧配水塔の改修完了記念イベントの実施やその歴史・文化の継承を図る活用事業を、地域の皆さまと共に取り組んでまいります。

5.スポーツを通じた健康づくり活動の推進

次に「スポーツを通じた健康づくり活動の推進」についてであります。

「燕市スポーツ推進計画」に基づき各種スポーツ大会やスポーツ教室の一層の充実を図るとともに、「健康づくり100日運動」の拡充を図りながら生涯スポーツ社会の実現を目指してまいります。

また、総合型地域スポーツクラブの整備・統合に向けた取り組みを進めるとともに、燕市で開催される、全国高等学校総合体育大会のアーチェリー競技の成功に向け、関係団体と一体となった支援を行ってまいります。

政策4 快適で住みやすく、愛着を感じるまち

1.防災と消防・救急体制の充実・強化

四つ目の政策は、「快適で住みやすく、愛着を感じるまち」であります。

昨年を振り返りますと、1月の豪雪に始まり、3月の東日本大震災と新潟・長野県境地震、さらには7月末の新潟・福島豪雨水害と、大変災害の多い一年でした。

これら多発する災害に備えるため、2012年度には組織改編により新たに「防災課」を設け、引き続き新潟大学災害復興科学研究所の協力を得ながら、この度の豪雨や大震災を教訓とした地域防災計画の見直しや防災訓練、防災講演会などを開催し、市民への防災意識の高揚と防災体制の強化を図ります。また、災害発生時の情報伝達手段として、災害弱者の世帯に対して、新たに汎用型のFMラジオを配布します。

一方で、発災直後は市民の皆さんが自分自身で身を守り、地域の安全は地域で守っていただかねばなりません。そのための自主防災組織の役割は大きいと考えており、その組織化に向けた取り組みと各組織に対しての資機材の補助を継続いたします。

また、新たに防災拠点機能の充実を図るため、老朽化した分水消防署を新庁舎移転後、速やかに建設を行うため基本設計等に着手いたします。

さらに、災害の発生時において上水道の安定供給を図るため、三条市との間で水道緊急連絡管による水の融通や必要な応援活動を行う相互応援協定を締結し、両市の配水管を接続し非常時に備えてまいります。

2.環境にやさしい社会の構築

次に「環境にやさしい社会の構築」についてであります。

東日本大震災を契機に環境負荷の低減に向けた省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの積極的な導入への期待が高まっています。

このため、電気自動車や太陽光発電などの新エネルギー設備設置費用の助成を継続するとともに、新たに市内事業所を対象としたLED照明導入の助成を行います。

また、総合文化センターにおいてESCO事業に取り組むほか、再生可能エネルギー特別措置法が本年7月から施行されることを見据え、吉田南最終処分場跡地にメガソーラー発電所を誘致するとともに、完成後の施設見学等の開催を通じて市民への環境意識の高揚に努めます。

3.公共交通の整備促進

次に「公共交通の整備促進」についてであります。
市内の公共交通については、新庁舎完成に合わせた運行を目指し、デマンド交通を導入した新たな公共交通システム構築のための計画作成と実証実験に取り組みます。
また、JR越後線の列車運行改善や増発に向け、新潟市と協力して取り組んでまいります。

政策5 利便性が高く、にぎわいを創るまち

1.市街地環境の整備

五つ目の政策は、「利便性が高く、にぎわいを創るまち」であります。

地域の特性を踏まえ、豊かな自然と調和のとれた土地利用を推進するとともに、真に必要な道路、公園などの都市基盤の整備により、安全・安心なまちづくりを進めるための施策を展開してまいります。

市街地環境の整備については、新たに定住支援策として、市外からの転入者や市内在住者がまちなかに住宅を新築または取得した場合に補助を行う「定住促進・まちなか支援事業」に取り組むとともに、併せてまちなかで空き家・空き地が増えて問題になっていることから「空き家・空き地活用バンク事業」を創設し、都市活力の源泉となる子育て世代の定住促進を図ってまいります。

また、近年の異常豪雨による排水対策につきましては、須頃郷地区排水対策検証会の提言を踏まえて、須頃郷地区における排水路の断面拡幅と地下式調整池の整備に伴う測量設計を行うとともに、吉田南小学校跡地周辺の排水対策を強化するため、外周水路の改修と地下式貯水槽の築造工事を行います。

2.公園・緑地の整備・充実

次に「公園・緑地の整備・充実」についてであります。

公園は市民の安らぎと憩いの場であると同時に災害時には避難場所ともなります。身近な公園の整備として、中越衛生処理場の跡地を利用した公園や須頃郷6号公園の整備に着手いたします。

また、大河津分水さくら公園につきましては、懸案でありましたトイレ・休憩所を備えたビジターハウスの建設を県の補助金を活用して進めてまいります。

3.道路網・下水道の整備

次に「道路網と下水道の整備」についてであります。

道路は車社会において生活を支える重要な社会基盤です。国の補助を有効に活用して、八王寺横田堤防線を含む6路線の道路整備を進めるとともに、昨年度から取り組みました小型除雪機購入補助についても、積極的な活用を期待し、継続して取り組んでまいります。

また、公共下水道の整備につきましては、普及率の向上を目指し、事業計画区域の拡大とともに未整備区域の早期解消を進め、生活環境の改善に努めてまいります。

政策6 市民とともに築くまち

1.市民との協働の推進と男女共同参画の推進

六つ目の政策は、「市民とともに築くまち」であります。

市民の皆さまとの協働のまちづくりを進めるため、公益的な市民活動団体、地域コミュニティ組織が協働のまちづくりに取り組む事業費の一部を引き続き助成するとともに、市民の一体感の醸成を図るため、「燕はひとつプロジェクト」として各種事業を展開していきます。

