2021年度施政方針(2021年第1回燕市議会定例会)

更新日:2021年03月01日

2021年3月1日に開会した第1回燕市議会定例会において、鈴木力市長が2021年度施政方針を発表しました。
ここでは、その全文を掲載します

2021年3月1日
第1回燕市議会定例会

2021年度施政方針

燕市長 鈴木 力

はじめに

令和3年第1回燕市議会定例会にあたり、新年度に臨む私の市政運営の基本方針及び主要事業について申し述べます。

昨年は、新型コロナウイルス感染症対策に明け暮れた一年でした。将来を見据え持続可能な行財政運営の確立に向け着実に良い方向へ進み、全国の自治体に先駆けて取り組んできた人口減少対策による成果も表れ始めていた矢先、誰もが予測し得なかった新型コロナウイルス感染症の困難に見舞われました。

この難局に対し、本市では「フェニックス11+(イレブンプラス)」と銘打って、「この困難を市民挙げて乗り切るぞ」という意気込みのもと、矢継ぎ早に、市民生活や地域経済を支える市独自の対策を打ってきました。

事業継続や雇用維持のための助成金、フェニックスクーポンをはじめとした各種需要喚起対策、事業所におけるPCR検査や感染症対策のための補助金、全世帯を対象とした水道基本料金の減免など様々な支援策を講じたことにより、地域社会経済への影響をある程度緩和することができたのではないかと考えております。

しかしながら、未だ感染症の収束が見通せない中、本市の財政状況は、歳入においては、普通交付税の一本算定への完全移行による縮減に加え、感染症の影響による個人消費の落ち込みや企業活動の停滞などから、自主財源の根幹をなす法人市民税や個人市民税の複数年にわたる大幅な減収が見込まれます。また、歳出においては、引き続き多額の感染症対策経費が必要となるとともに、人口減少対策や公共施設の老朽化対策、社会保障関連経費や公債費の増など、従前からの財政負担の増加要因が相まって、さらに厳しさが増すことが見込まれます。

一方で、この新型コロナウイルス禍は、地方にとってピンチをチャンスに変える、またとない好機にもなっています。社会のデジタル化の流れが加速し、行政や企業にはDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められています。また、首都圏の企業を中心にテレワークによる新たな働き方が普及し、地方への移住の関心が高まるとともに、サプライチェーンの見直しが進み、海外に移していた生産拠点を国内に戻す動きがあります。こうしたデジタル社会、分散型社会に迅速かつ的確に対応することができるかどうかが、地方自治体の将来を左右すると私は考えております。

以上の現状認識に立って、令和3年度の当初予算案は、極めて厳しい状況に直面している中であるからこそ、難局を変革の機会と前向きに捉えた積極的予算として、感染症対策を継続しつつ、第2次燕市総合計画に掲げる「3つの人口増戦略」を柱に、1「フェニックス11+の継続で乗り切るウィズコロナ」、2「アフターコロナを見据えた地域社会のDX推進」、3「『ピンチをチャンスに』新たな地方創生で地域活性化」の3つの施策を重点的に実施する内容といたしました。

当初予算案の概要

それでは、令和3年度当初予算案の概要についてご説明申し上げます。

初めに予算の規模についてであります。一般会計予算の総額は399億7,900万円、前年度比0.7%、2億7,700万円の減となりますが、借入額と返済額を歳入と歳出で同額計上している借換債の額を除いた実質的な予算の規模で見ると、354億9,525万円となり、前年度比3.6%、12億1,930万円の増となっています。

また、実質的な予算と国の令和2年度補正予算による繰越事業を合わせた執行ベースでの予算は364億6,422万円で、前年度比4.9%、16億8,800万円の増となり、これら実質的予算、執行ベースの予算ともに直近5年間で最も大きい予算規模となっています。なお、執行ベースのうち、新型コロナウイルス感染症の対策経費は15億6,428万円となっています。

