「Made in 燕」の金属カップで飲み物を楽しもう!

更新日:2023年12月08日

燕市では、市内で製造された金属製のぐい呑み、カップなどの金属カップによる乾杯の習慣を普及し、地域文化として確立することにより、燕製品の技術力を世界に発信し、地域産業の活性化を図ることを目的にした「燕市金属酒器乾杯運動」を行っています。金属カップには、金属加工のまち燕の技術力が凝縮されています。市内には金属カップで飲み物を提供する飲食店もたくさんあります。ぜひ一度その違いを味わってみてください!

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  • 匠が語る自慢の逸品
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金属カップのうまさの秘密を探る

優れた技術で世界にその名を馳せる金属加工のまち、燕市。なかでも近年、ヒット商品として人気を博し、現在では燕市の重要な産業のひとつにまで上り詰めたのが「金属酒器」です。 「磨き屋シンジケート」の仕掛け人でもあり、大ヒットしたステンレスタンブラーなどの金属酒器の特性に詳しい燕商工会議所の高野雅哉さんに、その旨さの秘密について伺いました。

ステンレスタンブラーを手に取って熱弁する燕商工会議所の高野さんの写真

お酒の味がまろやかに 金属酒器の特殊な効果

「酒器を変えて飲むことで、お酒は断然美味しくなります」と語る高野さんは、金属酒器の魅力を誰よりも実感している一人。金属酒器といっても素材はさまざまで、燕市では材質でいえば主にステンレス、チタン、銅を使ったものが作られています。「どの金属酒器で味わってもビールは泡立ちが良くクリーミーな味わいになると思います。日本酒やワインも飲み口がまろやかに感じます」。材質によって少しずつ味わいが異なるのも面白さのひとつです。

料理をバックに、ビールをステンレス製のカップに注いで、泡だった様子の写真

「磨き屋シンジケート」の事務局として金属酒器の企画などを手掛けることで「ビールの美味しさに気づき、毎日飲むようになりました」という高野さん。カップ内側の底面をあえて凹凸をつけるように研磨することで、注いだビールにはきめ細やかな泡が発生します。この細やかな泡がビールの雑味をなくし、まろやかな味わいに感じるという仕組み。
また研磨の工夫に加え、金属の素材により異なる特徴でも、味わいの違いを楽しむことができます。例えば、他の素材に比べて熱伝導率が低いチタン製のカップなら、ビールの冷たさを長く保つことができるし、反対に熱伝導率が高い銅製のカップなら、飲む時にカップに触れる唇からも冷たさを感じ、清涼感を楽しめる、といった具合です。

優れた実用性やデザイン性 材質の質感や形状も楽しめる

 ビール、日本酒、焼酎、ワイン…。お酒の種類によってもビアカップ、タンブラー、ぐい呑みなどの専用の酒器があり、楽しみ方も多種多様。手に持った時の肌触りや厚さ、重さ、形状などを楽しめるのも金属酒器独特の味わい深さでもあります。「ビールはステンレス、日本酒はチタンや銅のぐい呑みがオススメ。人気が高まっているチタンは取扱いがしやすいので、気軽に楽しんでいただけます」。いずれも金属酒器がよく乾いた状態でお酒を注ぐのが美味しくさせる秘訣とのこと。
また、落としても割れないため永く使用できるのもポイント。なかでも二重構造タイプは飲み物の温かさや冷たさを保つだけでなく、結露しにくい点でも実用性に優れています。最近ではこれまで培ったノウハウや高度な技術を駆使した特殊加工で、美しい模様や色鮮やかな商品も増加。中にはあまりの人気に製造が追いつかず、数ヵ月待ちというものもあります。

チタン製のカップを二つに割って、その断面を写した写真
銀色の金属カップに熱燗を注いている様子を写した写真

高野さんは「燕の技術を駆使した形で美味しいお酒が飲める。もっと地元の人にも使ってもらい、燕市に来るとなぜかみんなが金属酒器でお酒を飲んでいるという“文化”になってくれたらうれしいですね」とさらなる期待に胸を膨らませています。
金属酒器は、2,000円台の比較的求めやすいものからウン万円台と高級なものまで幅広く、安価なものでもその効果を実感できます。金属の素材による味わいの違いや、保冷・保温、割れないなどの実用性、素材ごとに魅せるその佇まいやデザイン性。三拍子揃った金属酒器をこの機会に試してみてはいかがでしょうか。お酒の時間をこれまで以上に豊かなものにしてくれるはずです。

