若monoデザインコンペティション燕vol.7受賞作品
若monoデザインコンペティション燕vol.7の受賞作品をご紹介します。
- 大賞:3作品
- 企業賞:7作品
大賞
OBI
テーマ
株式会社イケダ
既存の形にとらわれない多機能やかん
デザイナー
滝沢 友彬(東京・学生)
テーマに対する考察
実際に株式会社イケダさんにお伺いした際、お話を伺い、とにかく自由で新しい提案をしてほしいというお言葉をいただきました。私はこのいただいた言葉を踏まえ「既存の形にとらわれない多機能やかん」というテーマを「見たことのない形をしたやかん」と「その形状によって生まれる新しい機能」という二つの要素があると捉えます。この二つの要素の関係性、そして必然性が最も重要なポイントであると考えており、「多機能」という言葉の捉え方については、やかんの最低限の機能である「お湯を沸かす」という機能と新たに「見たことのない形をしたやかん」の形状によって生まれる機能が両立することが「多機能」であると考えます。
デザインが解決する問題と創造する価値
私がご提案する「OBI」は、従来のやかんにあった「しまいずらい」という課題と「少量のお湯を沸かすのに適したサイズのものがない」という二つの課題を解決しています。「しまいずらい」という課題については本体のサイズを既存品より小さくすること、そして取手をなくすということで解決しています。「少量のお湯を沸かすのに適したサイズのものがない」ということについては本体のサイズを小さくすることで既存品よりも少ない内容量に設定しています。また「OBI」はその機能と形状から新たなやかんの可能性をご提案できればと考えています。
ターゲット
ターゲットは「一人暮らしをする人」を想定しています。「一人暮らしの人」がお湯を沸かすシーンとして、カップラーメンや、カップスープなどを作るシーンが挙げられ、このことからやかんに求める容量は700ミリリットル前後であるとし、既存のやかんよりもやや少なめの容量に設定しています。またタンブラーとしても使用できる形状であること、しまいやすい形状であることは「一人暮らしをする人」のあまりものを多く持つことができないという特徴に対するアプローチであり、実際に「一人暮らしをする人」に聞いたお話から着想を得た機能です。
機能
私がご提案する「OBI」の他の製品と差別化する機能は「少量のお湯を沸かすことに適していること」、「しまいやすいこと」、「タンブラーとして使えること」の三つです。「タンブラーとして使えること」については、形状をタ ンブラーとして使えるよう、持つ部分を持ちやすく、そして洗いやすくなるよう設計しました。また取手をなくすことにより「しまいやすい」という機能面だけでなく「見たことのない形をしたやかん」として、造形においても既存品とは大きな差別化を図ることができると考えています。
今後の展望
今後の展望としては、一人暮らしの人をターゲットに、持ち手の部分のカラーバリエーション展開を考えています。 電気ケトルが普及する昨今、より人々の生活に寄り添い、ユーザーそれぞれに合ったブランディングが必要であると考え、カラーバリエーションと特徴的な造形によって、よりユーザーが愛着を持ち、他の人に紹介したくなるような商品を目指します。そのため店舗販売を軸にし、実際に使うシーンを想像していただき、購入の際から愛着を持っていただけるような販売方法を検討しています。
(注意)意匠登録出願準備中
CCChair
テーマ
森井紙器工業株式会社
インテリアになる防災用品
デザイナー
みくり(千田尚輝/木山祥花/武田遥)(福岡・学生)
テーマに対する考察
今回私たちが取り組んだテーマは、段ボールを用いた「インテリアになる防災用品」である。災害の多い日本において、災害への備えることは非常に重要だ。しかしながら、災害備蓄は場所をとることもあり、防災用品の準備は手間だと考え、備えが十分でない人も多いのではないだろうか。そこで、「インテリアになる防災用品」は、あくまで日常に使うものの一部として防災用品を組み込むことができる。防災用具が日常に馴染むものであればあるほど、その準備のハードルは下がるであろうことは明白である。段ボールの特性をうまく活かしながら、防災用具をより日常に馴染ませ備えへのハードルを下げるような製品を作ること、それが今回のテーマにおいて求められていることだと考えた。
デザインが解決する問題と創造する価値