そして、4つの特別会計と一般会計の実質的な予算を合わせた当初予算総額は、522億6,832万円であり、前年度比で1.9%、9億6,828万円の増となりました。

次に、第2次燕市総合計画の戦略体系に沿って、新規・拡充事業を中心に、新年度の主要事業を説明いたします。

戦略1 定住人口増戦略

戦略の第1は、定住人口増戦略であります。燕市に住みたい、働きたいと思う人を増やすため、

  1. 雇用・就労を支える産業の振興
  2. 地域に根ざした教育の推進・子育て支援
  3. 健やかな暮らしを支える医療福祉の充実
  4. 移住・定住の促進

を図る各種施策を総合的に進めます。

基本方針1 雇用・就労を支える産業の振興

定住人口増戦略の1つ目の柱は、「雇用・就労を支える産業の振興」です。

施策1 ものづくり産業の活性化

はじめに、「ものづくり産業の活性化」についてであります。

新型コロナウイルス感染症拡大を契機としてサプライチェーンの見直し等により国内生産拠点への設備投資が高まっていることに対応し、市内に新たな工場建設等を呼び込むため、5億円以上の大規模な設備投資に対する「生産拠点整備補助金」を新設します。

また、市内企業のDXを推進するため、EC(電子商取引)サイトの導入や営業・採用活動のオンライン化など、事業者の非対面型ビジネススタイルへの転換に掛かる経費やオンライン見本市の出展料への補助を新たに実施するほか、「燕市IoT推進ラボ」をプラットフォームに、共用クラウドの本格運用に向けた最終準備を進めてまいります。

さらに、感染防止対策を講じた経済活動を支援するため、市内事業者がリスク管理のために実施するPCR検査費用への補助や、県特別融資に対する100%の保証料補給を継続するとともに、「新商品・新技術開発支援事業」において、感染症の課題解決に繋がる開発を対象に、補助率を通常より引き上げた特別枠を新設します。

加えて、経営力向上の意欲がある事業者や事業計画の実効性を高めたい創業予定者に対し、県との連携による経営コンサルタントを活用した伴走型の支援を始めるほか、新潟大学と連携した産地特性の調査分析の実施や、揮発性有機化合物の回収装置導入等補助による環境負荷低減の推進により、ものづくり産業の持続的な発展に努めます。

施策2 新たな産業育成・創業の支援

次に、「新たな産業育成・創業の支援」についてであります。

感染症の拡大を背景とするリモートワークの普及や地方移住への関心の高まりをチャンスと捉え、首都圏からのテレワーカーの誘致に向け、民間によるシェアオフィス等の開設を支援する補助制度を新設するとともに、首都圏企業に対する誘致プロモーションを実施します。

商業の活性化については、魅力ある商品・サービスを提供できる環境づくりや今後の商店街振興の在り方を検討する懇談会のほか、個店のPRや出店チャレンジの場である「ツバメルシェ」を引き続き開催するとともに、商業地域における未利用店舗の改装資金に対する助成の補助率と上限額をそれぞれ引き上げ、空き店舗を活用した商店街への新規出店を促進してまいります。

また、創業・事業承継に対する支援では、創業支援家賃補助の上限額を引き上げ、創業しやすい環境の更なる充実を図ります。

商店街の写真
商店街の写真
施策3 変化に対応する農業の振興

次に、「変化に対応する農業の振興」であります。

稲作偏重の経営から高収益な園芸作物を取り入れた複合営農への取組や、主食用米以外の収益性の高い販売作物を取り入れた農業経営安定化への取組を推進するため、枝豆とたまねぎの作付面積に対する助成制度を新設するとともに、需要の増加が見込まれる輸出用米の作付面積に対する助成を拡充します。

また、燕市産農産物の地域内消費の活性化を図るため、「つばめ食べて応援キャンペーン」を実施するほか、インターネットを活用した新たな販路開拓を目指す農業者を支援するため、ECサイトの導入費用への助成制度を新設します。

農業の担い手不足対策については、農業に興味を持つ就農希望者に対し、農業技術の習得等に係る研修費用と農地借り入れ費用の補助制度を新たに設けるほか、「チャレンジ・ファーマー支援事業」により若手の経営参画を促すとともに、農業法人等の後継者確保と経営基盤の強化を図ります。

加えて、もみ殻等を環境循環させる機械設備導入に対し助成するとともに、森林環境保全活動に取り組む団体を支援し、農地や里山の環境保全を進めてまいります。

つばめ食べて応援キャンペーン
ドローンが飛んでいる様子

基本方針2 地域に根ざした教育の推進・子育て支援

定住人口増戦略の2つ目の柱は、「地域に根ざした教育の推進・子育て支援」です。

施策1 知・徳・体を育成する教育の推進

はじめに、「知・徳・体を育成する教育の推進」についてであります。 

新たに、学力や学ぶ意欲の土台となる「読解力」を養うため、児童生徒一人ひとりの現状を調査・分析し、読解力の育成に視点を置いた授業改善を行うなど、「情報社会の必須スキル『読解力』育成プロジェクト」を実施するとともに、確かな学力と「新しい時代を生きるために必要な力」を伸ばすため、「新潟大学教育学部とのパートナーシップ事業」や「中学生学力向上対策プロジェクト」を継続します。 