黒のバックに、金属製の急須から銅製のカップへ冷酒を注いている様子を写した写真

匠が語る自慢の逸品

ステンレス

職人集団による秀逸な研磨技術で金属酒器とお酒の相性の良さを実証

取材協力/磨き屋シンジケート(幹事/有限会社 富研工業)
2003年に誕生した「磨き屋シンジケート」は、地元を中心に約30社の企業で構成される金属研磨のスペシャリスト集団。「磨き屋」というだけあり、金属製品をより美しく磨き上げる世界トップクラスの研磨技術で、かつてアップル社のモバイル機器を手掛けたことでも話題となりました。巧みな技を最大限に生かし開発したステンレス製のタンブラーは、ビールの美味しさを引き出す、きめ細やかでクリーミーな泡を追求。内側の光沢仕上げと内底のヘアライン仕上げのコンビネーションで磨いた優れものです。また、口にあたる部分はさらに薄く研磨することで、心地よい口当たりを実現しています。
人気の鏡面仕上げについて組織の幹事企業である富研工業は、「研磨とは表面を薄く削ることなので削り痕が残るのだが、鏡面仕上げでは削り痕を消して輝かせなければならない。通常とは真逆のことをやっているので相当な技術が必要。だから鏡面仕上げは時間がかかるんです。大量生産のものでここまで磨くのは稀」と磨きに魂を込めます。商品化されるとたちまち注目を浴び、「金属製酒器でお酒を飲むと美味しい」という定義を確立させる人気商品となりました。なかでもビールは、ステンレスのタンクで製造され、容器やサーバーも部品の多くがステンレス。「ビールとステンレスは相性がいいんです」。現在、約20のオリジナル品をラインナップするほか、磨き屋シンジケート以外でも各社が工夫を凝らしたさまざまなステンレス製の商品を製造販売しています。

匠がステンレスを削り出して、金属カップを制作している様子の写真
2つの異なるデザインのステンレス製カップを写した写真

チタン

知恵と技術の結集から生まれた世界初の真空二重チタンタンブラー

取材協力/株式会社 SUS
ステンレス製の魔法瓶を国内で唯一、自社製造する「株式会社 SUS」。半世紀に渡って蓄積した巧みな技術とノウハウを活用して生まれたのが、世界初のチタン製真空二重タンブラーです。APEC2010の昼食会での乾杯と各国首脳への引き出物として使われたことで人気に拍車が掛かりました。誕生したのは、2000年から。当時、製造していたステンレス製の真空カップより「もっと飲み物の味が変化しない容器を作りたい」という社長の熱い想いからチタンを使ったタンブラー作りに着手しました。完成したのは中空二重タンブラーでしたが、その後さらなる進化を求めて真空状の製品を開発。真空構造にすることで、これまで以上に冷たさを長時間保てるようになったほか、どんな熱いものを入れても手で持てるという利点へも繋がりました。
チタンは鉄イオンの作用がなく、人工骨の材料に使われるなど人体との親和性が良いことからも飲み物の味を変えにくく、唇に触れた時に馴染みやすいのが特徴。「ウイスキーや焼酎と最も相性が良く味がまろやかに。冷たいものを入れるとより効果が実感できます」とSUSは言います。材料であるチタンはステンレスに比べ約60%の比重でとても軽いもの。また、チタンは硬く割れやすいので加工が難しく、生産時には十分な配慮が必要です。空間部を真空にすることで高い保冷力・保温力を実現し、さらに表面には独特な凹凸感やキラキラとした美しい結晶模様が浮き上がります。独自の手法を生み出した、機能性と芸術性の融合を見事に実現した真空二重チタンタンブラー。チタンの加工、空間部を真空にすることは想像以上に困難を極めたものの、職人たちの諦めることのない努力の賜物で、完成までに辿り着きました。現在は国内外での人気の高さゆえ、製造が間に合わない状態が続いているといいます。