また、男女共同参画社会の実現に向けて、講演会やワークショップなどを開催し、意識啓発を進めるとともに、引き続き女性のための相談事業に取り組みます。

2.行財政の効率化・健全化

次に「行財政の効率化・健全化」についてであります。

時代の変化や多様化するニーズを踏まえつつ安定した財政運営を行うため、「燕市行政改革大綱後期実施計画」に沿って、新たな財源の確保や歳出の削減など小さな改善であっても着実に実行に移してまいります。

市民サービスの向上では、納税者の皆さまの利便性の向上を図るため、市税等のコンビニ収納を進めることとしており、今年度は軽自動車税の納税を先行導入いたします。

市役所を政策集団に転換していくため、昨年度に続き市の政策に反映させるための研究会や高度な企画立案など能力向上のための各種研修の充実を図り、職員の意識改革と組織の強化に取り組みます。

また、業務の効率化では、新庁舎建設を着実に進めるとともに、窓口業務について人材派遣等のアウトソーシングを実施し、効率化や経費の見直しを図ります。

分野横断事業

以上、総合計画後期基本計画に掲げる政策の体系に基づき、主要事業の概要を申し述べてまいりましたが、社会経済情勢の変化により複雑多様化する諸課題については、分野横断的に取り組むことが今後ますます必要となってまいります。

その際には、燕市内の住民、各種団体、民間企業の力を結集することはもとより、市外の協力者とも連携を図ることでより大きな効果が期待できます。ここで、そのような観点から2012年度に推進していく事業について幾つか言及させていただきます。

1.地域の見守り・共助推進事業

一つ目は「地域の見守り・共助推進事業」であります。

進展する高齢社会の中にあって、市民が笑顔で安心して暮らしていくためには地域住民が支え合う「共助」の仕組みの構築を目指すことが重要であると考えます。

このため、2012年度については、モデル地区を設定し、「支え合いマップ」の作成を通じた高齢者の困りごとや地域の課題などの実態把握を進め、地域で支え合える仕組みづくりの検討をするとともに、支え合いシステムの中核を成すと思われる地域支え合いポイント制度導入に向けて、具体的な運用方法の検討を行います。

また、緊急通報装置を貸与する事業の対象要件の緩和やシステム機能の強化を図るとともに、民間事業者から定期的な高齢者宅への宅配などを支援する仕組みを構築するなど、高齢者の地域見守り体制の充実にも力を注いでまいります。

2.健康づくり100日運動

二つ目は「健康づくり100日運動事業」の拡充であります。

「健康づくり100日運動」はこれまでスポーツ中心の運動でしたが、これを一歩進め、高齢者も気軽に参加できる仕組みづくりや進捗状況の健康度チェックなどと連携を図ることで、より効果的な施策に発展させることができます。

このため、庁内に実行委員会を設置し、スポーツ振興はもとより生活習慣改善や介護予防、生きがいづくり、保健指導などの関連する分野が連携を図りながら、それぞれの年齢や体力に合わせた市民主体の健康づくりを総合的に進めます。

3.都市交流連携事業

三つ目は「都市交流連携事業」であります。

災害時における相互応援など、今後は県内外の自治体と連携関係を構築していく必要があると考えます。そのためには、普段からの交流を積み重ねることが大切です。

県内の幾つかの自治体をはじめ、市民レベルでの交流が始まりつつある山形県南陽市などと交流推進会議を開催し、防災協定の締結や特産品・農産物等の相互販売を通じた交流や学校の部活動を通じた交流などの事業展開を図ります。

4.イメージアップ燕推進事業

四つ目は「イメージアップ燕推進事業」であります。

プロ野球・東京ヤクルトスワローズのイメージキャラクターを使用した「つば九郎米」が昨年発売され、大好評を得ており、「ヤクルトスワローズ」という知名度の高い媒体との連携を支援することで、広く全国に向けて燕市のイメージアップが図られたものと思っています。

2012年度においても、引き続き球団と市内企業・生産者などが連携して行う取り組みを支援します。具体的には、「つば九郎米」の販売に加え、新たにスワローズファンから田植えや稲刈りの農業体験をしていただく「スワローズ・ファーム」の開設、キャラクターを使用した「ECOカップ」の販売など、燕市の情報を発信するとともに、燕市産の農産物・洋食器等の販売促進により産業の活性化を図ります。

また、県内外の自治体との交流事業を通じて燕市の特産品をPRするとともに、新たに「つばめっ子かるた」の原画を使用した「ご当地切手」(オリジナル切手)を企画し、その発売をPRすることにより、ふるさと燕市への愛着と知名度向上を図ります。

むすび

以上、2012年度の市政運営の基本方針及び主要事業について申し述べました。

今、日本全体に「将来への展望が持てない」という雰囲気が漂っています。

そのような中にあっても、燕市においては、将来に明るい兆しがあると思っていただけるような政策に、職員一丸となって誠心誠意取り組んでいきたいと考えております。

私は、常に時代を切り拓き、輝き続けてきた歴史がある燕市には、難局にも敢然と立ち向かい、困難を乗り越える勇気と、危機を飛躍につなげていく力があると確信しています。

何とぞ、市民の皆さま並びに市議会議員の皆さまの、より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、2012年度の施政方針とさせていただきます。

この記事に関するお問い合わせ先

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