また、児童生徒1人に1台配付した情報端末を用いて、デジタル教材による授業を行うなどICT教育を推進するとともに、小学校では、「燕ロボット・プログラミング教室」を開催し、論理的思考を発展的に学ぶプログラミング教育を推進します。 

さらに、「Jack&Bettyプロジェクト」、「長善館学習塾」、「燕キャプテンミーティング」などの個性を伸ばす教育や「Good Jobつばめ推進事業」、「つばめキッズファーム事業」などのキャリア教育、「燕ジュニア検定」、「広報つばめ子ども版」などのふるさと教育を推進してまいります。 

一方、中学校では、部活動以外にも技術の向上を目指したい生徒の声に応えるため、「つばくろいきいきスポーツクラブ事業」を引き続き実施いたします。 

併せて、新型コロナウイルス感染症対策として、小中学校のトイレの乾式化・洋式化に取り組むとともに、安全・安心な学習環境を維持するため、屋内運動場照明器具のLED化を進めます。 

また、学校給食については、きめ細かな食物アレルギー対応や食育の推進に引き続き努めてまいります。 

短距離走の写真
タブレットの写真
施策2 安心して産み育てられる子育て支援

次に、「安心して産み育てられる子育て支援」についてであります。

妊娠・出産への支援として、特定不妊治療に要する費用の助成について、国の支援制度拡充に合わせて、助成対象や助成回数を拡充いたします。 

また、子育てにおける保護者の不安や悩み事に対し、オンラインでも相談できる体制を整備し、相談機会の確保と利便性向上を図ってまいります。

さらに、「育児家庭応援事業」によるおむつ用ごみ袋の配布、「子育てコンシェルジュ」の育成・配置や、「子育てアプリ」による情報発信を引き続き実施するとともに、保護者等が市内協賛店で割引や特典を受けることができる「つばめ子育て応援カード事業」を本年4月から開始します。

なかまの会の児童クラブ化につきましては、燕南小学校区において、令和4年度の開設に向け改修工事を行うとともに、燕北小学校区においては、令和5年度の開設を目指し、改修に向けた設計を行います。

また、保育園等で特別な配慮を要する子どもとその保護者への支援を強化するため、主査保育士を対象とした発達支援コーディネーター育成研修を実施します。

さらに、本市の子育て支援機能の更なる充実を図るため、以前より施設整備を望む声が多く寄せられておりました、季節や天候に関わらず子どもたちが体を使って思いっきり遊ぶことができる全天候型の屋内遊戯施設の整備に向け、基本構想を策定し、令和7年度までのオープンを目指します。

つばめ子育て応援カードの写真

基本方針3 健やかな暮らしを支える医療福祉の充実

 定住人口増戦略の3つ目の柱は、「健やかな暮らしを支える医療福祉の充実」です。

施策1 医療サービスの機能強化

はじめに、「医療サービスの機能強化」についてであります。 

新型コロナウイルス感染症の収束が現在も見通せない中、感染拡大がみられる地域との往来が必要な人や重症化リスクの高い高齢者が利用する介護サービス事業所の従事者、新規利用者等を対象に、PCR検査費用の一部を助成するとともに、医師会と連携して実施体制の整備を図りながら、円滑な新型コロナウイルスワクチンの接種を実施してまいります。

また、県央医療圏における救急医療体制の整備等に向けて、県央基幹病院の早期整備と吉田病院の早期改築を引き続き県へ要望するとともに、地域における看護師不足の解消と人材の地元定着を図るため、県や県央地域の自治体と連携し、地元で看護師を目指す学生に対して、卒業後、市が指定する医療施設に5年間継続して勤務した場合、返還が免除となる新たな修学資金の貸し付けを始めます。 

さらに、医療費の経済的負担の軽減を図るため、妊産婦に係る医療費の全額助成や、高校卒業までの子どもに対する医療費助成を引き続き実施いたします。

併せて、国民健康保険においては、ジェネリック医薬品の普及促進、生活習慣病の重症化予防、残薬・ポリファーマシー対策等の事業をはじめとした「医療費適正化事業」をさらに推進しながら、健全かつ安定的な財政運営に努めてまいります。 

