【若monoデザインコンペティション燕vol.6】企業紹介レポート~サミット工業株式会社~

更新日:2022年04月15日

例年ならデザイナーや学生から直接工場を見学してもらい、デザインのイメージを膨らませてもらうところですが、今年は新型コロナウイルスの感染症の影響で県外から来ていただくのは難しい…。

そこで、事務局が工場見学した内容をSNSやウェブサイトに掲載する方法で情報発信することに決め、協力企業各社へ取材に行ってきました。

サミット工業の外観の写真
サミット工業の工場の写真

●サミット工業株式会社 ~鉄鍋のアイテム数は日本一!自社ブランドの看板商品をつくりたい~

当社はOEM生産を中心に鉄製のお鍋(主に天ぷら鍋、フライパン、中華鍋、玉子焼、キャンプ用ダッチオーブン等)を製造しており、材料納入、加工、塗装、出荷まで一貫生産を行っています。

鉄製鍋をつくり始めて約半世紀、これまでの鉄なべ製造で培ってきた知識・経験を活かして今後も日本中、そして世界中の台所を支えていきたいと思います。自社ブランドはまだ浸透していませんので、今後育てていきたいと考えています。

鉄なべを永く使い続けるという意味では鉄なべも育てていかなければなりません。皆さんから使って喜んでいただくためにも商品、ブランドと共に会社も成長していきたいと思っております。

企業紹介動画(Youtube)

担当者インタビュー(サミット工業株式会社 峯島社長)

サミット工業の峯島社長

サミット工業株式会社の募集テーマは【みんなに自慢したくなる「カッコいい鉄なべ」】。

このテーマはどういう想いで募集されたのでしょうか。

今回は、サミット工業の峯島社長に企業の技術力、テーマにこめた熱き想い、若きデザイナーの皆さんに期待すること等をたっぷりお聞きしました!

ー御社の事業内容を教えてください!

うちの会社はですね、1919年創業で歴史的には100年位経っている会社になります。最初は、今回お願いした鉄鍋ではなくて、ステンレスの製品からスタートしています。父の代から鉄鍋に切り替わってきまして、今は一部チタン材で作っているところもあるんですけど、それ以外は全て鉄鍋に特化して製造しています。

種類的に一番多いのは家庭で使う天ぷら鍋ですね。その数においてはたぶん日本一種類は持っているかと思います。そこにフライパンや、卵焼きを作る卵焼き鍋とか。家庭向けは炒め鍋もありますね。業務用でいえば、ラーメン屋さんで使っている北京鍋や中華鍋ですね。60cmの大きい鍋から小なべまで、幅広いサイズで作っております。

近年は、この地域でも非常に盛んなんですけど、キャンプ道具をOEMで作らせてもらってます。ダッチオーブン、スキレット、鉄板等、鉄を素材にしたキャンプで使われる道具も幅広く作っております。

会社に入って25年。鉄鍋以外の製品も他に作ろうかなと考えたこともありましたけど、自分たちの得意分野は鉄鍋ですし、まだまだそれを極めていませんので、引き続き鉄鍋に注力しながら、日本に良い商品を提供できたらいいなと思っています。

今、随時工場で流れているのは300種類ぐらいですね。うちは自社製品を自分たちで売ってる商売の形態じゃなくて"OEM生産"が多いんですが、その数が300種類ぐらいですね。今使ってない金型を復活させれば、その倍ぐらいの種類があるかと思います。

 

ーどのような設備がありますか?

まずは見ていただいたとおりプレス機ですね。150t~200t、大きいのだと300tぐらいの種類があれば、絞り加工は出来ます。それに伴って金型も必要になりますし、なおかつ、後工程を含めると14工程ぐらいかかります。それにひとつひとつ金型が必要になりますから、最初の大きなプレスからこまめなプレスまで、ありとあらゆるプレス機が必要になってきますね。

加工はプレスでするんですけど、鉄鍋ですので塗装しなきゃいけない。どうしても空気と水があると鉄は錆びてしまいますんで、塗装機もないとダメですね。燕の町でもプレス屋さんは多くいるんですけど、うちみたいにプレスがあって、塗装があって、最終的に商品を包装してまとめるまで、すべて一貫生産でやってるのは非常に珍しいですね。そこがうちの強みかなと思ってますので、お客さんに迷惑かけないっているんですかね、他社よりはメリット感を出して商品は製造しています。

 

ー今回の募集テーマについてお聞かせください!

