【思春期コラム】思春期に育てたい 丈夫な骨と丈夫な心

更新日:2021年12月01日

我が子のやる気スイッチはどこにあるの!?

shisyunnki200

子育て中、親なら誰もが悩んでしまうこの問題。今回のコラムを読めばスッキリ解決ですよ!

「えっ?今回のテーマは骨でしょ?」

そうです、「骨」と「やる気スイッチ」には密接な関係があるのです。

でもちょっと待って!丈夫な骨の作り方、本当に知っていますか?

次の中で、丈夫な骨を作るのに必要な食材はどれでしょう?

shisyunnkisake

shisyunnki205         shisyunnki203

  • 小魚
  • 豚肉
  • 牛乳
  • 小松菜
  • みかん
  • 納豆
  • きのこ
  • ご飯(米)

「えーっと、カルシウムが豊富なのは・・・小魚と牛乳かな?」と思った皆さん。

残念でした。正解は、全部です!

恥ずかしながら私も数年前までは、「牛乳飲ませておけば良いんでしょ。」という程度の認識でした。

 

「骨」を知れば百戦殆(あや)うからず

shisyunnki214

骨のしくみはとっても複雑です。でも、知っておきたいことは3つだけ!

1 骨は生きた細胞

2 骨は栄養素の貯蔵庫

3 やる気スイッチ「オステオカルシン」

単に身体を支える構造物のように見える骨ですが、約90%は骨細胞という細胞でできています。

そして、骨の表面では骨を作る細胞(骨芽細胞)と骨を壊す細胞(破骨細胞)が働いて、絶えず新しい骨に入れ替わっています。これは、成長期の子どもだけでなく、大人も老人も同じです。骨が細胞でできているということは、神経や血管もつながっていて、栄養素が出入りしているということです。

さらに骨は、私たちが心臓を動かすのに必要なミネラルの貯蔵庫でもあります。太古の昔、海の中で生きていた生命は、骨の中に「海のミネラル」を貯蔵することで、陸での生活が可能になりました。だから骨には、カルシウム以外にもマグネシウムやカリウム、リンや亜鉛などが欠かせないのです。

もう一つ注目したいのは、骨はホルモンを分泌する臓器であるということです。2007年に報告された「オステオカルシン」は「若さ」を司るホルモンで、骨に刺激を与えるとたくさん分泌されます。記憶力・やる気の向上にも関与することがわかりました。「やる気」は物事を前向きに考えられる力です。ですから、骨を丈夫にする生活を続けると、勝手に「折れにくい心」も手に入るというわけです。

 

なぜ、納豆やきのこが必要?

では、骨の材料はどこからくるのでしょうか?

そうです、私たちが食べた食事からです。骨細胞の主な材料はタンパク質ですが、細胞のエネルギー源は炭水化物です。エネルギーを働かせるためにはビタミンB群やビタミンCが必要です。また、腸からカルシウムが吸収される時にはビタミンCが必要です。カルシウムを骨に付けるのは鮭やキノコ類に含まれるビタミンD、カルシウムが骨から溶け出しにくくするのは納豆などに含まれるビタミンKです。だから、丈夫な骨を作るのには、納豆やきのこも必要なのです。

shisyunnki212

shisyunnki222

今日から実践 骨育生活!

shisyunnki223

次の3つのコツを家族で実践して、お子さんの「やる気スイッチ」を押してあげませんか?

1 朝食

2 おやつ

3 なわとび(ジャンプ)

腸は一度にたくさんの栄養を吸収するのが苦手です。急にたくさん食べた後で下痢をしてしまった経験はありませんか?腸から栄養を効率的に吸収するには何回かに分けて食べる必要があります。ですから、朝食を軽く済ませるのはもったいない!トースト1枚じゃあ、カルシウムもビタミンも足りませんよね?そして、おやつも足りない栄養を補う立派な食事です。納豆ごはんや鮭おにぎりなど、3食で食べきれない食材を取り入れてみましょう。

材料が入ったら、それを骨まで届けることが必要です。骨に重力がかかるとオステオカルシンが分泌され、その作用で骨に材料が集まってきます。骨へ効率的に重力がかかる運動が「なわとび」です。でも、ハードルが高いですね。室内で軽くジャンプしたり、かかとを上げ下げするだけでも効果的です。10回程度で眠気が覚めてやる気が出ます。それを1日に3〜5セット、トータルで30回から50回が目標です。重要なのは頑張り過ぎない回数で毎日続けることです。

 

女性の美容にも骨育を

shisyunnki224

私が今回「骨」をテーマにしたのは、実は産婦人科診療と密接に関わるからです。女性は、40歳を過ぎると女性ホルモン(エストロゲン)が急激に低下し、閉経する頃にはほとんど分泌されなくなります。すると、骨密度がどんどん低下(図1)して骨はもろくなります。10代、20代のうちに丈夫な骨を作るかどうかが、将来の健康を左右するのです。月経は定期的に来ていますか?好き嫌いせずに食べていますか? 骨量が減ると顔の骨も変形し、「ほうれい線」や「たるみ」の原因になりますよ!いつまでも若々しく美しさを保ちたいなら、あなたも今日から骨育習慣を始めましょう!

 

shisyunnki231

 

藤田拓男:臨床婦人科産科43(7), 677(1989)より改変

 

 

 

次回のコラムは3月1日に配信予定です♪

shisyunnki101

次回のテーマは「知って安心 体調には周期があるよ」です。

女性の月経不順や月経前症候群(PMS)などはもちろん、男性でも体調の周期や1日のホルモン周期があります。

周期を知ることで、あらかじめ予防したり、不安を和らげることもできます。

次回のコラムは3月1日にホームページに掲載予定です。

ぜひご覧ください♪

 

前回(9月1日)のコラムはこちらからご覧になれます

shisyunnki

前回のテーマは『気になりませんか?夏休み明けのお子さんの体調不良~コレって水毒(すいどく)かも~』です。

アクセスはこちらhttps://www.city.tsubame.niigata.jp/soshiki/kenko_fukushi/1/74/10476.html

高田杏奈先生プロフィール

shisyunnki91

産婦人科の専門医で、医学博士でもあります。一般的な産婦人科の診療に加え、女性の不調に対応した漢方治療も専門です。

現在、女性ヘルスケアアドバイザーの資格を活かし、新潟大学医歯学総合病院にて女性ヘルスケア外来を担当されています。他に、新潟県立吉田病院と済生会三条病院で外来診療を担当されています。

(各診療日は病院ホームページでご確認ください。)

この記事に関するお問い合わせ先

こども政策部 子育て応援課 母子保健チーム

〒959-0242
新潟県燕市吉田大保町25番15号(燕市保健センター)

電話番号:0256-92-6815

メールフォームによるお問い合わせ