施策2 地域で支える高齢者福祉

次に、「地域で支える高齢者福祉」についてであります。

高齢者の心身の多様な課題に対応し、健康づくり・フレイル予防のほか、糖尿病・脳梗塞・骨折といった介護に直結しやすい疾病の悪化を防ぎ、高齢者の健康と自立した生活を支えるため、保健事業と介護予防を一体的に実施する「人生100年時代の健康サポート事業」を引き続き実施いたします。

また、高齢者が住み慣れた地域で快適な生活が営めるよう地域包括ケアシステムを確立し、地域共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。

さらに、介護人材確保のため、介護資格取得のための研修費用助成事業と介護業務に従事する若手職員を表彰する介護職員表彰事業を引き続き実施し、やりがいの醸成を図りながら人材の育成を図ってまいります。

施策3 障がいのある人への切れ目のない支援

次に、「障がいのある人への切れ目のない支援」についてであります。

障がいの多様化や相談内容の複雑化に対応し、ライフステージを通じた切れ目のない支援を行うため、基幹相談支援センターが中心となり支援体制の充実に取り組むとともに、障がい児の生活能力の向上を図るため、児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて個々の特性に応じたサービスの提供に努めてまいります。 

また、市内の障がい者就労支援施設等に通って働く人の工賃水準を向上させ、経済的自立の促進を図るため、企業等からの受注促進や自主生産品の販路拡大などの福祉的就労に係る取組を一層充実させてまいります。 

さらに、身体障がい者等への移動支援の充実と経済的負担の軽減を図るため、タクシー利用券の助成総額を増額いたします。 

介護職員表彰の様子

基本方針4 移住・定住の促進

次に、定住人口増戦略の4つ目の柱である「移住・定住の促進」についてです。

施策1 移住・定住希望者へのサポート強化

燕市への移住者の増加を図るため、SNSを活用した情報発信や、移住・定住関連サイトへの広告掲載等によるプロモーション活動を行うとともに、「オンライン移住相談」を実施します。

また、移住検討者向けに、新たに一般家庭でのお試し生活体験ができるメニューを用意するほか、地域おこし協力隊希望者に対し、宿泊費・体験費の負担なく2泊3日のお試し活動体験ができる機会を提供します。

さらに、県外U・Iターン者及び転入する新婚世帯を対象とした家賃補助や東京圏からの移住者を対象とした移住支援金については、新たにテレワーカーを対象に加えるとともに、テレワーク拠点から本社等までの交通費に対する補助制度を新設します。

オンラインで会話する様子

戦略2 活動人口増戦略

戦略の第2は、活動人口増戦略であります。

  1. 市民が主役の健康づくり・生きがいづくり
  2. 支え合い・助け合い活動の活発化
  3. 若者・女性の力を活かしたまちづくり

を進めながら、地域社会の中でキラキラ輝く人を増やしてまいります。

基本方針1 市民が主役の健康づくり・生きがいづくり

活動人口増戦略の最初の柱は、「市民が主役の健康づくり・生きがいづくり」です。

施策1 元気を磨く健康づくり

はじめに、「元気を磨く健康づくり」についてであります。

各種がん検診の受診率向上を図るため、どの年代でも分かりやすく、若い年代でも受けやすい料金体系として、自己負担が一律500円で受けられるワンコインがん検診を開始いたします。

また、完全予約制での健診等を継続し、感染症拡大防止を図りつつ、パソコンやスマートフォンからいつでも、どこからでも予約が可能なシステムを導入し、利便性の向上を図ってまいります。

併せて、健康づくりマイストーリー運動「つばめ元気かがやきポイント事業」の継続など、健康寿命延伸に向け、健康づくりと介護予防の一体的な取組を進めます。

施策2 健全な心と体を支えるスポーツの推進

次に、「健全な心と体を支えるスポーツの推進」であります。

昨年中止した「燕さくらマラソン大会」については、参加者を県内在住者に限定するほか、全種目での定員を設定するなど、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底して開催します。

また、「ホストタウン推進事業」では、聖火リレーのミニセレブレーションを行うとともに、パラリンピックアーチェリー競技への出場が決まっているモンゴル国選手団の直前合宿の受け入れやパブリックビューイングなどを実施する予定です。