日本のような災害大国では一人暮らしのユーザも家の中からどう避難するのかを考える必要がある。既存の家具を考えると、倒れると危険なものや配置的に移動を妨げるものになるような製品が多い。避難所ではすぐ組み立てられる段ボール家具が活躍しているが、デザイン性と人の生活に寄り添った機能性がない物が多いことが社会的な問題であると考えた。私たちが提案するプロダクトのデザインは段ボールをインテリアに馴染むようなエクステリアの構造をしているだけでなく、非常時でも普段使用する椅子であるからこそ、場所がわからずに困ることなく防災リュックを持ち出すことができると考えた。家の中に頼れる人がいない一人暮らしのユーザだからこそ不安に感じていると考えるので、災害時の不安を和らげられるようなプロダクトになると考えた。
ターゲット
災害に対する備えが十分でない1人暮らしの人をターゲットとしている。1人暮らしの場合は家が狭いことや何を準備したら良いかわからないことなどが原因で、いつ起こるかわからない災害に対する備えをしている事例が少ないことが現状である。そこで、普段はインテリアとして部屋に置くことができるこのCCChairは、備えのためだけに場所をとることがなく手軽に災害に対する備えができるため1人暮らしの世代に適している言える。また、イスの座面部分に描かれたアイコンによってユーザは災害時のために何を用意するべきかがすぐに分かるようになっているため、何を用意するべきかわからずに一人で悩むこともないだろう。
機能
CCChairは折り紙工学に基づいた構造で上からの力に強い椅子に適したデザインになっている。椅子型の形にした際に蓋に記載している一人分の避難用防災グッズを収納できる。椅子型の際には中に仕切りを取り付けることで中のものが崩れることを防止するだけではなく、支柱となり、椅子の安全性を高める役割も果たす。避難時には仕切りを収納し、折り目に沿って折り畳むことでリュックサックの形になる。リュックサックのショルダー部分は椅子の中に収納されているものを取り出せば下部の金具に停めるだけで簡単に背負えるようになっている。日常は段ボールだと思わせない美しい椅子として使用し、非日常である避難時には簡単に持ち出せる非常袋として使用できる。非日常と日常をつなげるプロダクトで、一人暮らしのユーザーが非常時に落ち着いて行動できるような新しい防災用品になっている。
今後の展望
現状では防災グッズとインテリアは別の市場で販売されているが、2つの機能をもつ1つのものとして市場に出すことでインテリアに興味をもつ人たちが防災グッズを購入する機会が得られる。 インテリアを販売しているスペースとホームセンターの防災グッズを販売しているスペースの両方で販売することで幅広く市場展開することができるだろう。 新生活が始まるシーズンに災害に備えたインテリアとして防災を呼びかけて販売することで、人々の生活に入り込んでいくことが想定される。 また、災害時に備えをしたいと考えているが家のスペースや何を用意したら良いかわからないということが理由で、防災グッズを購入できていない人が防災を行動に移す機会になる。
(注意)意匠登録出願準備中
WIRE AROMA WARMER
テーマ
株式会社新越ワークス
デスクやテーブル廻りでインテリアと実用性を兼ねたワイヤー製品
デザイナー
横川 勇馬(埼玉・デザイナー)
テーマに対する考察
今回選択したテーマの説明動画の中で、「魅せる」ことをキーワードとして挙げられていました。インテリア製品の中には魅せることに重視したプロダクトも多く存在しますが、実用性を兼ね備えることが求められていますので、単にオブジェ的な物は今回のテーマと合致しません。尚且つ、他の素材や加工法で代替えが可能なものであっては、デザインの説得力に欠けます。 このような考えから、「ワイヤー製品だからこそ作ることが出来るカタチ」を追求し、素材と加工法に向き合ったデザインの美しさを表現することを心掛けました。 そこから、ワイヤーフレームならではの立体的な曲線、及び金属の耐熱性を活かせるプロダクトは何であるかを考え、アロマウォーマーが一つの答えになると考え、デザインしました。
デザインが解決する問題と創造する価値
ある調査では、日常生活でストレスを感じている人は8割程に上るそうです。職場でストレスを感じる人が一番多く、比率としては60%に上ります。また、家庭でも43%の人がストレスを感じており、自身のメンタルと向き合うことの重要性は、時代が進むごとに更に増していると感じています。 ストレスの解消法は人それぞれあると思いますが、アロマもその一つです。日常的にアロマを取り入れている人は、取り入れていない人と比べて、幸福度や熟睡度が高いようです。また、キャンドルの炎は癒し効果がある「1/fのゆらぎ」のリズムを刻んでいます。 今回デザインしたプロダクトは、そのどちらの要素も併せ持っています。メンタルヘルスという目で見えない社会問題に対して、このプロダクトの高い癒し効果が少しでも役に立てば幸いです。
ターゲット