家庭用品っていうのって、こだわる人はこだわるんですけど、作れればいいみたいな感覚の人が結構多いんですよね。食材には凄くこだわるんだけど、道具は食べ物が作れれば何でもいいっていう。道具までこだわる人って早々いないんですよ。

ですので、あんまり変化を求められない業界っていうんですかね?その中でもいろいろ試してきたんですけど、昔みたいに丸いフライパンが一番使いやすいんですよ。これが三角形になったり四角になったら、見た目はかっこいいんですけど、使いづらいわけです。

そんな中で、鉄なべは安定的に売れている、支持されている家庭用品業界でもあるんですけど、色々な価値観がある世の中で、人とは違う、道具にこだわりたいっていう意識が、作る側も使う側も生まれてくるかもしれませんので、今後は他とは違うきらりとした商品を作っていきたいな、という意味を込めて「自慢したくなる」というテーマとさせてもらいました。

 

ーデザインだけでなく機能性も重要?
正直、使う部分は今の方がベストかなと。鉄の場合だと重かったものを軽くしたりとか、浅かったのを深くしたりとかの変化もあるんですけど、丸はやっぱり丸で使いやすいんで、それを極端に四角とか三角にするよりは、丸を活かした機能性のデザインの方が良いと思います。こういうのは、四六時中考えながら仕事してるんですけど、他に斬新なアイデアがあればぜひ提案していただければなと思っております。

 

ーどのような作品を期待しますか?

似たようなジャンルでいうと、包丁ですね。包丁も刃の部分はみんな一緒なんですよ。ただ、ハンドル部分や全体のフォルムが違ってくると、結構色んな包丁があるなという印象を受けるので、鍋も一緒だと思います。鍋もやっぱり丸は丸、深さは深さで、ある程度決まった形じゃないと料理がしにくくなっちゃいますので、鍋のイメージを変えるのであれば、ハンドル部分かな?という形では考えています。

一例でいうと、こういう業務用の北京鍋ですね。これって何十年も一緒なんですよ。ただ、この形状が使いやすくて支持されていると思うので、どこの会社も同じような北京鍋を作っているわけです。

家庭で使うのも便利ですけど、どうしても形が一般の人から言わせると「敷居が高い」っていうんですかね。鉄という素材も相まって自分じゃ扱いにくいってイメージを持たれやすいんです。

だから、ハンドルの部分を変えることによって、一般の人でも「私でも使えそうかな?」っていうデザインがあれば、北京鍋の違った活用・販売の仕方があるのかなって思うので、ちょっと提示させてもらいました。

もうひとつがフライパン。こちらも業務用でよくあるんですけど、炒める部分は変えようがないんですよ。ただ、このハンドル部分も、デザインがもう何十年も一緒だと思うんですよね。このデザインを変えることによって、業務用のフライパンから、一般向けの普通の家庭でも使えるような商品に生まれ変わるのかな、という思いから、いい発想があれば教えていただきたいなと思いまして、ちょっとこれも提示させてもらいました。

 

ー若monoコンペに期待することは?

長年こういう仕事に携わってくると、経験値は豊富になってくるんですけど、一方で固定概念が出来上がって、昔みたいに「作れないんだけどこういうのはどうかな?」っていう発想さえ出てこなくなっちゃうんですよ。長年この業界にいると、いかに安定した商品を出していくかっていう思考回路になっちゃうので、致し方ないとは思ってるんですけど。

やっぱり今後ね、10年・20年鉄鍋を中心に製造していくなかで、最近では国内だけではなく世界に発信していきたいと思ってます。海外向けとしてもメイド・イン・ジャパンのいい鉄鍋を打ち出していく中で、凝り固まった固定概念を打破できるようなデザインを求めてまして、それが商品化になって、世の中に出て評価される形になれば、うちとしてもいい鍋作ったっていう実感がありますしね。

 

ー最後に参加者へメッセージを!

ぜひ、おじさんには考えられないようなデザインを待ってます。料理が絡んでくる道具なので、あまりにも斬新すぎて使い勝手が悪いと本末転倒な話になってしまいますから、デザインと機能性を兼ね備えた斬新なデザインをぜひ皆さんの方から出してもらいたいなと思っております。

来るもの拒まずですので、今の若者たちはどういう風に調理道具を考えられるのかっていうのも興味があります。遠慮なくアイデアを出してもらいたいなって思います。よろしくお願いします!

「若monoデザインコンペティション燕vol.6」はこちらから!

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