さらに、分水総合体育館の天井耐震や照明のLED化等の改修工事、スポーツパークテニスコートの人工芝張替等の改修工事など、自治体クラウドファンディング型ふるさと燕応援寄附金を活用したスポーツ施設の改修を行います。

燕さくらマラソン大会の様子
施策3 心豊かな生涯学習・文化活動の充実

次に、「心豊かな生涯学習・文化活動の充実」についてであります。

いつでも、どこからでも利用できる「つばめ電子図書館」や読書履歴を残すことができる「本の通帳」の運用などにより、更なる図書館サービスの向上を図ります。

また、長善館史料館では、長善館の功績を伝える資料の常設展示と企画展を実施するほか、筑波大学との連携事業を継続し、新たに大河津分水路の建設に携わった長善館の門下生たちの活躍などについて調査を行います。

文化会館自主事業では、つばめ音楽祭など市民参加型の成果発表会に加え、ファミリーミュージカルや落語家立川談春独演会などを開催し、幅広い世代に対して魅力的な舞台芸術等を提供いたします。

さらに、利用者が安心して快適に利用できる環境を提供するため、老朽化した吉田公民館の改修工事に向けた設計業務を行います。

タブレットで電子図書を読む様子
本の通帳の写真

基本方針2 支え合い・助け合い活動の活発化

活動人口増戦略の2つ目の柱は、「支え合い・助け合い活動の活発化」であります。

施策1 支え合いの地域福祉

はじめに、「支え合いの地域福祉」であります。

様々な課題を抱える生活困窮世帯等に対し、経済的自立のみならず、社会生活で自立ができるよう、地域社会との「支え合い」や「つながり」を実感できる寄り添った支援を行ってまいります。

子どもの貧困対策では、保護者の複雑・多様化する悩みごとに対応する相談体制の充実を図るため、弁護士による相談会を引き続き開催するとともに、子ども食堂など子どもの居場所を提供する団体への助成やフードバンク活動への支援を行います。 

また、高齢者の自立支援を目指し、ケアマネジャーや介護事業所が効果的なケアプランを作成する「自立支援ケアプラン研修会」を開催します。

さらに、成年後見制度の利用にあたり、申立費用の助成制度を拡充し、経済的に困窮していても成年後見制度が等しく利用できるよう、費用負担の軽減を図ります。

研修会の写真
施策2 市民協働のまちづくり

次に、「市民協働のまちづくり」についてであります。

まちづくり協議会や市民団体の活動の活性化を図るため、自発的・自主的に取り組む「イキイキまちづくり事業」への助成のほか、情報提供や相談対応等の支援を継続します。

多文化共生の推進につきましては、燕市国際交流協会と連携し、外国人同士や地域住民が交流する場として外国人交流会を開催するほか、燕市公式ウェブサイトや広報紙等の多言語配信にも引き続き取り組みます。

高校生とゆるキャラの写真

基本方針3 若者・女性の力を活かしたまちづくり

活動人口増戦略の3つ目の柱は、「若者・女性の力を活かしたまちづくり」です。

施策1 若者の活動の活発化

はじめに、「若者の活動の活発化」についてであります。

「つばめ若者会議」、「燕ジョイ活動部」、「燕市役所まちあそび部」をはじめとする若者たちの主体的なまちづくり活動をサポートするとともに、新たに地域や団体と若者との協働に関するセミナーを開催し、地域とのつながりやふるさとへの愛着の醸成を図っていきます。

施策2 女性が活躍しやすい環境づくり

次に、「女性が活躍しやすい環境づくり」についてであります。

仕事と子育てが両立できる職場環境づくりを進める企業を認定・助成する「つばめ子育て応援企業サポート事業」を継続するとともに、すべての従業員が活躍できる職場づくりを目指し、就業規則や社内制度の改善に取り組む企業を支援する「職場環境づくり推進補助金」を新設します。