チタン製タンブラーの独特な凹凸感やキラキラとした美しい結晶模様が浮き上がった様子を撮影した写真
手法の違いによって色合いが変化した3つのチタン製カップを写した写真

使うほどに愛着と味わいが増す1枚の銅から生まれる唯一無二の器

取材協力/株式会社玉川堂
1816年に創業。鎚起銅器の老舗として約200年に渡り伝統を継承し続ける「玉川堂」。酒器は7代目当主が就任した1995年ころに作り始めました。それまではやかんなどの茶器が主流でしたが、「若い人にも愛着を持って使ってもらえるものを」と生み出しました。1枚の銅板を叩き縮めるのが鎚起銅器の技術。酒器は1.5ミリと他と比べて厚めの銅板を使用し、100以上にも及ぶ工程から生まれます。美しさと気品を兼ね備えた酒器の表面にある模様は、金鎚で打った時に出る鎚目。同じリズム、一定の強さという力加減ひとつで出来栄えが変わる職人の技が光る唯一無二のもの。
銅は熱伝導がステンレスの25倍。銅イオンの効果でお酒がまろやかに、口当たりの清涼感は抜群になるのが特徴。酒器の内側に錫(すず)を塗ることで肉眼では見えない突起物との摩擦がビールの泡をクリーミーにし、日本酒は熱過ぎない程度に燗をすると銅の温かさと調和して口当たりも滑らかになる作用があります。「銅と日本酒は相性がいいし、他にも絶妙に味が美味しく変化する飲み物もたくさんあります」。銅に着色を施す技術は玉川堂のオリジナル。時間や磨き具合でさまざまな色分けが可能です。機能性に加え、デザイン性も重視することで、20~30代の愛好者も増加しているといいます。「酒器は一生もの。使い込むほどに味わい深くなるのが銅器の良さで、空拭きすることで色合いが深まり、光沢がでます」。伝統を守りつつも時代の流れを敏感に感じ取りながら挑戦を続けてきた結果、今や国内のみならず世界の高級レストランやバーで使用されるほどの人気商品となっています。

匠がハンマーで、銅製のカップを一つづつ叩きながら模様を制作している様子を写した写真
黒バックに大、中、小の高級そうな3つのカップが置かれている写真

金属製タンブラー無料レンタル

燕商工会議所・吉田商工会・分水商工会では金属製タンブラーの無料レンタルを行っています。

ビアタンブラー

  • ステンレス製、容量250ミリリットル(内側の研磨により、ビールを注ぐと泡立ちがクリーミー&長持ち!)
  • 「Made in TSUBAME」「磨き屋シンジケート」の刻印入り
  • 個人でも、事業所でも利用可能です。最大200個まで貸出しできます。

ご予約・お問合せ

  • 燕商工会議所 電話 0256-63-4116
  • 吉田商工会 電話 0256-93-2609
  • 分水商工会 電話 0256-97-2181

「Made in 燕」の金属カップ

燕では近年多種多様な金属カップが製造されており、そのバリエーションはどんどん増えています。使われる素材は、ステンレス、チタン、銅、錫(すず)など。また、これらの金属にガラスを組み合わせたり金メッキ、漆塗装を施すなど様々登場してきています。シーンや用途に合わせ、ぐい呑み、ビアタンブラー、ワインタンブラー、ゴブレット、ロックカップをはじめ、大きさや形状もいろいろな種類があります。

Made in燕の金属酒器を多数展示販売している場所

洋食器・刃物の物産館 燕三条地場産業振興センター

新潟県三条市須頃1-17
電話:0256-32-2311
営業時間:午前9時30分~午後5時30分
休業日:毎月第一水曜日、年末年始

燕三条駅観光物産センター 燕三条Wing

新潟県三条市下須頃502-3 (JR燕三条駅 2階)
電話:0256-34-7310
営業時間:午前10時~午後6時30分
休業日:年末年始(12月30日~1月1日)

「燕三条地場産業振興センター」が運営する日本一のものづくり産地 ネット通販直売所

産地直販 燕三条金物本舗

この記事に関するお問い合わせ先

産業振興部 商工振興課 産業支援係

〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地

電話番号:0256-77-8231

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