アロマオイルという特性上、主に女性が使用することを想定してデザインしました。アロマ市場は年々拡大しており、利用するユーザ層も広がっていますが、今回は30~40代の女性をメインターゲットとしました。30~40代は結婚~出産~子育てといった、家庭を中心としたライフステージに位置しており、体調の変化も感じやすいと言われています。そのため、メンタルヘルスのケアが特に大事な世代である思いました。この世代のストレスを少しでも緩和することが出来れば、今回デザインしたプロダクトの社会的な存在意義も高まるであろうと考えています。 寝る前などのちょっとした時間でこのプロダクトを使うことで、一時的に日常のストレスから解放されることを期待します。
機能
類似品を調査した結果、本体材質は「金属製」と「セラミック製」の2種類に大別されることが分かりました。今回のプロダクトと同じ素材である金属製の類似品は、ミニマムで機能美に偏ったデザインが多いため、コモディティ化している印象を受けます。それに対して「セラミック製」の類似品には装飾的なデザインが見受けられますが、古典的なレリーフ柄のものが多く、現代の生活にマッチしているとは言い難いです。 このような現状を踏まえ、金属製でありながらも装飾的な要素も兼ね備えたジオメトリックデザインに仕上げました。また、設置面に対する熱のダメージを回避するために、類似品の場合は防熱用のシリコンを貼っていますが、自身の場合はワイヤー構造を工夫してキャンドルを浮かすことで解決を図りました。これによりコストメリットも期待出来ます。
今後の展望
インテリアショップなどの小売店において、アロマオイルを始めとしたリラクゼーションアイテムは一つのカテゴリーとして確立しています。先ずはその売り場を確保することが出来れば、想定しているターゲットユーザーとの接点が生まれやすいと考えます。更に、キャンドルスタンドとしての用途もあることから、インテリア雑貨としての取り扱いも見込めます。この考えの通りであれば、一般的なアロマグッズよりも小売店へのセルインがしやすくなることから、他社の類似品よりも高い販売数量を見込めることが出来ると考えられます。 更に、マッサージやリラクゼーションサロンなどの店舗での取り扱いも期待できるため、B2Bビジネスの可能性も期待出来ます。
(注意)意匠登録出願準備中
企業賞【デザイン部門】
株式会社新越ワークス「デスクやテーブル廻りでインテリアと実用性を兼ねたワイヤー製品」
富士カトラリー株式会社「アウトドアや園芸で楽しめるレジャーナイフ(山菜堀)」
株式会社タケダ「リモートワーク関連商品」
企業賞【アイデア部門】
株式会社イケダ「既存の形にとらわれない多機能やかん」
「蒸しやかん」
上村 舜(神奈川・学生)
(注意)意匠登録出願準備中
「焼-kettle」
原島 大智(東京・学生)
(注意)意匠登録出願準備中
「めだまやかん」
横川 拓洋(神奈川・学生)
(注意)意匠登録出願準備中
募集テーマ(協力企業数:7社 五十音順)
No |
企業名 |
テーマ |
工場紹介・インタビュー |
1 |
既存の形にとらわれない多機能やかん 素材:ステンレス・アルミ・ホーローなど |
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2 |
航空機の廃棄部品を活用した魅力的で有用な生活用品やファッションアイテム 素材:飛行機の廃材(PDFファイル:614.4KB) |
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3 |
持ちやすく運びやすい「なべのハンドル」 |
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4 |
デスクやテーブル廻りでインテリアと実用性を兼ねたワイヤー製品 |
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5 |
リモートワーク関連商品 |
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6 |
インテリアになる防災用品 |
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7 |
アウトドアや園芸で楽しめるレジャーナイフ(山菜堀) |
歴代受賞作品
- この記事に関するお問い合わせ先
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産業振興部 商工振興課 新産業推進係
〒959-0295
新潟県燕市吉田西太田1934番地
電話番号:0256-77-8232
更新日:2023年03月24日