また、「第3次燕市男女共同参画推進プラン」に基づき、意識醸成を図るための講座を開催するとともに、次期プラン策定に向けて市民意識調査を実施します。

「女性が輝くつばめプロジェクト」では、女性を含む多様な人材が活躍できる社会づくりを目的とした「女性活躍・ダイバーシティ推進フォーラム」を開催します。

戦略3 交流・応援(燕)人口増戦略

戦略の第3は、交流・応援(燕)人口増戦略であります。

燕市を訪れたい・応援したいと思う人を増やすため、

  1. 観光の振興
  2. 都市間交流の推進
  3. 燕市のファンづくり

に取り組んでまいります。

基本方針1 観光の振興

交流・応援(燕)人口増戦略の1つ目の柱は、「観光の振興」です。

施策1 着地型観光の振興

産業観光の拠点施設である産業史料館において、伝統工芸士から彫金製作や鎚起銅器製作の指導を受けることができる体験メニューを追加するとともに、企画展の開催回数を増やすなど、引き続き入館者数の増加に取り組みます。

また、近県や県内小中学校等の修学旅行の受入が好調なことから、学習ハンドブック作成など受入体制を整えつつ、更なる受入拡大に向けて、弥彦村と連携し修学旅行を取り扱う旅行エージェントへのプロモーション活動を実施します。

さらに、燕市観光協会と連携し、効果的な情報発信や外国語を話せる観光ナビゲーターの活用により、産業観光の推進に取り組んでまいります。

加えて、地域間連携による着地型観光を推進するため、燕・弥彦広域観光連携会議による首都圏を中心とした観光プロモーションの実施や、燕三条駅と弥彦温泉を結ぶ観光タクシーを運行するとともに、三条市、富山県高岡市、福井県越前市による金属加工品の産地同士が連携した広域観光プロモーション活動も行ってまいります。

ものづくり体験の写真
外国人観光客を案内する様子

基本方針2 都市間交流の推進

交流・応援(燕)人口増戦略の2つ目の柱は、「都市間交流の推進」であります。

施策1 都市交流・広域連携の推進

災害時相互応援協定を締結している南魚沼市、南相馬市、南陽市との交流については、平常時でのつながりを深めつつ本市地場産品のPRを図るため、感染症の状況を注視しながら、観光物産イベントへの出展を継続します。

東京ヤクルトスワローズとの縁で始まった松山市、浦添市、西都市については、少年野球交流大会などを継続し交流を深めてまいります。

また、定住自立圏を形成する弥彦村とは、引き続き「第2期燕・弥彦地域定住自立圏共生ビジョン」に基づき、公共交通、観光面を中心に連携を進めます。

基本方針3 燕市のファンづくり

交流・応援(燕)人口増戦略の3つ目の柱は、「燕市のファンづくり」です。

施策1 イメージアップ・ふるさと応援

引き続き、「ふるさと燕応援事業」により、品質の高いお礼の品を通じて本市の魅力を全国にPRするとともに、「自治体クラウドファンディング事業」として、スポーツ施設整備など、寄附金の使い道を特定したうえで全国から寄附を募り、ふるさと納税をきっかけとした応援(燕)人口の拡大を図ってまいります。

また、「広報秘書課」を新設し、専門人材の活用やリニューアルした燕市公式ウェブサイト、各種SNSや動画などを駆使しながら、燕市の魅力を市内外へ効果的・戦略的に情報発信してまいります。

さらに、令和4年度に迎える大河津分水通水100周年記念の気運を醸成するため、各地区においてプレイベント「さくらフェス」を実施するとともに、通水100周年を市内外にPRし、記念イベント等で販売する記念商品の開発を支援するほか、小中学校における大河津分水路建設と長善館門下生の関わりを学ぶ地域教育の実施や、当時の桜並木の景観を復活させる桜復活プロジェクト等の検討を進めます。

包丁ややかんなどの写真

戦略4 人口増戦略を支える都市環境の整備

戦略の第4は、3つの人口増戦略を支える都市環境の整備であります。

  1. 安全・安心機能の向上
  2. 快適な都市機能の向上

の2つの方針に基づき取り組んでまいります。

基本方針1 安全・安心機能の向上

都市環境整備の第1の柱は、「安全・安心機能の向上」です。

施策1 災害に強いまちづくり

はじめに、「災害に強いまちづくり」についてであります。 

新規事業として、75歳以上の高齢者のみの世帯などを対象に、避難所開設などの防災情報を固定電話に音声メッセージでお知らせするサービスを開始します。

また、避難所の感染予防に必要なパーティション等の物資を配備するとともに、医療活動にも活用が可能なテントユニットを整備するほか、市職員と地域住民が協働して感染症対策を踏まえたマニュアルに基づく避難所運営の訓練を実施します。

さらに、水害時における市民一人ひとりの行動計画であるマイ・タイムラインを活用した水害対応の総合防災訓練を実施するとともに、地域における防災活動の人的・財政的支援を継続し、地域防災活動の一層の推進に取り組んでまいります。

施策2 防犯・消費者保護対策の推進

次に、「防犯・消費者保護対策の推進」についてであります。

地域で設置する防犯カメラの設置費用を引き続き補助するとともに、警察などの関係機関と連携して、安全で安心なまちづくりを推進いたします。

また、架空請求をはじめ増加する高齢者の消費者トラブルやインターネット関連のトラブルなど、複雑化・多様化する消費生活相談にきめ細かく対応するとともに、消費者被害の未然防止のための啓発活動に一層取り組んでまいります。

施策3 交通安全の推進

次に、「交通安全の推進」についてであります。

高齢者の運転免許自主返納への支援を引き続き行うとともに、燕警察署及び燕市交通安全協会と連携した街頭指導や交通安全教室などを通じて、交通安全意識の啓発と交通事故防止に努めます。

また、通学路の安全確保のため、吉田南小学校の通学路となる吉田東通りの歩道拡幅整備に着手するほか、分水良寛史料館近くの小学校踏切における歩道の整備にも取り組んでまいります。

施策4 公共交通の整備

次に、「公共交通の整備」についてであります。

引き続き、循環バス「スワロー号」や弥彦村との共同による「やひこ号」、予約制乗合ワゴン車「おでかけきららん号」を運行するとともに、民間バス路線への運行費補助を行います。

また、「燕・弥彦地域公共交通網形成計画」に基づく利便性の高い公共交通ネットワークの形成に向け、人口の集中度が高い燕地区においてコミュニティバスの新規路線の開設に向けた実証運行を継続し、利用状況を調査します。

バスとバス停の写真
施策5 快適な環境の確保

次に、「快適な環境の確保」についてであります。 

一般廃棄物の処理を行う最終処分場が早ければ令和11年度に計画埋立容量に達する見込みであることから、燕・弥彦総合事務組合において、新しい最終処分場の建設に向けた調査等を開始します。

「クリーンアップ選手権大会」の開催等を通じて、地球温暖化や身近な環境問題について考える機会を提供するとともに、「ごみ・リサイクルガイドブック」により、ごみの減量化、適正処理の浸透に取り組んでまいります。

また、資源ごみの再資源化を促進するため、市内の事業所からアルミ缶及びスチール缶を寄附していただき、その売却益を市内保育園等の図書購入費に活用する「カンカンBOOK事業」を引き続き実施してまいります。

基本方針2 快適な都市機能の向上

都市環境の整備の第2の柱は、「快適な都市機能の向上」です。

施策1 まちなか居住と空き家等対策の推進

はじめに、「まちなか居住と空き家等対策の推進」についてであります。 

新たに、民間団体を対象に中心市街地の再生と活性化を図るプランを募集し、官民連携による魅力的で持続可能なまちづくりを進める「中心市街地再生モデル事業」に国の交付金を活用しながら取り組むとともに、引き続き「まちなか居住支援事業」などを通じて市街地中心部への居住を促してまいります。

併せて、空き家解体後の跡地を周囲の土地と一体活用することを支援する「空き家跡地活用促進補助事業」を新設するとともに、空き家の悩みごとに対しオンラインでも参加できる総合相談会やセミナーを開催いたします。

また、住宅リフォーム助成事業については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた住宅関連産業の活性化を図るため、事業廃止の期限を延長し、令和3年度においても引き続き実施いたします。

施策2 親しみのある公園づくり

次に、「親しみのある公園づくり」についてであります。

燕市交通公園において、利用者が安心して施設を利用できるよう、サイクルモノレール発着場の改修を行うとともに、市内の公園について、法令に基づく遊具の点検を実施し、誰もが安心して利用できる憩いの場を提供いたします。

また、燕三条駅脇の須頃郷第1号公園のにぎわい創出を図るため、三条市と連携して民間活力を活用した公園整備を進めてまいります。

施策3 人にやさしい道路環境の整備

次に、「人にやさしい道路環境の整備」についてであります。

老朽化した道路施設については、引き続き計画的な整備・修繕を行い、適正な維持管理に努めてまいります。

また、県が整備を進める国道289号燕北道路と主要地方道新潟燕線を結ぶ中央通小高線道路改良事業の測量及び設計業務に着手するほか、国道116号と交差し、燕市を東西に結ぶ藤見線についても、道路の狭隘区間の解消に取り組んでまいります

施策4 安全・安心・おいしい水道水の供給

次に、「安全・安心・おいしい水道水の供給」についてであります。

水道事業広域化基本計画に基づき、燕・弥彦総合事務組合において、新浄水場整備に向けた取水塔設置工事などに着手するとともに、送配水管布設工事を着実に進め、令和7年度の供用開始を目指します。

併せて、新浄水場供用開始までの石綿セメント管完全廃止を目指して、老朽配水管の更新を計画的に進めてまいります。

施策5 適正な汚水処理の推進

次に、「適正な汚水処理の推進」についてであります。 

「燕市汚水処理施設整備構想」に基づき、集合処理区域における計画的・効率的な公共下水道の整備を進めるとともに、引き続き本町排水区における幹線管渠の改修を行います。 

また、下水終末処理場の老朽化などの課題に対応するため、汚水処理の事業運営について、「広域化・共同化」の可能性を検討いたします。 

施策6 新たなまちづくりに向けた取組

次に、「新たなまちづくりに向けた取組」についてであります。

市政運営の最上位計画である第2次燕市総合計画が令和4年度末に終期を迎えることから、次期総合計画の策定に着手します。

また、燕市の未来を見据えたまちづくりの方向性を描く、まちづくりマスタープランについても、引き続き策定作業を進めてまいります。

併せて、各種関係機関や団体等と連携し、昨年、国の新規事業として採択された国道116号吉田バイパスの早期完成を、国や県に強く働きかけてまいります。

戦略5 持続可能な行財政運営の推進

最後に戦略の第5、持続可能な行財政運営の推進についてであります。 

行政サービスのデジタル化による市民の利便性向上を図るため、市税の納付方法にスマートフォンアプリによるキャッシュレス決済を導入するとともに、公式LINEにより「ごみ収集日」の地区別配信や、チャットボット機能を活用した市役所への「よくある問合せ」の自動応答サービスを開始するほか、市への申請・届出等の行政手続きについてもオンライン化を順次進めてまいります。 

また、「燕市建物系公共施設保有量適正化計画」に基づき、閉園した燕北幼稚園舎を解体し、隣接する燕北小学校の駐車場として整備します。

さらに、令和3年度末に現指定管理者による指定管理期間が満了を迎える道の駅「国上」関連施設について、今年度に見直した制度の運用方針を踏まえ、公募・非公募の適用の見直しを検討します。

併せて、定型的なパソコン操作を自動化するRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を活用する業務を拡大するなど、引き続き業務の効率化と職員の働き方改革に取り組んでまいります。 

むすび

以上、新年度の市政運営の基本方針と新規・拡充事業を中心に主要事業を申し述べてまいりました。

冒頭申し上げたとおり、「PCR検査費用助成」や「小中学校のトイレの乾式化・洋式化」などの感染症対策を継続しつつ、これまで経験したことのない極めて厳しい事態に直面している時だからこそ、この難局を変革の機会と前向きに捉え、「RPAの導入」や「公共施設保有量の適正化」などの行財政改革を着実に進めながら、「デジタル市役所」、「イノベーション拠点整備支援事業」、「中心市街地再生モデル事業」、「全天候型子ども遊戯施設整備事業」、「ワンコインがん検診」などの新規事業により、地方創生という重要課題に対して積極果敢に取り組む予算としたところであります。

令和3年度の目標として掲げたテーマは、「不死鳥“燕”」であります。

燕市はこれまでも幾多の困難を乗り越えてきました。今回の危機も「不死鳥のごとく乗り越え復活する」という強い決意のもと、ウィズコロナそしてアフターコロナを見据え、「フェニックス11+」を継続しつつ、ピンチをチャンスに活かす新たな地方創生に取り組み、「日本一輝いているまち」の実現を目指します。

感染症の収束が未だ見通せない状況でありますが、「産業を支え、市民生活を支え、ふるさと燕を絶対に守る。そのための必要な財政出動は躊躇しない」という信念・覚悟を持って、引き続き市政運営に邁進してまいります。

官民一体となって今般の新型コロナウイルス禍を乗り越えた先に、明るく希望が持てる未来が待っていることを信じて、ともに頑張ってまいりましょう。

市民の皆様並びに市議会議員の皆様におかれましては、更なるご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げ、令和3年度の施政方針とさせていただきます。

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〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地

電話番号:0256-77-8352

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